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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
356/401

356 冒険者Aさんと楽器の思い出 ①

==========================================

あらすじ:調査クエストの結果は資料に直結するので

     大概は信用できる人に依頼するようです。


視点:一緒に宿屋へ戻ってきた従者 ミケニャンさん

『』:アルファさん

==========================================


《創世新暦1665年 前秋 第2週 水曜日》


◆宿屋 樫の木亭 室内◆



(フキフキフキ、キュッキュッ)


「(ヒョイ)あー、懐かしいですわね~、コレ。

 あのお調子者の迷惑侍が愛用してたやつですかー。

 年代ものでしょうに、よく残ってましたわねー。

 …でも何か、きれい過ぎませんか?」


『ん? これか?(ポンポン)

 実はこれはガワだけ似せたもんでなー。

 さすがに本物は古いから、返したまんまなんや。

 前に頼んで作ってもらっといたんやわ』


「あー、そりゃそうですわよね。

 あれ? と言うことは他の楽器もですか?」


『いや、新品はそれだけやなー。

 他のは俺が前に使ってたもんとか

 コツコツと作っとったやつやな』


「…そう言われれば、確かに。

 見覚えの有るのがチラホラ有りますわー」



 まあ、一番記憶に残ってたのは


 その同型の琵琶ビワですけどね。


 なんせ、あの迷惑侍が見栄を切って登場する際に


 必ず弾いてましたからねえ、それ。


 賞金首とかを発見した後にわざわざ出待ちして


 良いタイミングでバチを相手の足元に投擲。


 {誰だ!?}って答えるのを待って


 ベンベン弾きながら登場するんですからねぇ。


 そりゃあ、記憶にも残りますわよ。


 そう言えば、あの時って、ご主人様は…。


 ずっと代わりに琵琶弾いたり


 横笛吹いてた事もありましたわよね。


 …あれ? 当時はご主人様が1歩引いてて


 ちょっとした上下関係なのかとも思ってましたけど。


 よく考えたら…ご主人様ですし。


 単に場を盛り上げる為にノリノリだった可能性も?



「(ヌッ)こっ! こっ!! こっっ!!!!

 これが!! あのお師さっ、さっ! 様の!!

 ああああああ!! あの!!!!!?(ハァハァ)」


「(ビクッ)ど、どわあぁあっ!!!? いつの間に!?

 ど、どっから出てきたんですか!? ユキさん!?」


「(フンスフンス)ふぅっ! ふぅっ…!!

 いえ! 今さっき普通にドアから入ってきました!!

 お、お師様の! お師様の秘蔵の!!

 が、が、楽器を拝める雰囲気を感じましたので!!」


「え、ええぇ…」



 ふあぁあぁあああ!!!! びっくりしたあ!!!


 こ…このご主人様マニア。


 雰囲気を感じたって、どんな感覚してるんですか!?


 そんなの、ミケにだって無理ですわよ!?


 …それはそうとして、ココに並べてる楽器。


 古いのも新しいのも有りますけど。


 まさかご主人様が、いつ、どの年代の時に


 愛用してて、どんな逸話が有ったなど


 鑑定できるとか…言いませんわよね?


 さ、さすがに無理ですわよね?



「(ガタッ)はっ!? こっ! こっちは!?

 まさか、お師様達がこちらの大陸に渡られて直ぐ

 ギルドで未登録なのに、うっかり倒してしまって

 色々と問題になった事件の際に、報酬品で作ったという

 あの! 逸話の!? 竜の角笛!!!! はぁはぁ!!

 (ガタタッ)あああああ!? これは!!

 お師様達が、幻想の聖域と呼ばれた!!

 妖精達の里を訪れた際に、親交の証として

 互いに送りあったと言われるトライアングル!?

 ああああああ!? こ、こっちは…!!!」


「(ゾッ)ひ、ひええっ!?」



 ちょっ! 怖い怖い怖い!!!!!


 何か早口で語りだしたけど!! そんな事より!


 美人顔で目を見開かれると、すっごい怖い!!!


 ユキさん、も、もちつ…落ち着いてええ!!!!




『わははは! とりあえず落ちつこうや、ユキ。

 ゆっくり話してくれるか? な?(ナデナデ)』


(ピタッ)


「はい! お師様!(ニコニコ)」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「なるほどなるほど。

 丁度、あちらの農園でやる事が一段落付いて

 今はついでに牧場のお手伝いをしていると…。

 で、その報告に来たと言う訳ですね?(ウンウン)」



 いやー、雰囲気を感じたとかどうとか


 人間離れした事言い出すものですから


 さすがのミケもちょっと焦ったじゃないですかー。


 いくらなんでもそんな事は無かった…。



「そして、お師様を強く感じられる雰囲気を察知し

 大急ぎで参りました(ニコォ)」


「…あったですわ」


『わははは! 何かよーわからんけど

 凄いな、ユキ!(ナデナデ)

 そんじゃ、一緒に手入れ手伝ってくれるか?』


「(ウットリ)勿論です、お師様!」


「あっ、では! ミケは代わりに

 牧場の方へ行ってきますわ~~!!

 ユキさん、後はよろしくお願いしますわね~~!!」


(ダダダダダッ、バタンッ)


『おー、頼んだわ~、ミケ』



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「……ふうっ」



 いやぁ~~~。


 やっぱり、あーいう時は逃げるに限りますわね。


 下手に心の声が聞こえるだけに怖い怖い。


 真に興奮した人間の心の声って


 拡声魔法でも使ったみたいに


 大きく聞こえすぎちゃうんですよね~~。


 それにしても、ユキさん。


 読心術に抵抗あるのか


 普段ははっきり聞こえない癖に


 あんなに大きくはっきりと聞こえるとか


 ちょっとした恐怖ホラーですわよ~。


 よく、妖怪や化け物なんかよりも


 怖いのは生身の人間って言いますけど


 本当、その通りですよねえ…。

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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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