表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
343/401

343 冒険者Aさんと桃太郎退治の後始末 ③

あらすじ:この世界の創造の神様に、なんでやね~ん!?

     ・・・とツッコませてしまったとかなんとか。


視点::喫茶店【緑寿喫茶】 店長 いろはさん

『』:アルファさん


◆【フソウ】喫茶店【緑寿喫茶】◆



(チリンチリンチリン)


「いらっしゃいませ~! ・・・あら!?

 あらあら! お久しぶりやないですか、キビ様~。

 あっ、お好きなとこ、座って下さいね~」


「うん、お久しぶり~。

 じゃあ、こっちの席に座らせてもらうね~!

 あっ! サクヤちゃん、こっちに居たんだ~?」


「あら~、キビさん! お久しぶりですね~。

 もし宜しければご一緒しませんか?」


「するする! いろはちゃーん!

 私、サクヤちゃんのとこに相席するねー!」


「は~い! 直ぐにお茶をお持ちしますんで~!」



 ホンマに久し振りに来店されたんちゃうやろか?


 聞いてた話やと、キビ様のとこ


 【甘蔗】から作る【キビ砂糖】が大人気過ぎて


 最近は特に忙しかったらしいもんな~。


 ウチらの店は優先的に使わせてもろとるけど。


 ・・・おっと、そんな事よりもお茶やね、お茶!



(ガタガタ、トスッ)


「よいしょっと・・・。

 あっ、そうだ! サクヤちゃん。

 この間はうちの達に

 たくさんお守り贈ってくれてありがとうね!

 おかげで、みんな無事に出産できてるよ~」


「いえいえ、こちらもお世話になってますし。

 お役に立てた様で良かったです~」


「あはは、さっすが安産の神様だよね~。

 いや~、ありがたやありがたや(すりすり)」


「もう~、キビさん、止してくださいよ~」


(スタスタスタ、コトッ)


「お待たせしました~、キビ様。

 えーー? 何故に拝んで・・・。

 ・・・あっ、サクヤヒメ様のお守りの事ですか~?

 アレ凄いですよね! ホンマ。

 あの{稲わら}の御利益で

 ウチも皆も大助かりなんですよ~~~!

 いや~! ありがたやありがたや!(すりすり)」


「もうっ、いろはちゃんまで・・・。

 いい加減にしないと怒りますよ?」


「「すいませんでした!!」」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「・・・そう言えば、キビさんがあの島に行ってから

 もう結構経ちましたよね?」


(はぐはぐはぐはぐはぐ)


「んも? ・・・・・・んぐん! そうだっけ?

 ・・・10年ぐらいは経ったのかな?

 うーん、あんまり実感無いなあ。

 あの達の怪我の治療とか、特産品作ったりとか。

 里にお店や宿や港も作ったり、何だかんだしてたら

 あっという間だったんだよねえ・・・」


「(にこっ)あらあら、それは羨ましい。

 神々の時間感覚だと、暇を持て余し過ぎて

 時が止まっているかの様に感じる方が大半ですのに

 毎日を充実して過ごしてらっしゃると言う事ですもの。

 ええ、本当に羨ましい限りですわ~」


「あ~~~~、それは確かに有るかも・・・。

 私は元々【西フソウ】の古い土地神だったけど

 サクヤちゃんみたいに、祀られてる神社も無かったから

 お祭りどころか、人々との交流自体無かったもんね~。

 記憶に残ってるのって・・・何か大災害が起きた時ぐらい?

 う~~~~ん・・・それも有ったって事だけで

 具体的にはどうだったかって覚えて無いかなあ」


「ええ、そうなんですよね・・・。

 永き時を無為に過ごしたあまり

 無気力になってしまわれた神々も多いと聞きますし・・・。

 キビさんは{古き神々}の1柱ですから

 あの島で過ごされている日々は

 特に新鮮で刺激的に映る事でしょうね」


「へえ~~。

 かみしゃまもたいへんなんでしゅ?

 (にへー)これどうじょ!

