345 冒険者Aさんと鬼娘ちゃんと朝飯
あらすじ:お風呂は毎日お湯抜いてます。
視点:陸上生活にもちょっと慣れてきた サーバ・ミーソットさん
『』:アルファさん
◆宿屋【樫の木亭】食堂◆
(バクバクバクバクバク)
「(はぐはぐはぐ)んまっ! んまっ!!」
「(もぐもぐ)うん、うん・・・やっぱりコレだよね」
「(ぽかーん)ほわーー、すごい食べっぷりですね!
・・・おなか減ってたんです? うおっ」
昨日はローさんと早めに帰ったんだけど
お風呂入ったら、もう眠くて眠くて・・・。
うーん・・・前は意識してなかったけど
やっぱり、ボクは遅くまで起きてるのが苦手なのかな?
この間、アルファさんに聞いたら
種族的な習慣のせいじゃないかって教えてくれた。
確かに【リューグー】は暗くなるの早いから
寝るタイプの人達は、みんな早く寝ちゃってたんだよね。
ココに来るまで、あまり時間って気にして無かったから
ボクも、それが当たり前だと思ってたし・・・。
(スタスタスタ、ゴトン)
『わはは! おかわり持ってきたで~!
うんうん、2人共ええ食べっぷりやな~。
今、ツリーさんが玉子焼きも焼いとるから
できたら持ってくるわ~』
「(もぎゅっ)ふぁっ! ふぁりふぁ・・・うぎゅぎゅ!?」
「(ごくん)おっと、大丈夫かい? ウラさん。
はは・・・すいません、義兄さん。
僕も【フソウ料理】は久し振りだったもので
ついつい夢中になっちゃってます」
「ほら、お水をどうぞ、ウラさん。(スッ)
まー、その気持ちはわかりますけどね~。
ミケとご主人様が、こちらのお宿に
長期滞在してる主な理由がそれですし・・・」
『わははは、他の国の料理も美味いんやけど。
やっぱ、慣れ親しんだ料理が一番口に合うからな~。
道中で食われへんかったやろと思って
ツリーさんと一緒に早朝から準備しといたんやわ』
「いやー、まさにその通りなもので・・・。
つい、がっついちゃいましたよ(ぽりぽり)」
「(ごっきゅん)うう・・・お水ありがとうございますだ。
先生! 感謝しますずら~~~!!」
「(にこにこ)おでも、おにぎり大好きなんだな。
特にアルさんやツリーさんのはうまいんだな~」
「(ずずず~~)・・・はーーー、味噌スープうまー」
「あっ、こっちのおにぎりは具が違うんですね、うおっ」
「(もぐもぐもぐ)うみゃいでヤンシュ!」
「(むぐむぐ)はむ・・・はむ・・・!」
「ほらほらサクさん。
そんな慌てなくても大丈夫ですわよー。
ゆっくりお食べなさいな~」
うわっ、みんな・・・ボクもだけど
すごい勢いでおにぎりとお味噌汁を頬張ってる・・・。
でも、仕方ないよね?
このキュッと握ったおにぎりがおいしいんだもん。
こう・・・お米1粒1粒がムニュッって弾力があるのに
噛むとプチプチッって弾けて。
お米の甘さと香りがフワッって広がるんだけど
お塩がピリッと全体を引き締めてる感じがする!!
中に入ってる具も色々で
さっきのは、貝柱を甘辛く煮た物だったし。
これは・・・魚を焼いて身をほぐした物?
・・・こっちはおナスとか野菜を味噌で炒めた物?
こっちは・・・!!?!?
「~~~~~!!?(>×<)」
「ぬっふっふ! 大当たりですわね! サバミソ。
どうです? ご主人様特製の{遊びの無い梅干}は!」
「あーーー、アレって、また作ってるんですか?
えっと、君? 無理して食べない方が良いよ。
アレは大人でも通好みすぎる代物だからねー」
「~~~~~~!!!(>×<)」
「おっと、ライスちゃんも大当たりですわね!?
おめでとうございます! むっふ~~!!」
「(もぐもぐ)・・・うん・・・うん。
おではこの梅干好きなんだな」
「(むぐむぐ)・・・あむ・・・あむ・・・」
「・・・むうっ!?
ローはともかく、サクさんまで大丈夫!?
ああ、なるほど・・・。
【忍】の里でしたらこの手のは慣れてそうですわね」
「ひえっ!? アッシのには入ってないでヤンスよね?」
「まー、慣れるとコレはコレで美味しいんですわよ?
後は・・・むっふっふ~~。
早朝出勤されたメガネさんのお弁当にも入ってたはず!
これは、ぜひとも感想を聞かねばなりませんわね~!!」
「(もぐっ)お~~~~~!? 来た来た!
