350 冒険者Aさんと偉人の素顔
あらすじ:人の名前には色々由来や理由がある様です。
視点:朝から会議室で新拠点の会議中 リマさん
『』:アルファさん
◆冒険者ギルド 会議室◆
「へえ・・・アルファさんの育てのお父さんって
世界中の大陸で活躍していたんですか。
・・・凄い人だったんですね」
「そうね~。
まあ、仕事の内容が内容だけに
表沙汰にできない活躍が多かったんだけど
それでも、現役時代の実績が
桁外れだったのは間違いなかったわね~」
「ああ、そういえば。
ゴロウさんの業務の1つは
マリさんが継いだんですよね?」
「えっ? そうなんですか? マリさん」
継いだ? えっと、ギルド長から聞いた話だと
マリさんは【行者組合】の幹部の人なのよね?
しかも、二つ名が付く程の凄腕の行者でもあったはず。
・・・継いだのはどっちなのかしら?
「(くすっ)ええ、そうよ~、リッちゃん。
タケちゃんが今言ったけど、私は【行者組合】でね?
【フソウ】で逃げたり隠れたりしてた
賞金首とか罪人の討伐なんかを継いでたのよ。
ふふっ、これでも少しは有名だったんだから」
「あはは、少し所じゃ無いじゃないですか~」
「そんなに凄かったんですか?」
「ええ、そりゃもう。
【フソウ】では、凄い活躍と人気だったんですよ?
天性の強さで罪人を片っ端から切り捨てる
絶世の美女とかって世間で噂される程で
【絢爛舞踏の美戦姫】の{二つ名}の前では
どんな極悪な犯罪者も震え上がったんで・・・」
「(ゴゴゴゴ)あらあら~? タケちゃん?
それじゃあ、まるで私が怖い人みたいじゃない~。
リッちゃんに誤解される様な事を言う悪いお口は
こうしてやりましょうかしら?(ぎゅっ)」
(ギウウウウギギギ)
「ひゃだだだ!? ご、ごへん!
ごへんよ!! まひねえひゃん!?」
ええっ!? 姉さんって言った?
えっ? マリさんとタケジロウサンって兄妹!?
あっ! いや、これって多分。
アルファさんみたいな義理のって事?
「(ぱっ)ふふ、ごめんなさいね~リッちゃん。
恥ずかしい所、見せちゃったかしら?」
「え、いえ、驚きはしましたけど・・・。
あの・・・?」
「(ヒリヒリ)あたた・・・相変わらずだなあ。
・・・はは、すいませんね、リマさん。
僕も久々だったもので、つい昔を思い出して
懐かしくなっちゃいましてねー」
「え? いえ、まあ・・・」
「ふふ、えっとね~? リッちゃん。
ゴロウさんって、【特派員】を引退後は
商会をやってたんだけどね?
それもアルファさんが継いでからは
ずっとこの子達が育った孤児院に居たのよ」
「あ、それは私も聞きました。
えっと、名前は【緑寿園】でしたよね?
確か・・・アルファさんの
義理の叔父の方が創られたとか?」
「あらあら~~リッちゃんったら~!
もう、そんな事まで聞く仲に?
これはもしかして・・・うふふっ(にこっ)」
「えっ? ・・・へえ?(にやっ)」
「・・・違いますから。
私はサクちゃんのお世話が楽しくて
ちょっと参加させてもらっただけですから。
・・・あの? 聞いてますか? お2人供?」
ええ、違いますとも。
違うに決まってるじゃないですか。
お2人供、何を勘違いしてるのかしら?
確かに、いつの間にかアルファさんの
ご家庭の話まで聞いちゃってますけど
これは、アルファさんが勝手に話しただけ。
サクちゃん達が聞きたがって、そのついでに
私の耳にも入っちゃっただけ。
別に、私が興味有ったとか
そんなんじゃ無いんだから。
そう! 違うんだから・・・全く。
「(にこにこ)うんうん、そうよね~?
・・・えっと、それでね?
私はゴロウさんに会う為に。
夫のゲンゴロウは【五十六商会】への用事に。
何だかんだで訪れる事が多かったのよ~」
「ええ、そうなんですよ。
それで、マリさんも面倒見の良い人だから
僕らの訓練や弟達の遊び相手に付き合ってくれて
僕達もすっかり馴染んじゃいましてね」
「ああ、なるほど。
それで、姉さん呼びだったんですね」
「(ぽりぽり)あはは、そうなんですよ。
いやあ、僕らも商会の仕事を任されちゃってて
最近はあっちこっちへ行っているから
久々だったもので、つい・・・」
「うふふ、私もなのよ~。
・・・さて、ちょっと話が逸れちゃったけど
お仕事の話続けちゃいましょう?」
「「はい」」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
「・・・えっと、とりあえず。
今決めれるのはこんな所ですね?」
「ええ、そうですね。
今、現地の問題は調査に行って貰ってますので
続きは、その結果次第になります」
(ク~~~~)
「あ、あはは! すいません、僕です。
・・・ああ、もうこんな時間でしたか」
「うふふ~~、もうお昼なのね。
じゃあ、お昼ご飯でも食べに行きましょうか。
少し歩くけど、屋台広場で良いかしら?」
「え? あ・・・はい、ご一緒します」
「あっ、良いですね! 屋台広場。
僕、前に来た時は行けなかったんですよ。
楽しみだな・・・屋台か・・・」
「? 屋台がどうかしましたか?」
「あ、いやいや、大したことじゃないですよ。
ほら、朝にゴロウさんの話してたじゃ無いですか?
