339 冒険者Aさんと桃太郎EX ③
あらすじ:風呂あがりのご隠居様に話の続きを聞いてるようです。
視点:剣の腕前は準達人級 ジン・クロガネさん
『』:アルファさん
「ご隠居様、ご隠居様~。
ちょっと教えて欲しいんやけど。
結局、アルファのにーさんが
その島へ助っ人に行きはったんやろか?」
「うむ、そういう事になるな」
「にーさん、どーやって勝ったんです?
その【桃太郎】ってのは強い剣豪やったんやろ?」
まあ、ワイも一端の剣士やし?
さすがに、過去の剣豪とか気になるわ。
話に聞いた限りやと、かなり強かったらしいし?
んで、そんなに強かったんやったら
にーさんがどーやって倒したとかも
やっぱ、気になるんは、しゃーないよな。
「あ! ウチもそれは聞きたいわ」
「そういえば、先生は1人で行ったんですか?
あ・・・ミケ姉さんが行かないわけ無いですよね。
じゃあ、2人?
でも、相手は手下とか、連れてたんですよね?」
「む? まあ、私もそこまで詳細は知らんのだが。
【桃太郎】は古くからのお供だけではなく
勝手に集まってきていた手下・・・と言うか
数十人規模の徒党を連れておったらしいのう」
「あー・・・英雄扱いやから
甘い汁のおこぼれに預かろーって輩かー。
・・・ホンマ、どこにでも湧いてくるなあ」
ワイも地元におった時は、ボチボチ有名やったから。
そーゆー輩にしょっちゅう声かけられとったもんな。
まー、ヤバイくらいしつこい奴がおって
ワイの家族にまで根回ししようとしたから
キレて真っ二つにぶった切ったったら
そっからは声かけてくるやつ、めっさ減ったんやっけ?
アレはワイ悪くないよな・・・?
うん、ちょっかいかけられたワイが悪い訳あらへんな!
「そんで? そんで、おじいさま!?
おじさまの活躍は!?(ずずいっ)」
「う、うむ、【桃太郎】に対して聞いた話だと・・・」
「「「だと?(ドキドキ)」」
「【トリモチ玉】で窒息死させたそうだ」
「「は・・・?」」
はあ? 窒息死?
トリモチ? どーゆーことやろか?
「・・・・・・あ」
「ふむ? ライムグラス君。
何か思いついたのかな?」
「あ、あの・・・えっと。
思いついたというか思い出した事があって
・・・もしかしてなんですけど。
(ごそごそ)こういう事じゃないですか?
例えばなんですけど・・・?」
(コロンッ)
「うん? 何かの木の実?」
「それをどうするん?」
「・・・・・・」
「こうします(ぽいっ)」
(ポーーーーーーーーーーーーン)
「おわっ!?(ぱしっ!)」
「うむ・・・正解だ、ライムグラス君」
「えっ!? 合ってます? あはは・・・」
「んんんん????」
お嬢はわからんかったみたいやな。
まあ、お嬢はしゃーないやろ。
別に、前衛で剣使う訳でもあらへんから
あんましそんな経験ないやろしな。
にしても・・・。
「・・・なるほどー! やな。
凄いやん、ライスちゃん?
確かに、腕のええ剣士ほどやってまう癖やわ。
ホンマ、よー、パッと気付いたもんやなあ・・・」
「(ガーン)えっ? わからんかったのウチだけ!?
そ、それは・・・ちょっとショックやわ!?
え? それって、専門的な話なん?」
「(にこり)ふぉっふぉっふぉっ。
ユミネよ、そんな別段難しい事ではないのだ。
先ほど、ライムグラス君が投げた時
ジン君はどうしたか見ておったろう?」
「え・・・? パシッと受け止め・・・あっ!?
あーーーーーーーーーー!(ぽんっ!)
なるほど!! おじいさま。
ウチにもわかりましたわーー」
「・・・しっかし、コレって。
多分、ワイでもひっかかるやろなあ・・・」
つまりは、タダの{反応}の話なんやけど
前衛で武器振っとる人間からしたら
ホンマやらしい手段やで。
特に刀使っとる人間やったら尚更やわ。
そら、刀使いやったら盾持っとらんのが大半やし
戦闘態勢入っとる時に、顔に何か飛んできたら
斬り払うやろ・・・刀で。
普通の市販品やったらともかく
にーさんの使っとる【トリモチ玉】って特製で
【付与術】で{指向性}が付与されとるから
発動後に投げたら、斬撃だろーが、衝撃だろーが
当たった方向に広がる優れもんやもんな。
そら、知らんかったら斬るやろ。
まあ、それ以上に何がやらしいかってゆーたら。
初心者や素人さんやったら、全く反応でけへんか
慌ててのけぞって避けるやろ?
逆に達人の域まで行っとるんやったら
刃の軌道とかも、全部見切りよるし
咄嗟でも見極めて避けれるやろな。
つまり、【桃太郎】ってのは、半端に強いせいで
飛んできた【トリモチ玉】を斬ってもーて
トリモチが顔面直撃!! って事やな。
・・・まあ、ワイも人事やあらへんのやけどな。
割と武器に頼りがちやもんなあ・・・。
「ちなみに、たまに見かけます」
「「「えっ?」」」
「えっと、水とかお酒が入った
携帯用の皮袋なんですけど。
先生が少し遠くに投げて渡した時とか
落として地面で弾んでる時なんですけど」
「「「?」」」
「ミケ姉さんが凄い速さで飛びつくんで
勢いでパーーーン! って・・・」
「「「・・・・・・」」」




