326 冒険者Aさんと護衛とその神様 ②
あらすじ:仮の離着陸場は、冒険者ギルド協賛の宴会場へと変わり果てました。
視点:見物に来たついでにお手伝い中 物書き神様の護衛 ビーエルさん
『』:アルファさん
(ゴヒュゥ・・・・・・ペカーーー)
「「うわぁ・・・」」
(ビュビュビュッ、ペカカカーーー)
「何じゃアレ? えぐいのう・・・」
既に上がってる狼煙に、赤色のを追加したかと思ったら
ミケニャンさんが次々に何か投げ始めて
遠くの方・・・多分、【飛竜便】の方向?
そっちでピカピカ光りが・・・。
うん、事実だけ言葉にすると意味わからないですね。
「次々に落ちていきますね・・・。
アレって、ミケニャンさんの能力とかでしょうか?」
「・・・いや、あれは違うのう。
わらわでも分かる力を感じるから
アルファのやつが何かしとるんじゃろうな。
・・・ふむ、恐らくじゃが、狸娘に何か投げさせて
それを【神の加護】で誘導して当てとるんじゃろうて」
「誘導・・・ああ、なるほど! スキルですか。
投げてもらえば、速度や射程に使う力も要らないから
あれだけ正確に誘導できるんですね」
「しかも、光った後、獲物は下に落ちとるようじゃし。
麻痺とか衝撃で気絶させとるんじゃろうなあ。
どれだけ飛ぶのが上手い生物でも
あの高さから無防備で落下したら
さすがに死ぬじゃろうし?」
いやぁ・・・あははは・・・。
さらりとそんな合理的な事を、躊躇無くとか。
さすがはアルファさん。
私の出身国、【ランス帝国】で
上位の高額賞金首になるのも納得ですよ。
・・・しかも{生死問わず}ですし?
ま、私の家出と言うか、亡命? の時も
何だかんだ、手引きしてもらってるし
他にも色々聞いちゃってますしね。
でも、アルファさんだけじゃなく
あの国嫌ってる冒険者さんは多いですからね。
自分の元故郷の事とは言え、自業自得な気が。
それこそ私だって、国の外に出たからこそ
帝国がどれだけ問題だらけなのかって
嫌でも気づかされたわけですし?
皇帝による独裁政治だとか、やたら軍事に注力してるとか
自国民の利益が第一・・・とかはまだしも。
自国民だけっていうのが問題なのよね。
自国民だけの繁栄の為に、中立だったり友好国だった
近辺の村とか町を、交渉無しの問答無用で
軍事力使って攻め落として植民地化とか・・・。
しかも、植民地化した土地の元住民は
自国民にしないで、全て奴隷扱い。
そして、皇族とか貴族なんかは、それを当然と思ってて
国民も、その事に何の疑問も持っていない。
・・・うん、客観的に見ても酷い。
そりゃ、周辺国は全て敵になるわよね。
「まあ、あやつの事は置いとくとして
わらわ達も食事を分けてもらおうかの。
ビーエルが頑張ってくれたことじゃしな」
「はい、フジョ様!
ああ・・・私もおなか減りましたよ!
(くんくん)うーーーん・・・良い匂いがします!」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
(ジュウウウウウ、ワイワイ、ガヤガヤ)
「・・・よもや、全て無料とはのう。
どれだけ豪気なやつなんじゃ、あやつ」
「(もぎゅもぎゅもぎゅ)~~~~!!!?」
「(けらけら)ああ、よいよい。
ゆっくりよく噛んで食べるんじゃぞ、ビーエル」
「(こくこく)~~~~!」
んんんんん~~~!!!!
故郷を出て、フジョ様の芸術の次に感動したのは
やっぱり、お食事ですよね!!
あっちの料理自体も、まずいって訳じゃ無いですけど
とにかく礼儀礼儀で煩かったですからね~~~。
こんな・・・こんな! こんな感じにっ!!!
串を手掴みで、熱々を口いっぱいに頬張るなんて!?
滴る肉汁をすすり! 思う存分もっぎゅもっぎゅ!!!
んっはああああああああああああああ!!!!!
何でこんなに美味しく感じるのっ!!!!?
あはははは!! 手も顔も脂とタレでベッタベタ!!
でも・・・だから良い!! これだから堪らないっっ!!!
「あははは! お姉ちゃん嬉しそう!」
「おお~~、良い食いっぷりだねえ!
どうだい姉ちゃん、こっちのも食ってみねえか?
今朝獲れた大貝を網の上で焼いたんだがよ。
これがまた、うめぇんだぜ?」
「(んぐんぐ)いひゃひゃきましゅ!!」
(ワハハハ、ジュワアアア)
「・・・ここは気持ちの良い町じゃのう。
なあ? アルファよ」
『わははは! せやな~。
2年前に俺が来た時に比べたら、かなり変わったわ。
あん時はホンマ町中ピリピリしとったからな~』
「(むぐむぐ)~~~~!?」
い、いつの間に、ここへ!?
はっ!? いけないいけない!! 私は護衛なんだから!!
いくらこの大貝の網焼きが、香ばしくって
塩加減もバッチリで、噛めば噛むほど
旨みたっぷりのお汁が染み出てくるとしても!
例え、フジョ様に危害を加える事はありえない方だと
理解していたとしても!!
護衛なんだから!!!
この大貝だけじゃなくて、エビの串焼きがまた!
殻の焼けた香ばしい香りがたまらないとしても!
何これ!? プリップリじゃない!!?
弾力のある歯応えだけじゃなくて
鼻まで突き抜ける風味に、口一杯に広がる甘さ
えっ!? 何ですか?
このエビミソを使った特製のタレを塗ったら
もっと美味しい!?
な、な、な・・・・何ですってーーーー!?
「(ぷるぷるぷる)~~~~~~!!!!!!!?」
『わははは! な? うまいやろ?』
(ザワザワ、ジーーーーーーーー)
「・・・(ごくり)・・・アルファよ、何じゃそれは?
もちろん、わらわのにも塗ってくれるんじゃろ?
ほれ、遠慮するでないぞ?(ずいっ)」
「なっ! なあ! アルファさん!?
俺にも頼んまぁ!! なっ!?」
「あっ! ぼくもぼくも!!」
「ちょっ! ・・・わ、私のにも!!」
(ザワザワザワ、ワイワイワイワイ)
「・・・・・・あのー、ご主人様?
もう、すぐそこまで来てるんですけど?
・・・あ、ダメですわ、これ。
ミソダレ塗ってて聞いてませんわね。
ああ、ユキさんまであちらに・・・」
「あははは・・・えっと、ミケニャンさん。
私達だけでも出迎えましょうか」
「・・・はい、お願いしますわ、メガネさん」




