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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
338/401

338 冒険者Aさんと桃太郎EX ②

あらすじ:以前に悪化した町の住民達と冒険者の関係は

     ここ2年程でかなり改善してきてるようです。


視点:連絡ついでに一番風呂を頂いたご隠居様 ゲンジロウ・フジさん

『』:アルファさん


(ズズズ・・・、コトン)


「ふう・・・、風呂あがりのお茶もまた良いものだ。

 わざわざ淹れて貰ってすまんな、ライムグラス君」


「(ぽりぽり)あはは、まあ、その・・・。

 アタシはユキ姉さんみたいに

 正式な淹れ方とか知らないですけど

 失敗してなかったみたいで良かったです(にかっ)」


「ほんま、ありがとうな! ライスちゃん(にこにこ)」



 ふむ・・・。


 以前、酒場で給仕をしている時に見た感じでは


 一見すると快活に振舞ってはいても


 どこか無理をしている様に見えたものだが


 今は少し違う様に見えるのう。


 アルファ君の弟子になった事で


 何かが吹っ切れたのかも知れんな。



「・・・あ、そうだ!

 あの、ご隠居様? もし良かったら

 さっきの話の続き教えてくれませんか?」


「む? さっきの話?」


「えっと、ほら、アレですよ、アレ!

 先生が最後に話してた【モモタロウ】が

 暴走して犯罪者になったっていうお話!

 アタシ、続きが気になっちゃって!」


「おお、その事か。

 だが、それならばアルファ君に直接聞・・・ああ。

 彼は知識や技術的な事を語るのは好きだが

 あまり自分の、特に自慢となるような事は

 自分からは話したがらないからのう」


「あーーー、確かにおじさまって

 そーいうとこあるもんねー。

 ウチも本当はもっともっと!

 おじさまの活躍したお話聞きたいんやけど

 いっつもはぐらかされて

 肝心な部分聞かれへんのよー」


「あーーー、ユミネさんでもそうなんだ・・・。

 ほら、さっき先生が言ってたのって

 {犯罪者として捕まった}じゃないですか?

 肝心の誰がって言ってなかったんで

 あ、それって先生の活躍なのかなって?」



 ほう・・・アルファ君の言葉をそう捉えるのか。


 まだ弟子となって、日は浅いはずだが


 よく彼の癖や傾向まで気付けたものだ。


 ・・・・・・ふむ。


 ノブユキ君はともかく何故この子を弟子に?


 とは思っておった。


 何しろ、境遇や背景に同情する事はあっても


 滅多に同調はしないタイプだからな、彼は。


 ひょっとすると、内面的に近いモノを感じて


 手元で育ててみたくなったのかもしれん。


 ・・・まあ、どちらにせよ


 いつもの気まぐれには違わんかのう。



「ほっほっほ、なるほどのう。

 それで知っている第三者から聞くのは

 実に良い判断と言えるぞ、ライムグラス君。

 よかろう、簡単にだが語ろうではないか」


「やった!」


「よかったやん! ライスちゃん。

 あ、ウチお茶のおかわり淹れてくるな~」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「・・・と、その様な訳で

 アルファ君がウラ君を介抱した訳だ。

 その時に詳しい事情も聞いたのだよ」


「さすがやわ~、おじさま!」


「うわあ・・・肝心の神様達が

 良いって言ってくれてるのに

 排除しようとしたの!?」


「はあ~~、これやから朝廷の人らはホンマ。

 ・・・あっ!? いや、ご隠居様は別やで!?」


「いや、そう言いたくなる気持ちはよくわかる。

 実際に、私もそう思ったからこそ

 色々と動いた訳だしな」



 ・・・そう。


 神々の前に、泳ぎ疲れたウラ君が姿を現した時は


 まだ、当時の高官達もさほど変化はなかった。


 問題は、ウラ君が【桃太郎】の名を出した後だ。


 明らかに彼らに動揺の色が見えて焦りだし


 ウラ君が島の窮状と救助を請う前に


 彼女をあの場から排除させようとした。


 ・・・まあ、あの後調べてみた結果


 彼らが【桃太郎】を無理矢理英雄に仕立て上げ


 それを功績として、朝廷内でも影響力を強め


 各方面から多大な権益を得ておったのよな。


 それも、数多くの犠牲者は出なかった事にして


 功労者には、金銭や女を宛がって堕落させてな。


 その結果が、自惚れて欲に溺れた【桃太郎】が


 暴走するという事態を招いた訳だからな。


 まあ、慌てるなと言う方が無理かもしれんのう。



「・・・なあ、ジン? やっと来たかと思ったら

 何で風呂にも入らんと、しれっと話に加わってるん?」


「まーまー、ええやないですか、お嬢。

 んで、ご隠居様。

 結局、アルファのにーさんが

 鬼の娘はんの島へ、助けに行ったんでっか?」


「む? まあ、結果的にはそういう事になるな。

 実はその時に、アルファ君が高官達に聞いたのだよ。

 直ぐに救助を出せるのかどうか・・・とな」


「あーーーーーー、それって、結局。

 お偉いさん達があーだこーだゆーとって

 全然話進まん上に、挙句に責任の擦り付け合い始めて

 それ見たにーさんがブチキレてもーて

 {もういい、自分が行く!}的な事に

 なったんとちゃいます? 何となく。

 ちなみに、ワイやったら絶対なリますわ」


「・・・ウチもなるやろね」


「うむ、まあ・・・少し違うが

 概ねその通りではあったな」



 実際には、ミケ君がキレてしまったせいで


 アルファ君がミケ君をなだめる側に回っていたのだよな。


 彼はいつも通り、笑ってウラ君の救助を受諾していたが


 ミケ君があっさり大人しく従った所を見ると


 内ではかなり怒っていたのを感じたのだろうな。


 まあ、そこまで言わなくても良いだろうし


 ここは、黙っておく方が良かろう。



「(こくり)うーん・・・・・・?

 その場合って案外、ミケ姉さんの方が

 キレそうな気がするなー。

 それで、先生がフォローに回ったせいで

 逆に冷静だったとか?

 あ、でも、冷静に見えただけかも?」


「「「!?」」」



 この娘・・・単に勘が鋭いのか?


 もしくは、本当に思考が似ている?


 ・・・ふむ、どちらにしても


 将来有望と言うのには変わらんか。


 ・・・なるほどのう。


 アルファ君も面白い娘を弟子にしたものだな。


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 ▽ 並行して連載中 ▽
↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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