348 冒険者Aさんと名前の由来 ①
あらすじ:ゴロウさんは行動力溢れる海外特派員で
逮捕術の達人だったようです。
視点:朝から押しかけられて若干困惑 トウタロウさん
『』:アルファさん
◆馬車工房 室内◆
「あー、ゴロウの旦那かぁ・・・。
いや、確かに色々と凄い人だったぜ?」
「やっぱり凄い人だったんですね!? うおっ」
「(キラキラ)わくわく! でヤンス!」
「(キラキラ)ととさまのととさま!」
確かに今日はアルファのやつと相談事があったから
朝から来るのは聞いてたけどよう。
まさか、ぞろぞろと全員来るとは思ってなかったぜい。
しかも早くから来やがるから、何事かと思ったな。
・・・にしても、ゴロウの旦那の話だとはなぁ。
ま、せっかくだ! 色々語ってやるか!!
そうだな・・・なら・・・。
「(にやっ)まず、名前の由来が凄え!」
「「「名前っ!?」」」
「ほほー? その話は聞いたこと無いですわね」
『あーーー、まーーーー、せやな・・・。
ミケにはゆーた事なかったかもしらんなー』
「・・・・・・あっ!」
「んんん? 何です?
ご主人様達のその微妙な反応・・・」
ほう? てっきり知ってるかと思ったんだが
ポンポコ娘も聞いてねえ話ってのも有るもんなんだな。
まぁ、単にあいつも話したく無かったのかねぇ?
俺も由来を聞いた時、唖然としたからなあ。
くくくっ! ほんと傑作だったぜい!
「それがよう!
ゴロウさんの両親の名前なんだがな
{ハチベエ}さんと{ナナ}さんって名前でよ!」
「・・・んん? それが何か?
【フソウ】だと割りとよく居る名前では?
ハチベエさんにな・・・・・・えっ?
いや、あの・・・まさかとは思いますけど?」
「そったら名前なら、おらの島にも居るだよ?」
「「「????」」」
「えっと、どうかしたんだか?」
「はちべ・・・はち・・・なな・・・?
ゴロウさん・・・ゴーロ・・・あれ?
・・・あっ!? えっ!?(ガーーーン)
あ、あの・・・先生・・・まさか・・・」
お!? ポンポコ娘はともかく。
芝生のお嬢ちゃんもか!?
こっちの子も今ので気付いたのかねえ?
さっき、ユキ君の方も気付いたっぽいけどよう
あっちは元々知ってたって感じだったしな。
よく今の話で気付けたもんだぜ。
さて、答え合わせといくか。
「おっ!? 嬢ちゃんわかったのか?
いいぜ! 答えてみてくれや!」
「ライスさんわかったんですか!? うおっ」
「すごいでヤンス!」
「(あせあせ)え? えっと。
ひょっとしてなんですけど・・・。
数字で{ハチベエ}さんと{ナナ}さん。
つまり{8}と{7}をかけたら・・・」
「えう? すうじ・・・? えっと。
8と7・・・えっと?(あわあわあわ)」
「うーーーーーん?????
あの、アッシ・・・その。
すうじとかまだちょっと・・・でヤンス」
「かける? ×? ああ、掛け算だか?
8・・・7・・・なら、56なんだな」
「えっ? 56ですか? うおっ。
それにしても、ローさん!
パパッと計算できて凄いですね!
ボク、何かに書かないとちょっと・・・。
(ぽりぽり)あ、あははは、うおっ」
「お~~、やりますわね~、ロー」
「(照れ照れ)ま、まあ、おでは倉庫番だったし
数を数えて揃えるのに必要だったんだな」
「うーーん? ごじゅーろく?」
「56・・・ごー・・・ろく? あれっ?」
「「「・・・えっ!!!?」」」
「やっぱり、そーゆーこと・・・ですわよね?」
『もう、みんなわかったよーやな~~。
せやで~、とっつぁんの両親の人らな?
名前から{8×7=56}でゴロウにしたらしいわ。
わははは! 俺もとっつぁんからその話聞いた時は
何じゃそら? って思ったもんなー!』
「がっはっはっは!! だよな!?
俺は居酒屋で飲んでる時にその話聞いたんだがよ!
思わず、吹いちまったぜ!」
『ちなみに、とっつぁんの弟。
俺の義叔父貴は{ロクロウ}って
名前なんやけどなー。
じゃあ、今度は足した数にしよかーって
考えたらしくてなー』
「えーーーーー」
「えっ? 足した数?」
「あっ! ボク、足すのはできますよ!
えっと、8と7・・・15ですよね? うおっ」
「15・・・15だと、イチゴー? イチゴ?」
「・・・それ、女の子だったらまだ良いですけど。
まあ、結局その名前にしなかったんですよね?」
『せやな。
さすがに周囲の親しい人らが止めたらしくてな~。
で、無難に{五郎}の次やから{六郎}って事に
なったらしいけど、それもどーなんやろなー。
長男、次男って考えるとさすがになー』
「がはははは! だよなあ! 俺もそう思うぜ」
「「「えーーーーーー」」」
「う、うーん? 名前の付け方も
【リューグー】とは全然違うんだなあ、うおっ」
「いや、サバミソ君、それは特殊な例だから。
・・・普通は名付けって大事な事で
もっとちゃんと考えてつけるものなんだから」
「で、ですよね?」
『わはははは!
まー、とっつぁんも、結構そんな感じやったし。
そのとーちゃんとかーちゃんやしな!
そこは親子似たんちゃうか~?』
「・・・・・・ご主人様。
ミケを従者にするって名前決めた時。
{タマ}{ミケニャン}{クマー}もしくは
{ゴンザレス}から選べって言ってましたよね?
あまり人の事を、笑えないのでは?(じとーー)」
「「「「えーーーーーー!?」」」」
「ご、ごんざれす?」
「うわぁ・・・アルファ、おめぇよう?」
「(ふるふる)いえ、それは違いますよ。
お師様は、例え養子だったとしても
親子の絆はしっかり有ったと言う事です。
ええ、素晴らしい話だと思いますよ?」
「う、うーーん? ユキ姉さんが言う事だし
そうなのかな? そうなのかも?
・・・・・・・・・あっ(ちらっ)」
「? アッシがどうかしたでヤンスか?」
「あーーー、うん、ナンデモナイヨ?」
「???」
「あ、あはは・・・あ、そうだ、ミケ姉さん。
さっきの名前の選択肢の話なんですけどね?」
「んーーー、何です? ライスちゃん」
「あの選択肢の中だったら
別に{タマ}でも良かったんじゃないですか?
まあ、ちょっとネコっぽいですけど
女の人の名前でもたまに聞きますよ?
特に【フソウ】だったら多そうですけど」
「あー、それは確かにそうだなぁ。
実際にあっちだったら結構多いし
俺の知り合いにも{おタマさん}って慕われてる
やり手の婆さんも居るしなぁ。
・・・で、何でなんだ?」
「・・・・・・はあ、ライスちゃんはともかく。
そっちの隠居じじぃはわかるでしょ。
ミケの種族が何なのかお忘れなので?」
「「種族?」」
・・・ん? どうゆうこった?
ポンポコ娘の種族だあ?
そんなもん、狸の【妖怪】だろ?
タマの名前が何かまずいってのか?
・・・あん? たま? 狸?
・・・・・・・・・ああっ!!!?
「狸とは言っても、一応ミケも雌ですからねー。
さすがに{タマ}はちょっと勘弁して欲しいかと」
「お、おう、すまねえなぁ」




