340 冒険者Aさんと思い出の遊び
あらすじ:桃太郎さんの死因はトリモチで窒息死だったようです。
視点:一緒に宿へ帰還中 ノブユキ・ムトウさん
『』:アルファさん
『ほーれ!』
(ポーーーーン)
「っ!?」
(しゅばばばばばばば)
「わっふわっふわっ・・・」
(バーーン!! バシャアアア)
「ぶわーーーーーー!?」
『わはは!! かかったな! ミケ!!』
(ペッタペッタペッタ)
「んもーーーーーーー!!!! ご主人様!?
毎度毎度、そーやってミケで遊ぶのは
辞めてくださいませってば!!
ビショビショじゃないですかっ!!!」
(ぶるぶる、ビュワッ、ぶるぶるぶる、シャバッ)
『ぶわっ!? 水飛ばすなミケ!!
どうせこの後、風呂入るんやから、ええやないか!』
「・・・・・・(くすっ)」
ふふふっ・・・。
お師様が投げた球や水袋にミケお姉様が飛びつく。
この一連の光景、何度見ても変わらないですね。
やっぱり、お師様達ならではの戯れなのでしょう。
お互いに文句は仰っても、どちらも楽しそうです。
・・・それにしても、これだけ暗くなっても
正確に反応できるんですから、ミケお姉様も凄いですね。
「まーーーったく! ご主人様には困りますわ~。
お風呂に入るから濡れてもいいでしょって
そんな無茶な理論で、毎回遊ばれるこちらの身にも
・・・って、何笑ってらっしゃるんです~?」
「(くすすっ)あっ・・・いえ。
少し懐かしいなと思いまして」
『ん? 懐かしい?
・・・あーーーーーーそっか、ユキの場合。
マリちゃんと一緒に【ヘイアンの都】に
住んどったんやったな。
そしたら、その時に見とるかもしれんのやなー』
「あーーー、そんな事もありましたわねー。
毎日ご主人様とどちらが出し抜くかで
何をするにしても争ってたような・・・」
『わははは! せやな~~~~!
あの頃は、ミケも反抗心バリバリやったから
こっちもあの手この手でやり合ったんやっけ』
「・・・どちらかと言うと
毎回ミケが手玉に取られて
一方的に遊ばれてましたよね~。
正直、あの悪賢い事で有名だった性悪狐よりも
ご主人様の方が何倍も性質悪かったかと・・・」
「(くすくす)お師様達の毎度の掛け合いは
町中でも有名でしたよ?
私も、よく近所の子達と一緒に見物してましたし」
お師様達には申し訳ありませんが
楽しく見物させて頂いたんですよね。
さすがに、他の子達みたいに
一緒に混ざりはしませんでしたけど。
「・・・ありましたわねー、そんな事。
それで周囲の野次馬達の、煽る声が煩わしくなって
【読心術】の精度上げたんですよねー」
『わははは! そーいやそーやったな~~。
んで、ミケがムキになるもんやから
余計周りに笑われとったんやっけ。
いや~、確かに懐かしいな~(げらげらげら)』
「そう言えば、お師様。
あの時に色々と道具を使用していましたよね?
私が【付与術】や【錬金術】に興味を持ったのは
実はそこが始まりなんです」
『え? マジで?』
「えー? アレ見てですかー?」
「(にこっ)はい」
・・・お師様とミケお姉様にとっては
{いつもの戯れ}だったのかもしれませんが
実は、あのお師様達の掛け合いを見ていて
影響を受けた人は、私以外にも多かったんですよね。
職人町で【刻印】入りの道具や絡繰製作が流行ったり
その関係で、民間の術者達に仕事が増えたりしましたし。
そして、それは演劇方面でも影響があって
楽器や小道具、衣装や演出とかにも使われたんでしたっけ。
芸子のお姉様方達からも、扱いもそこまで難しくないし
綺麗で派手になったと好評だったんですよね。
「(じとー)むーーーーーーー」
『わはは! そーむくれんなや、ミケ。
風呂から出たら、ちゃ~んと毛繕いしたるからな~』
「全身モミモミもですわよ! ご主人様!!」
『しゃーないな~! ミケは!』
そう、そうでした。
ここまでが一連の{お約束}でしたね。
ふふっ、やっぱり何度見ても楽しいです。
(ぽんぽんっ)
『よっしゃ! 今日はミケと一緒に
ユキの髪のお手入れもしたるからな~!
わはは! そしたら早よ帰ろっか、2人共~!』
「(にこっ)はい、お師様!」




