341 冒険者Aさんと桃太郎退治の後始末 ①
あらすじ:アルファさんの付与や道具作成の技術の多くは、
ミケニャンさんとの戯れで磨かれたようです。
視点:満腹! 満足! お土産も貰ってご機嫌 フジョ様
『』:アルファさん
(ズズズ~、コトッ)
「ふう・・・一息つけたのう。
わらわとした事が、ちと食べ過ぎたようじゃな」
「ええ、美味しかったですね、フジョ様。
・・・それにしても。
馬車に乗せてもらえて助かりましたよね」
「うむ、そうじゃのう。
宿まで、さほど距離は無いとは言え
土産まで貰っておったし、わらわもこの通りじゃしな。
ほっほっほっほ(けらけら)」
ふ~~む、あやつも相変わらずじゃな。
用事のついでとは言え
勝手に集まったわらわや町民達に気を使って
馬車に相乗りさせてくれるのだからのう。
・・・どうせ、本人はいつもの如く
気を使ったなんて、欠片も思っとらんのじゃろが。
「(ぼそっ)そう言えば、あの時もそうじゃったか」
「はい? どうかされましたか? フジョ様」
「む? おお、ちと先程の話の続きを思い出してなあ」
「先程の・・・と仰いますと
【モモタロウ】のお話ですか?
子供達にせがまれて、お話されてた」
「おお、そうじゃ、【桃太郎退治】のな」
まあ、実際の所は、子供達だけではなく
大人達も興味津々で聞いておったからのう。
ちょっと脚色して話しておいたわ。
あやつは英雄視されるのを嫌って
あまり自慢話をしたがらんからな。
わらわが少し広めておくぐらいなら
せいぜい、少し評判が上がる程度で済むじゃろ。
むふふふ、ご馳走とお土産と馬車の礼としては
全然足らんところじゃがな。
「えっと、ちなみに、フジョ様?
あのお話の後ってどうなったんでしょうか?
その、鬼の人? 達が住んでるという島とか
退治の報酬とか・・・?」
「うむ、実はわらわが思い出したのはその事でな。
・・・・・・あやつ。
報酬は要らんと言い出しおったのじゃ。
並み居る神々に聞かれてじゃぞ?」
「・・・えっ?」
「しかも、理由を聞いた時の応えがコレじゃ。
{高官達に任せてたら
何時まで経っても埒が明かないから
イライラして衝動的に行った}からじゃと」
「(ひきっ)え、ええ・・・?」
「のう? 驚くじゃろう?
あやつ、正義感でも何でもなく
その場のノリと八つ当たりで行ったと
豪語したようなもんじゃぞ?」
「(ひききっ)うえええ・・・」
「おまけにこうじゃ。
{島の住人達と仲良くなったし、島の方で
お礼の宴やってくれたから、それで十分!}とな。
その場に居った神々達も唖然としたわ」
「・・・あーーーー」
「何じゃ? ビーエルよ。
お主も身に覚えでも・・・おお、そうか。
そう言えば、お主も、祖国からの脱出の時
あやつに手引きされた口じゃったな。
・・・なるほどのう、既に体験済みだったかえ」
「ま、まあ・・・私の事はともかく。
じゃあ結局、報酬は無かったのですか?」
「いや、さすがに笑って見ておられた【創造神様】も
無報酬はまずいからと仰ってな」
「ま、まあ、そうですよね?
それで、アルファさんは何と?」
「{誰か神様紹介して欲しい}じゃ」
「(きょとん)・・・は?」
ま、そうじゃろうな。
報酬の話を聞いたはずなのに
返ってきた答えがそれでは意味が分からぬよな。
【創造神様】も真意を図りかねておられたものな。
だが、ひょっとすると
あやつ自身か関係者に困り事があって
それを解決できる神を紹介して欲しい。
そう言う事かと思って続きを問うてみたら
あやつは臆面も無く言いおったのよな。
「あやつはな?
{誰かあの【鬼族】の島に移り住んで
祀られてくれる神様を紹介して欲しい}
そう【創造神様】にお願いしたのじゃ」