 きびしゃま! しゃ、しゃ・・・あう。

 んっと、しゃくやひめしゃま!」


「(でれっ)あはは、ありがとうね~。

 うたちゃんが運んでくれたんだ?(なでなで)」


「(にへー)あいっ!」


「(ほわわ~ん)はあ~~~、癒されますわ~~~」



 むっふっふ~。


 アルファ義兄にいさんがゆーとったけど


 大半の神様達からすれば、大人でも、子供扱い・・・。


 いや、むしろ、ウチらでゆーたら


 犬とか猫に接してる感覚に近いらしいんやわ。


 まあ、人から神様に昇華した方は別なんやろけど


 概念とか自然から発生した神様とかは割とそーらしい。


 せやから、多少生意気でもヤンチャでも気にも止めへん。


 でも、好みの方は、大体同じらしくて


 ほとんどの神様達は無垢な小さい子達が大好きなんや。


 まー、その辺はウチらでも同じやな。


 子犬とか子猫とかと戯れとったら


 にっこにこが止まらんよーになるわ!!



「・・・それにしても、あの時。

 こんな良い待遇にななるとは

 誰も思ってなかったんだろうなあ」


「あの時?」


「あっ・・・えっと、あの子アルファちゃん

 報酬の代わりに提案した時だよー」


「ああ、あの時の・・・。

 {誰か【鬼族】の島へ移住して保護してやって欲しい}

 ・・・確かそんな内容でしたよね?」


「そうそう!

 もーみんな・・・いや私もだけど。

 それ聞いて、下とかそっぽ向いちゃったんだよね。

 うわぁー面倒臭そう・・・って・・・」


「普段やる事が無くて暇だと仰ってる割りには

 実際何かお願いされたら、面倒だと思われる方。

 ・・・・・・結構、多いですよね、私も・・ですけど」


「言ってる事は正当だし、理解もできるけど

 {自分がやりたくないなー}って・・・。

 その辺り、実は神も人も変わらないんだよねー」


「でも、結局キビさんが受けられたんですよね?

 決め手は何だったんです?

 確か、あの子アルファちゃんがキビさんの所に来て

 何か耳打ちしてましたよね?」



 ・・・は? 神様にこっそり耳打ちって。


 アルファ義兄にいさん、何しとんの!?


 ・・・・・・あ、いや、今更かな?



「うーーーん、まあ、今更だから言ってもいいか。

 あの子アルファちゃんがね? こう、耳元で囁くんだよ。

 {【鬼族】の子達が喜んで祀ってくれますよ?}とか。

 {色んな温泉に入り放題ですよ?}とか。

 {甘い物欲しくないです? いっぱい作れますよ?}とか。

 {新鮮な海の幸がキビ様あなたを待ってますよ?}とか。

 そんな、心惹かれる事ばっかり!!」


「そ・・・それは心惹かれますね、かなり(ごくり)」


「それでね? 続けてこう言ったんだよ、あの子アルファちゃん


「・・・な、何と?」


「えっと・・・うん、あの時の言葉そのまま言うよ。

 {これは、今だけ! 今だけ・・・そう!

 キビ様あなたにだけ、キビ様あなたにだけ内緒で!

 内密でお話したんですわ・・・今だけの機会チャンスですよ?

 ほら、おやしろもええの建てましょうよ?

 資材? 費用? ・・・大丈夫!

 うちの商会が全部持ちますんで安心して下さい。

 【鬼族】の人らが真面目で働き者なんは知ってはるでしょ?

 そりゃあ、もうキビ様を大歓迎して心から奉ってくれますわ。

 ね? 良い機会やと思いません?

 今やったら他に立候補される方も任命される方も居ませんよ?

 ホンマにおススメですよ? ・・・・・・ってね」



 う、うわあああああああ!?


 何でそんな言い回しなん!?


 そんなん、完全に悪徳商人とか悪い宗教家が


 偽もんの壺とか宝石とか買わす手口やんかーー!?


 マジでええええええ!?


 神様相手に何囁いとんの!?


 嘘やろ!? アルファ義兄にいさーーーん!!!



