360 冒険者Aさんと到着した調査員達
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あらすじ:事前連絡と必須事項をまず済ませることは大事。
視点:ドライエック商会 調査員 チョークアップさん
『』:アルファさん
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《創世新暦1665年 前秋 第2週 木曜日》
◆町長会館 応接室◆
「ああ、ドライエック商会さんの所の…」
「ええ、皆さんのお仕事の邪魔にならない程度に
話とか聞かせて貰おうと思ってますので」
ふう…腰と尻を犠牲にしたが、やっと着いた。
ま、それでも他の馬車と比べたらずっと楽だったし
予定よりかなり早く着いたのが幸いだな。
…それにしても、このイスは良いな。
装飾だらけの硬いだけのやつは論外として
ふわふわし過ぎていても、腰に来るからな。
長時間座っていられる実用性の高い物だ。
調査にはこんなイス1つとっても情報になる。
その町の特性や、人柄とか見えてくるからな。
(パサッ、パサッ、パササッ)
「へえぇ~、市場調査ですかあ~。
…ま、問題ないと思いますよお。
以前にも別の方が何人か来られてますしい。
書類も印も正規のものですしねえ~。
ちなみに、チョークアップさぁん。
何日ぐらい滞在される予定なんですう?」
「そうですね…予定では2週間ほどを。
今回は私1人ですからねー。
ゆっくりと見聞きしようかと思ってますよ」
「なるほど、了解しました。
私も今でこそ代理としてここへ勤めていますが
1年少々前にこの町へ来たばかりなんです。
王都に住んでいた私から見ても
正直、この町の発展速度には驚かされましたよ。
ぜひ、色々と体験していって下さいね?」
…ふむ、今の町長が代理とは聞いていたが
まだ赴任期間も長くないのに優秀そうだな。
ま、補佐のフォックスさんは大ベテランだし
この娘も王都の文官次長の娘さんだったはずだ。
この町で経験を積ませて、後々に王都に戻すか
そのまま代理から正規に継がせるつもりなんだろな。
「あぁ、そういえばあ。
宿泊先はもう決まってますかあ?
まだでしたらあ、少しだけお高いですけどぉ。
ホテールさんの所をオススメしますよお?
港や市場、屋台広場も近いですしねえ」
「ええ、実はそのつもりだったんです。
商会長から、せっかくなら良い宿でと言う事で
割引の紹介状を書いて貰ってるんですよ。
はは、役得ってやつですかね」
「おぉ~。
それはうらやましいですねえ」
「…屋台…おなか…減った」
「は?」
「はあっ!?」
え? 今、腹減ったって言ったのか?
それとも俺の聞き間違い…か?
「えっ? フォックスさん?」
「あっはっはっはぁ~~。
では、チョークアップさあん。
私達は仕事が立て込んでますんでえ。
この辺りで執務室へ戻らせてぇ貰いますねえ。
良い、ご滞在を~(ニコニコ)」
「え? あ、ああ、はい。
それでは失礼しますね…」
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▽ ▽ ▽
▽
ふーむ?
何か急ぎの用事でもあったのかね?
…まあ、いいか。
期間は結構貰ってるとは言え
無駄にはできないからな。
まずは、予定の宿に行って…。
(ガタタ──ン! ガターン!)
「(ビクッ)…何…だ!?」
(ガターン「へったああ!!」ガターン)
(ギャー「メス…豚…ロウ!」ギャー)
「………」
よし、何も聞こえなかった事にしよう。
宿だ宿。




