35 冒険者Aさんと台風一過
あらすじ:昔のMMOではお馴染みの露店街道や広場
サブキャラや複垢の商人で露店放置とか超定番
視点:タンゴの町 町長補佐 フォックスさん
『』:アルファさん
・・・どこに居るんでしょうかねえ、あの豚ヤロウ、もといメス豚ヤロウ。
おっと・・・違いましたねえ、町長代理見習い様でしたか?(イライライラ)
こっちが、ようやく王都への報告を終えて町に帰還したと言うのに
執務室はもぬけの殻。
私が戻るまでに終わらせるように言っておいた書類の山は、未処理が半分以上。
おまけに、外出するにしても、別室の職員に行き先すら告げていない。
雑貨店の方に居た、町長とお孫さんのファイフ君に聞いてみれば
会話中に突然走り去ったそうじゃないですか。
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「あいつじゃったら、昼飯の話してる最中に突然走り去ったぞ?」
「昼飯・・・ですか、ゼーロさん、どこへ行ったのか予想はつきませんか?」
「・・・あっ! フォックスにいちゃん、もしかしたらなんだけど。」
「ん? ファイフ君、何か知ってることがあるのかい?」
「えっとね、さっきおじいちゃんのところへおっちゃんがきたんだって。」
「おっちゃん?」
「おう、アルファの坊主とミケの嬢ちゃんじゃよ!
忙しい朝の開店準備中に来おったわ!
そういえば、魚の坊主も連れてきとったのう。」
「は? 魚の坊主?」
「それでね、おっちゃんがてんどん? がどうのっていってたっておはなしを
おじいちゃんがしたとたんにね、おねえちゃんがいきなりはしりだしたんだ。」
「てんどん? ・・・ああ、【天丼】。
なあ、ファイフ君、君のお姉ちゃんはどっちへ走っていったか覚えてる?
あっちのツリーさんの宿屋ある方かい?
それとも、もしかして、こっちの屋台広場の方かい?」
「ええと・・・こっち!
やたいがいっぱいあるひろばのほうだよ!
おねえちゃんすごいかおしてた、めなんかくわわっ!ってまんまるになってたし。」
「そういえばそんな話したのう。
・・・・・・ああ、そういう事なんじゃな。
あやつもある意味分かりやすいやつじゃのう!」
「{じゃのう!}で済まさないで下さいよゼーロさん。
ありがとう、ファイフ君。
君のおかげで多分行き先が分かったよ。」
「うん、おねえちゃんがごめんね、フォックスにいちゃん。」
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まあ、ほぼ間違いなく屋台広場に向かったんでしょうけどねえ。
どうせ、いつもの空腹状態の時に【天丼】と聞いて本能のままに咄嗟に動いたんでしょ。
確かに、私も以前に町長と一緒に頂いたんで、美味しかったのは理解できるんですけど
何と言うかアレですよねえ・・・。
{ペットの犬が散歩と言う言葉に反応して、ぐるぐる回り出す}のと同じ現象?
もしくは、朝の間に別の要因があって
{おいしい食事にありつける!}という、匂いでも嗅ぎつけたか?
食が絡むと野生的というか超人的な勘が働きますからねえ、あのメス豚ヤロウ。
それにしても、弟のファイフ君はまだ5才だというのにしっかりしてますねえ。
あの子は完全に父親似・・・性格がパパズさんそっくりだ。
パパズさんも今や王城で文官次長だし、ファイフ君の将来が楽しみではありますけど
あの人、奥さんのユニさんに無理矢理食われ・・・げふんげふん。
えー、見初められて? 王城に連れ去られたようなものなんですよねえ。
まさか、ファイフ君までそんな未来が・・・?
いやいや、あの子には大きくなったら、ぜひ私の後を継いで
あのメス豚ヤロウを管理・・・いや躾・・・違った、補佐!
そう、補佐してもらいたいんですよねえ。
そして後々は彼自身が町長に!
ま、無理強いは出来ませんけどねえ。
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「それれれすね、きいてくらはいよ~!
(がっし!)ききなはいよ! ジ~ンはぁ~ん!!」
「いや、フォウはん、あんた飲みすぎやろ、っていうか離してくれへんかな?