「え、ええっ!? う、うーーーーーーん?

 ・・・あ、でも、い、いえ。

 ま、まあ・・・その・・・つまり

 言い回しはともかく、間違いでは無い?

 ・・・ですわよね? 結果的にも」


「・・・うん、まあね。

 それこそ、他の神々がたくさんいる中で

 わざわざ私の所に来て囁いたって事は

 最初から、ある程度調べてあったって事で。

 私は候補の最有力だったって事なんだろーね」


「・・・で、それで受けましたの? キビさん」


「・・・いや、それが迷っちゃったんだ。

 八割ぐらい心動かされてたんだけど・・・。

 ほら、私って土地神だから、静かな野山とか

 これまで災害から守った時の事を思い出して」


「なるほど・・・確かに。

 あの子アルファちゃんにはわかり難いかもしれませんけど

 私達にとって、自分の存在意義に関わりますものね。

 あれ? そうなると・・・断ったんです?」


「(ぷるぷる)ううん。

 それがね? 私が迷った素振りを見せたら・・・」


「・・・?」


あの子アルファちゃんってば、にっこり笑って言うんだよ。

 {あっ、大体わかりましたんで、ええですわ。

 他の方にお話してきますんで、大丈夫です。

 いや~、惑わせてもーて、えらいすんません!

 そうそう! さっきのお話は

 忘れてもーて結構ですんで!}・・・ってね!!

 そりゃもう、何事も無かったかのようにね!?」


「ええぇぇぇ・・・」



 義兄にいさああああああん!!!!


 アカンやあああああああん!!!!!


 どー聞いても、詐欺の手口ーーーーーー!!!!


 いや、義兄にいさん、そーゆーの得意やけどーー!!


 ってゆーか、神様相手でもお構い無しなんかーい!?


 ・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・。


 ・・・


 あ・・・そーゆーたら、お構い無しな人やったわ。


 ・・・・・・ん? あー、そっか、なるほど。


 ウチらが興味津々で聞き耳たてとんのはバレバレやし。


 つまり、そーゆー事やな・・・催促。


 ま、どこで聞いたんかは知らんけど、しゃーないなー。


 ・・・あー、コレってアレやな?


 多分、用意してた分がキャンセルになった事知って・・・。


 まー、ええか。


 ほなら、用意させよか。



「気付いたら、いつの間にか手を取ってて

 私に任せてよって言っちゃってたよ・・・。

 いや、良いんだけどね。

 結果的には言ってた以上の待遇だったんだし。

 でも、なんだろね? このモヤモヤ感」


「それは・・・そうでしょうね。

 そのままだと、詐欺の常套手段ですから。

 でも、実際には逆だったって事ですし」


(トテトテトテ)


「うんしょうんしょ」


「・・・おっ?」


(コトン)


「(にへー)きびしゃまー!

 しゃ、しゃむ、しゃきゅにゃひみゃしゃまー!!

 どうじょーー!!」


「(にこっ)あら? ありがとうね?

 わあ・・・これは美味しそうですね~(なでなで)」


「(でれでれ)えらいなー、うたちゃん(なでなで)」


「(にへらー)えへへへ!」


「・・・でも、私達頼んで無いですけど

 良いのかしら? 店長いろはちゃん?(ちらっ)」


「(ふうっ)構いませんよ~。

 新作の料理用のちょっと珍しい食材が届いたんで

 試作してみたんですけど、試食を予定されてた方が

 用事で来れなくなってしまったそうなんですよ。

 ですので、お気になさらず、どうぞどうぞ~」


「あら、そうなの? では遠慮なく頂きましょうか」


「え!? そうなの?

 うわ~~! それは嬉しいなあ!!

 ね? サクヤちゃん!

 ありがとうね! いろはちゃん!」



 ・・・あ、キビ様こっちは本当に偶然っぽい。


 それにしても、アルファ義兄にいさん。


 他にも、色々やらかしてるんやろなぁ。


 うう・・・知りたいよーな、知りたく無いよーな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ▽ 並行して連載中 ▽
↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