僕も久し振りだ・・・うん、うん・・・(もぐもぐ)
ん~~、コレはコレで後を引く味なんですよね~」
う~~~~~!! 酷いや、ミケ姉さん。
・・・あう・・・よ、ようやく口の中から
酸っぱしょっぱいのが引いてきた・・・。
あ・・・でも、ローさんとミケ姉さんもだけど
それに、えっと、た、タケジロウさん?
結構おいしく食べてるようにも見える。
これ、リマさんのお弁当にも入ってるんだ・・・。
リマさん、酸っぱいの大丈夫なのかな?
もしかして、大人だったらおいしいの?
でも、サクちゃんは普通に食べてる????
う、うーーーん・・・・・・あれ?
そういえば、タケジロウさんと
えっと・・・う、ウラさん? だよね。
朝ご飯まで見かけなかったけど
2人とも、別の所に泊まってたのかな?
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
『・・・にしても、すまんなー!
タケちゃんにウラちゃん。
丁~度、昨晩は部屋が空いとらんくて
【ビアー】に泊まってもろたやんか?』
「そんな、謝らないで下さいよ、義兄さん。
どちらにしても、僕は商談もあったので
あっちに泊まる予定でしたし」
「んだんだ! 先生さは全然悪く無いだよ。
お、おらなんて、急に無理言って
連れてきてもらったんだし・・・(あわあわ)」
なるほど、そうだったんだ。
・・・あっ、そういえば、昨日は
ボク達が居なかったお昼の間に
王都の方から来た人達が泊まりに来て
大急ぎで準備や応対してたから
ツリーさんもお出迎えの方に行けなかったって
さっき、エイトちゃんが残念がってたんだ。
そっか、やっぱり別の所だったのかー。
・・・あれ? その泊まってる人達は
一緒に朝ご飯は食べなかったよね?
「まー、そんなものですわよ? サバミソ。
大抵は、部屋の中か外で食べてくる人が大半で。
他人と・・・ましてや知らない冒険者達と
同席で会食とかする一般人は居ませんわねー」
「え、そうなんですか? うおっ」
『まー、せやなー。
旅人やったらあんまし偏見とか持っとらんし
話し好きの人も多いからなー』
「あー、それは有りますねー。
アタシは酒場で働かせてもらってましたけど。
ほとんどのお客さんが、顔見知り同士で同席してて
完全に他人同士では、滅多に同席しないですね。
まあ、カウンターで店主と話してて
話に加わってくるとかは有りますけどね」
「うーーーーん・・・???
そういうものなんですね・・・、うおっ」
「さ、サバミソくん。
普通は、た、他人を簡単に信じないから
相手を警戒して同席しないんだな・・・」
「ですねー。
ほら、サバミソ君。
特に冒険者の人って、例え低ランクの人でも
武器持ってて、スキルまで使えるじゃない?
それって、町に住んでる普通の人からしたら
やっぱり脅威なのよ」
「あっ・・・それなら、ボクもわかります。
【リューグー】での話しなんですけど、うおっ。
武器を持って漁に出れる人って限られてて
ボクも、怖くて近寄り難かったの覚えてます、うおっ」
「そうそう、そんなものですわよ~、サバミソ。
ご主人様みたいな、誰にでもホイホイ声かける人って
この大陸では珍しい方ですわよ~」
「まあ、義兄さんの場合。
住んでた【西フソウ】に染まったとも言えるのかな。
あそこの人達は割りとそんな感じだし・・・。
しかも、商売やってる人は特にね」
『わははは! せやな!
あっちの地方は、おっちゃんもおばちゃんも
じーさんばーさんも、そんな人多いからな~。
俺もすっかり染まってもーたわ~!』
「アルさんみたいな人ばかり・・・?
親切な人が多い所なんですね! うおっ」
「え? うーーーん・・・」
『親切・・・なー? それもちゃうよな』
あれ? 何かアルさんもタケジロウさんも
反応がちょっと違う・・・疑問?
えっ? ボク、何か間違えたのかな?
「う、うん? 違うんだか? アルさん」
「・・・アレって親切でもないんですよねえ。
頼んでも無いのに、おせっかい焼きに来る・・・」
「何でしょうね・・・自己満足?
自分からズカズカ関わっていく癖に
後の責任持つつもりも無い訳ですし・・・。
積極的な野次馬根性?」
「せ・・・積極的な」
「野次馬根性?」
『わははは! せやな!
それがしっくりくるわ!
散々口出した後に、{知らんけど}とか
ふつーにゆーしな!(げらげらげら)』
「あー、あっちで良く聞きますよね、それ。
それって、{何だかんだ言ったけど
自分は責任持ちませんよ}・・・って
公言してるみたいなものですもんねー」
「うはー・・・それって。
逆に迷惑になる事もあるんじゃないですか?」
『せやで?』
「しょっちゅうですよ?」
「そうですよ?」
「(ひききっ)えええぇぇ・・・」