まだアルファのにーさんに頼まれた後片付け終わっとらんのよ。」
「あ~のつりめはわらひにいふもいふもむひなんはいをおひひつへ、はへ? おひひひひ?」
「・・・押し付けてって言いたいんか?」
「ほう! ほれ!! おひひふふへて、あへもはへほへもはへって!!!」
「何でもええけど、フォウはん、ええ事教えたるわ。
【フソウ】には{噂をすれば影}っていう諺があってやな。
こういうとこで、その人の話してるとやな本人が突然現れるっていう
ベタな展開が待っとるんやで。」
「ほへ? べたー? んふふふべたーべたべたべたー。(べたべた)
んふふう~よ~ふみるほ、ジンはんっへ、ひひおとほよへ~?
ど~~う? わはひとおふきはひひまひょうよ~~。(べたべたべた)」
「はぁ!? や、辞めて、マジで辞めて!
ワイにはちゃんと嫁はんもおるし、可愛い可愛い娘もおるんやから!!
ちょっ! ツーはん! そこで知らん顔しとらんと助けてーや。
あんたはん、確かこん人と同年代ぐらいやったはずやろ!?
ほら! 介抱したったらもっと仲良うなれるかもしれんし
な? 代わってとゆーか引き取って~~な!!」
「・・・えっと僕はまだお店の営業中ですんでーー。
あ~~~忙しい忙しい!
むしろ、ワン兄さんの方なら手が空いてるんじゃないですか?
さっき肉類の食材だけ全部食べられたみたいし、今日はもう店じまいっぽいよね?」
「えっ!? お、俺はえっ、えーっと!?
そっ・・・そうだ! 俺は店じまいで片付けが忙しいしな!
ちょっと手伝えな・・・。」
「何慌ててるんだよ、兄さん。
・・・あっ! そういえば、フォウさんが去年こっちへ来た時に
{ちょっと良いなっ! 声かけようかな!}とか言ってたんだっけ!
ほら! 今丁度いいんじゃないかな? 今ならぐっとお近づきになれるよ?」
「ほほう~? それはそれは、じゃあここはワンはんにお任せしよか。
さあ! ほら!! (べたべたべた)は、早くして~~!!?」
「ちょ! おまっ!? ツー!! 何でそんな前の話を今更持ち出してくんだよ!
俺だってその後の残念っぷり見てから、一気にそんな気も無くなったっての!!」
「ふへ? なんでふか~? ワンひゃ~ん!!
えっふえっふえ、わらひのほろふきだっらんでふか~?(にやにや)」
「うわっ!? こっち来んな!! いや! や、やめ・・・!!」
「ふうっ・・・危なかった・・・こんな所お嬢に見られたらまた
・・・・えっ?」
「・・・・じーーー。」
「お、お嬢!! あ、あれ? 帰ったはずじゃ!?
・・・・・・ち、違うんです!!
いや、何も違わんのですけど! 違”う”ん”で”す”!!!」
「ふむ、帰りが遅いから様子を見に来たのだが、そうかジンよ。
うむ、いや、いいのではないかな。
大丈夫だ、【フソウ】でも{お妾さん}は別に禁じられておらんからのう。」
「(>∀<)b グッ!」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!? やっ! 辞めてホンマ!
何も後ろめたい事は無いんです!!
でも嫁はんに言うのは!!! 堪忍してください!!!!
この間、酒場のねーちゃんにデレデレしてちょっかいかけたんバレた時とか
ホンマやばかったんや! マジで堪忍してつかぁさい!!!」
「あらら、またユミネさん戻ってきちゃったみたいですね。
・・・あれ? そういえば、もう1人の腹ペコさんはどこに・・・あっ。」
「(ぎゅー)ぐおーーーーー、ふひゃひゃひゃす~~~~~~。
ぐおーーーーーふんがっふんがっ・・・・ふっひゅ~~~~。」
「ベンチで寝てるのはともかく、何で丸太抱えて・・・!?」
「お、おいっ! ツー! た・・・助け! あ、あふっ、だ・・ダメッ!!」
(ワーワー、ギャーギャー、フンガッ、ア”ア”ア”ア”)
「・・・・・・おい、何してるんですかあ? このメス豚ヤロウ。」
「・・・・あっ・・・・ほらな?」
というか、これはさすがに予想の斜め上でしたねえ。
何? この地獄絵図。
えっ? これ私が収めなきゃいけないんですかあ?




