364 冒険者Aさんと周辺調査の必要性
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あらすじ:周辺の調査は昼食までで終わりました。
視点:陸上生活に慣れてきた サーバクン・ミーソットさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第2週 木曜日》
◆町付近 南西の森◆
「うん! おいしいっ!!」
「(モグモグ)……。
なるほど、蒸し焼きも良いですね。
それほど調理に手間もかかりませんし」
「(ハグハグ)はふはふ! あひゅっ!」
『わはは! やっぱ焼き魚やったら
この熱々を頬張るんがええよな~。
さて……(ガササッ)おっ?
お~~~、こっちの蒸し焼きもええ加減やな。
よ~できとるやんか、ライス(ナデナデ)』
「(テレッ)あはは…ありがとうございます。
でもこれ、良い調理法ですね、先生。
焼いたのとまた違う感じですし」
「(アムアム)…っ! …っ!」
(ガササッ)
「それにしても、アルさん。
この【聖鉄紙】って便利ですよね、うおっ」
「うんうん、おでもそう思うんだな。
おでの故郷でも、大きな葉っぱで包んで
焚き火で焼く食べ方はあったんだども
外側は焦げるから捨てるしかなかったし…」
本当、ボクもそう思う。
お肉とか野菜とかキノコとか
具材を乗っけた葉っぱごと全部包んで
地面の中に焼けた石とかと一緒に埋めるだけ。
……あっ、そうだ! 完全に包む前に
中へ味付けする物とお水を入れるんだっけ?
うん、手順は割りと簡単だよね。
これなら焚き火しながらでもできるし
上手く道具を使えば焚き火もいらないから
クエスト中に火を使えない時なんかでもできそう?
【リューグー】だと、火が苦手な人も居るから
この方法なら、あっちでも受け入れられそう。
何より、さっきローさんが言ったみたいに
外側もほとんど焦げてない……不思議!
お肉とかも中までちゃんと火が通ってるっぽいし
それに…モグモグ…しっとりしてて柔らかい!
うーーーん……不思議!!!?
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▽
(ジュウウウウウ、パチッパチッ)
「そういえば、アルさん。
調査って色んな情報を調べるんですね、うおっ。
どんなモンスターとかだけじゃなくって
草とか花の種類とか、川のお魚とか…。
そんなに必要なものなんですか? うおっ」
『んー? せやな~。
必要っちゃ必要やで~。
単純に種類や数なんかも必要やし、
どこら変にどんだけおるかってのもな~』
「(ハグハグ)ひょれ…(ゴクン)…うんっ。
それって、依頼で採取する時とかに
必要な情報って事なんですか? 先生」
『まー、それも有るな~。
どれがどこでどんだけ取れるか把握しとかんと
ギルド側としても、依頼なんか受けられへんし』
「えっと…それもって事は
他にもあるって事ですよね? うおっ」
「他にも……?」
うーーーん? 何だろう。
草…虫…魚…モンスター…うん? 餌?
……あっ! もしかしてアレかな?
【リューグー】でもそうだったけど
体が大きくてたくさん食べるのとか
このエビだけとか、この海草だけみたいに
特定のばっかり食べるのが外から来ちゃうと
そのせいで、魚とか海草とかが極端に減ったり
荒らされたりして、困った事になるんだよね。
…ボクの好きだったエビも、それが原因で
近くで獲れなくなっちゃった事あったし。
「まー、そう言う事ですわよ、サバミソ。
モンスターだけじゃなく、野生の獣もですけど
特定の餌ばかり食べるのもいますしね。
こまめに記録を更新しておけば
何かが急に減ってたら、異常が起きてるかも?
…って、早い段階で気付けますからねー」
「ええ、それに…異常の原因が特定のモンスターや
獣の場合は、まだ対処は難しくありませんけど
病気や異常気象の場合もありますからね。
その場合は、本当に対処に困るんですよ」
「あっ!? そういう場合もあるんだ…、うおっ」
「あーー、アタシもそれ聞いた事ありますよ。
特定の草とか作物がかかる病気のせいで
作物とか全然育てられなくなっちゃって
誰も住んでない廃村があったり……とか?
ほんと、そう言うのは怖いですよね」
「(バクバク)ほひぇーーー。
ほうひゅんおもあるんでひゃんすねー」
「…そうですね、今お2人が仰った通りで
その辺りは町の存続に直結しますから
ギルドとしても、せめて町の近辺だけでも
把握しておかないとまずいんですよ」
「なるほど! そうなんですね! うおっ」
「なるほどなんだなあ」
「あはは…それだったら、確かにギルド側も
信用できる人にしか依頼できないですよね。
適当に嘘の情報書かれたら困るし…」
「そうなんですわよ~、ライスちゃん。
そして、その事を全く理解してないで
やらかしちゃった、おバカちゃんがねえ…」
「えっ?」
「へっ?」
「……はあ……そうなんですよね。
いつからで、どこまでがそうなのか不明で…。
結局、更新された箇所は、もう修正するより
新たに記録し直した方が良いという結論に…」
「うわぁ……そこまでだったんですか?
それはまた…お気の毒です、メガネさん。
…ああ、そりゃ、あのアホのじーさんも
あっさりとクエストの同行を許可する訳ですわ」
『わははは! まーまー、リッちゃん。
新拠点の事もあるし、サバミソとロバやんは
当分、調査クエスト中心にするつもりやったしな。
要点とかもまた色々と教えとくから
ま、なんとかなるって~~~』
「あはは…えっと、ありがとうございます?」
う、うーん? 何かよくわからないけど。
ボクとローさんで、調査クエストを
頑張ればいいってことなのかな?
…うん! よくわからないけど
リマさんにはお世話になってるんだし
ボク達でできることならやってみよう!




