330 冒険者Aさんと予想外の出迎え ⑥
あらすじ:サクさんは飛竜に餌をあげて、少し仲良くなれたようです。
そして、従者のサンシターさんはちょっぴり嫉妬。
視点:飛竜便で一緒に来た鬼っ娘 ウラさん
『』:アルファさん
『(ひらひら)お~~い! 3人共~~。
スズメちゃんのご飯やりありがとうな~。
後は俺が交代するから
みんなもご飯の続き食べてや~~!』
「あっ! アルファ先生!(ぱあぁぁぁ)
はいだずら! わがりますた!
ありがたぐ、いただぐます!」
「わーい! ご飯の続きでヤンスー!
アッシ、まだまだ食べたいでヤンスよ~~!!」
「・・・んしょ! んしょ!」
(ひょいっ)
『ほれほれ、サクもやで~?
これはととさまに任せとき。
(ぽんぽん)サクもお腹いっぱい食べるんやで?』
「(にまー)え、えへへへ!
ありがとうございます、ととさま!」
ほげぇ・・・!? さっきサクちゃんど話すてて
先生がサクちゃんを養子にすだってのを聞いたども。
あの先生が{お父さん}やっどる姿どか・・・!
おら、今すんげぇもの見どるんじゃないだか?
これは島さ帰ぇったら、皆に自慢してやるっぺ。
・・・おっど!? それはそうどして
わーーーい! ご飯だす! ご馳走だす!!
先生の用意してぐれるご飯だもの!
絶ってぇうめぇに決まってるだ!!
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
(ジュウウウウ、パチュッ、パチュッ)
「(もきゅもきゅ)~~~~っ!」
「(はぐはぐ)んみゃい! っでヤンスゥ!!」
「へええ・・・こっちの子が
義兄さんの娘さんのサクちゃんで
隣りのピンクの・・・ピンクの? 何だろ?
とりあえず、人間ではないんだろうけど
この子がサクちゃんの従者なのか・・・」
ああっ!! やっぱ、うめぇだす!!
どんどん焼いてくれるんだもんで
箸が! 箸が止まらない!!
・・・ああ・・・そうだすよね?
やっぱり、タケジロウどんも知らなかっただか。
それにしても、これって、何のお肉なんだろ?
焼いても、すんげぇ真っ赤で綺麗なお肉なのに
こう、むっちりもっちりとしてて。
脂っぽぐ無いのにじゅわっと・・・お肉の汁だべか?
あっ! ひょっとすて、これがお偉いさんだつが
よぐ食べるって言う高級な牛さんだべだな?
・・・え? 豚さんなんだか?
おら、こんなにうめぇ豚さん初めて食っただよ!
「(がつがつ)ほへも! ほへも!
どへもふめぇだ・・・・・・!
んぐっ!? んんんんっ!?(どんどんどん)」
(スッ)
「(にこっ)大丈夫、慌てないで下さい。
はい、こちらをどうぞ、冷たいお茶です。
慌てないで、ゆっくりと飲んでくださいね?」
「(こくこく)~~っ!?!?!」
・・・・・・ふはぁっ!!!!!?
つ、ついついがっつきすぎただよ。
どうぬも、目の前にご馳走があると
食べれるだけ食べてしまう癖は変わらないだなぁ。
う~~ん、みっともないだぁ。
「(にこにこ)ふふっ、大丈夫ですか?
まだまだたくさんありますので
ゆっくりお召し上がりくださいね?」
「(かあぁっ)う、うん。
どうも、あ、ありがと・・・うだ・・・(ぽーー)」
ふ、ふあぁ・・・!?
まっこと、めんこい女子だべなぁ・・・。
この町の子なんだろか?
いやぁ、だども髪の色も顔も【フソウ】の人っぽいし。
アルファ先生のお知り合いだべか?
・・・それにしても、背丈も小柄でしなやかだし。
透き通るような白い肌に、艶のある長い黒髪も
ほんど良く似合ってるだなぁ・・・。
おらは、族長のおっ父の血を濃く継いでるから
そごらの男の人よりも大っぎい頑丈な体に
硬い癖っ毛の髪の毛に大っぎな2本の角。
おまげに島ん中でも、5本の指に入る怪力だったから
子供ん時から、男女ってからかわれでだもの。
立派なおっ父と、おっ母に貰った体だ。
おら自身は全然恥じる事はながったけんども。
やっぱり、島ん外に出て、他の女子見てると
どうすても、違いは感じちまうだなぁ。
『(ぶんぶん)おーい、ユキ~! 悪いんやけど
後で飲みもんだけ持ってきてくれるか~?
もちろん、泡の出る魔法の水の方な~!
わははは!!』
「(にこっ)はい! 承知致しました、お師様」
「(ぽーー)ユキさんって言うんだ。
・・・え? 今、お師様って???」
「ん? そうだよ?
まあ、僕もさっき紹介してもらったんだけどね。
あの子はノブユキ君って言って
新しい義兄さんのお弟子さんになった子だ。
ちなみに、あっちで給仕してる娘さんもそうだね。
あの子の名前はライムグラスちゃん。
ほら、お弟子さんを取った事自体は教えただろう?」
「・・・えっ? ええっ!?」
「・・・あれ?? 覚えてない?
出発前にウラさんにも言ったはずだけど」
「え・・・の、の、のぶゆき・・・{くん}!?」
「・・・ああ、そっちに驚いてるのか。
いや、その気持ちはわかるよ? 僕も驚いたし」
えっ!? えっ!? えっ!?
あ、あ、あのめんこい女子が!?
実は男子なんだべか!?
あ、あはは・・・お、おらと正反対だべな~。
ちょ、ちょっと、色んな意味で心が痛いだ。
「(おずおず)あ、あのぅ、どうかしましたか?」
「(きょとん)あれ? どうかしたんでヤンスか?」
「(ぶんぶん)う、ううん!? な、何でもないだよ。
うん! 何でもない何でもない! あ、あはは!
さ、さあ、おらもまだまだ食べるだよ!」
う、うん、いげないいげない。
サクちゃんとサンシターちゃんに
心配かけちゃだめだっぺ。
よ、よし! 気にしない!
気にしないで、今は食べるだよ!
「(うんうん)うんうん。
いやー、その気持ちはよーくわかりますよ~。
ま、今はアタシがじゃんじゃん焼きますんで
ガンガン食べてってくださいね!」
「あ、ありが・・・だれだっぺっ!?」
「いや、ウラさん。
だからさっき言ったよね?
お弟子さんのライムグラスちゃんだよ。
ノブユキ君の代わりにこっちに・・・。
・・・これは、ショックで聞こえてなかったな?」
「あはは・・・えっと、アタシの名前はライムグラス!
略してライスって皆には呼ばれてますんで
お2人も、良かったらそう呼んでください!
よろしくお願いしますね? ウラさん!(にかっ)」
「う、うん、ごめんだべ、えっとライスちゃん。
こちらこそ、よろしくね」




