332 冒険者Aさんと鬼娘と逸話 ②
あらすじ:ウラさんは鬼族だそうです。
そして始まる主従の茶番ファイト!
視点:今日は出張受付で大忙しだった インディアさん
『』:アルファさん
(ワイワイ、ワイワイ)
朝っぱらから始まったこのお祭り騒ぎ。
せいぜい続いても、夕方前には終わるかと思ったら
・・・もう普通に夜なんですけど?
コレ、このまま行くとギルド会館の終業まで続くんじゃ?
まあ、いつもより忙しくなったって事で
臨時で追加のお給金貰えたからいいけど。
・・・珍しいものも見れたし?
・・・・・・昼も夜もおいしいもの食べれてるし?
「はあ・・・{鬼}・・・ですかぁ~?」
『せやで~、インちゃん。
【フソウ】名物の{鬼の一族}や!』
「め、名物・・・?」
「お、おらの一族って名物だったんだべか・・・」
「すごいでヤンスね!」
『わははは! ウラちゃんはええ娘やしな!
当分こっちで一緒に行動するつまりらしいし
ギルドの皆も仲良ぉ~したってな~!(ぽんぽん)』
「(にこにこ)えへへへ、よろしくお願ぇしますだ」
「おう、こっちこそな・・・にしても・・・。
(ばくばくばく)うめぇな!? このブタ串!」
「(にこにこ)よろしくお願いしますね。
・・・ああ、ギルド長、タレが服についてますよ?」
今はマリさんがギルド会館の方に戻って
ギルド長やさわメン先輩とかがこっちに来てる。
さすがに暗くなる前に【飛竜】は馬車工房の牧場に連れてってた。
馬車の荷台に乗せてたけど、あんなに大人しいものなの?
・・・と言うか、馬牧場に竜連れてって大丈夫なの?
まあ・・・大丈夫か、あのおっちゃんの事だし。
・・・それにしても、{鬼}ねえ?
・・・・・・あっ! そう言えば。
「あの・・・少し質問よろしいでしょうか?」
『ん~? どしたんや、ノーヴェくん』
「(にこっ)ええ、昔の・・・子供の時の話なんですが
【モモタロウ】という{絵本}を読みまして」
「あー・・・・・・」
「あっ・・・」
『あ~~~~~~~~~』
は!? 聞いちゃった!!?
いや、確かにわたいも、今思ったけど!!!
聞きたいなーと思ったけど!!!
ま、わたいは田舎の貧乏農家の出身だから
子供の時に本なんて読めなかったんだけど
デルタがたくさん持ってたから
好きなだけ読ませてもらったんだよねー。
そこだけは、あのお嬢様に感謝かな?
特に【フソウ】の本は、製本の質が良くって
おまけに、話の内容も色んなのがあるから
人気あるけど、基本的に交易でしか入ってこないもんね。
そんな貴重本をたくさん揃えてたんだから
デルタの親父さんは、さすが大したものよねー。
まー、肝心の娘は本嫌いだったから
価値とか関係なく、全く読んでなかったけどさ。
実に勿体無い・・・ま、今更よね。
・・・それはそれとして。
あの話って{鬼}は{鬼}でも{鬼退治}の話だよね?
それを【鬼族】の人に聞くとか・・・。
や、やるなー、さわメン先輩。
「(ほへー)いんやぁ~、驚いたべ。
他所の大陸でも、そったら話って
伝わってるもんなんだべなぁ~」
「(もぎゅもぎゅ)ん~~~!! んっま~~~い!!
・・・あ~【桃太郎】かー、うちも読んだわ~。
まー、もうちょい大きくなってから
あの話の意味って知ったんやけど。
以降の事はともかく、そこまでは良かった話やね」
「(がつがつ)おじょ・・・んぐっ・・・お嬢~。
頬張りながらしゃべるなんてお行儀悪いで~?
はー、それにしても【桃太郎】かー。
なっつかしいやんかー! あ、ワイにもおかわり!!」
「ふむ・・・うむ!(ぱくぱく)」
『わはは! 3人とも遠慮せんとたっぷり食ってや~!
さすがに【赤ブタ】はもう在庫あらへんから
他の肉になるけどな! これはこれでうまいで?』
「「はーーい!!」」
そして、昼には居なかったのにいつの間にか
当たり前のように現れたお爺ちゃん一行。
相変わらずよく食べる。
特にわたいよりちょっと年上っぽい美人のねーちゃん。
よく食べる・・・すっごい食べる。
さすが、この町が誇る腹ペコ町長代理や
底無しドワーフ娘と同格の大食い。
給仕する側も大変だよね・・・。
それにしても、{話の意味}って何のことだろ?
チラッと聞こえちゃったんだけど・・・。
何か、聞いちゃったら後悔しそうな気がするから
聞きたいような・・・聞きたく無いような・・・。
「ところで【モモタロウ】に裏話があるんですか?」
「あ! アッシも! アッシも聞きたいでヤンス!」
「こらこら・・・2人共?」
「へえ・・・裏話ねえ? そんなのあるのか?
そうなのか? アルファ」
『あ~~~~、それなーーーー』
「・・・ふむ・・・【桃太郎】のう・・・。
裏話と言うより話の真相だな。
ウラ君がよければ、詳しい話をしても構わないのだが
どうかな? ウラ君」
「あっ、おらは別に構わないだよ。
【桃太郎】は、まあ・・・ともかく~。
それに出てくる{鬼}って、おら達とは無関係だし」
「え? 話に出てくる{鬼}って
【鬼族】の人達? とは関係ないの?」
『せやでー?(にやにや)』
・・・あっ、やっぱりコレ。
聞いた後になって、聞かない方が良かった~!
ってなるパターンじゃ!?
だって、おっちゃんがニヤニヤしてるもの!!!