ゴロウさん、屋台料理とか好きだったんで」
「あらあら~、懐かしいわね~。
そう言えばそうだったわ~」
「へえ・・・屋台料理ですか。
やはり【フソウ】だと、屋台でも色々と
美味しい料理が出されてたりしてたのですか?」
「「えっ?」」
「えっ?」
あら? 私何かおかしな事言ったかしら?
屋台料理って、広場で出されてるみたいな
色々な料理が有るんじゃないの?
アルファさんが割りと主動して広めてたし
てっきり、料理が美味しい【フソウ】では
一般的なのかと思ってたんだけど・・・。
違うのかしら?
「それがね~? リッちゃん、違うのよ~。
私も広場の屋台料理見て、びっくりしたもの。
【フソウ】でも、あそこまで本格的な料理とか
普通は屋台で出してたりしないものなのよ~。
アレは完全にアルファさんの趣味よね~」
「ええ、僕が聞いた限りでもそうだと思いますよ?
・・・ちなみにリマさん。
ゴロウさんって、実は屋台料理・・・と言うか
{おでん}とか{ラーメン}が好きで・・・」
「ああ、{おでん}と{ラーメン}でしたら
私も食べましたけど、美味しかったですよ?
えっと、何か問題でもあったのですか?」
「えっとね? リッちゃん。
ゴロウさんって、実は仕事振りと正反対で
実生活は割りとダメな人だったそうなの。
食事も拘らないから、放っておいたら
朝昼晩、屋台の{ラーメン}とかで
済ませちゃうのも、よく有ったみたいよ?」
「・・・それこそ、現役時代の話を聞いてても
屋台の{おでんとコップ酒}がご馳走!
みたいな食生活してたそうですし・・・」
「ええっ!? 食事に拘らない・・・!?
で、でも、アルファさんはあんなに拘り・・・
と言うか、思いっきり食道楽ですよね?」
ご馳走って・・・!?
いえ、確かに{おでん}は美味しかったわよ?
でも多分、高級料理とかでは無いはず。
そして{コップ酒}がどういう物なのかは
ちょっと、よくわからないけど。
話の流れからすると、多分それも高くない。
それだけの活躍をしてる人なら
報酬も大きかったはずよね?
お金に問題がないなら、良い料理食べるわよね?
特に世界中あっちこっちに行ってたのなら
色々な現地の料理に触れる機会も少なくないはず。
・・・アレかしら? 仕事人間。
仕事一筋で、食事や趣味に興味が薄い・・・。
ん? ・・・あれ? ひょっとすると。
私も前はそんな感じじゃなかったっけ?
でも、今は余裕があれば料理屋も巡るし
ちょ、ちょっとだけ服とか、化粧品も・・・。
え? あれっ? いつ・・・から?
「ま、まあ・・・それは。
義兄さんも、保護された口だから
最初はその食生活に付き合っていたそうですけど。
あまりにも続くものだから
さすがに耐えられなくなったらしくて」
「(くすくす)うふふっ、聞いた話だとね~?
それで、アルファさんの強い希望で
ゴロウさんを色々な料理屋に連れて行ったり
自身で料理する様になったらしくてね~。
それが、今のアルファさんに続いてるそうよ?」
「・・・な、なるほど。
何か妙に納得できる感じがします」
「でもね、義兄さんも頑張ったんだけど。
結局はゴロウさんの味覚と言うか
思考はそれほど変わらなかったらしくてね。
【緑寿園】に来てからも、たまにこっそりと
屋台に通ってたんだよね・・・実は・・・」
「・・・ですが、まあ、多分なんですけど。
ゴロウさんも、アルファさんに付き合って
楽しかったんじゃないでしょうか?
その、家族的な関係っぽくて・・・」
「・・・うん、そうだね。
それは有ったと思うよ?」
「・・・・・・うふふ(にこっ)」
「・・・何でしょうか? マリさん」
うっ・・・マリさんのこういう所は
ちょっと苦手なのよね。
どうにも、色々と見透かされてそうで・・・。
「(にこにこ)あらあら~~。
何だかゴロウさんのお話してたら
お昼に{ラーメン}食べたくなってきたわね~。
ほらほら、2人共行きましょ~!」
「はい、マリ姉さ・・・おっと、マリさん」
「はい、そうですね、行きましょう」
いや、私は特に他意は無いし?
見透かされて困るものなんて無いわよ?
何か勘違いしてるのよね、きっと。
本当、困っちゃうわよ、全く。




