319 冒険者Aさんと高級お宿のお悩み
あらすじ:冒険者3人、撃沈。
度数が強くて口当たりの良いお酒には注意です。
視点:ホテールのゴージャスホテル 副経営者 ブティークさん
『』:アルファさん
(パタン、ゴシゴシゴシ)
「ふウーーーム・・・そろそろ寝マースカー」
「そうよパパ。
最近もあっち行ったりこっち行ったりで
今回だって一昨日に帰ってきたばっかりじゃない。
娘としても心配なんだから、あまり根詰めないでよね?」
「おーーーウ! 心配かけてごめんネ! 愛娘ちゃん!
でも、パパはほら! まだまだ元気デース!!」
もう・・・パパったら、何でこんなに元気なのよ!?
しかも無駄に見た目若いし! 異常に!!
私もうすぐ50よ? それなのに並んだら
同年代かパパの方がそれ以上に若く見えるって何よ!?
どうなってるのよ! しかも実の娘にすら
本当の年齢はいつもはぐらかして教えてくれないし!!
・・・まあ、それ聞くのはもう諦めたけどさ!!
これは・・・奥の手しかないわね。
「・・・・・・はぁ。
これは、長女だけじゃなく、次女にも
きつく叱ってもらった方がいいかしら?」
「おウ!? ダメヨ! それダメ!! ダメデース!!
孫娘ちゃん達に嫌われタラ、じーじはもウ・・・!!
この先、生きて行けないデース!!?」
ふっ・・・いくら外見の若いパパでも、内面はお爺ちゃん。
可愛い孫娘達に嫌われる事を持ち出したらこんなものよ。
さて、それじゃ孫バカのパパにはさっさと寝てもらって・・・。
「はいはい、嫌われたくなかったら後は任せて・・・」
(ギャー、ギャー)
「・・・また騒いでるわね、あの人達。
うーん・・・今日は他のお客さんが居ないから良いけど。
神様? とその護衛の人であっても
あまり騒ぎが続くようだったら
出て行ってもらった方がいいかしら?」
えっと? 私は未だによく知らないんだけど
何かの創作活動してるのよね、あの神様とお供の人。
あの人達が何を言い合ってるのか知らないけど
騒ぐだけならまだしも、この間は床を血塗れにして
すごいビックリしたのよね・・・。
まあ、自分達で掃除してたし、不思議な粉撒いたら
以前よりも綺麗になっちゃったし。
でも、そろそろ釘を刺しておいた方がいいわよね?
(バーーーーーーン!!)
「何言ってるの!? ママ!!
フジョ様よ!? あのフジョ様!!!
むしろ、出て行くのを止めるぐらいでないと!!」
「え・・・? あ、お帰りメイちゃん?」
そう、問題はウチの娘達が、その創作物を愛読してて
神様達の大ファンだって事なのよね。
だから、余計に怒りたくても怒れなかったのよ。
「(ガタンッ)そうだよ! 母さん!!
それにアレは騒いでるんじゃなくて、大事な・・・!
そう! 崇高な論争をしてるんだよ!!」
「えええっ!!? ビーちゃんまでどうしたの!?」
ええっ!? もしかして、息子まで!?
確か聞いた話だと、それの愛読者って
女性がほとんどだって・・・・・・違うの!?
あれっ!? いつから!? 以前から????
(ガタタンッ!!)
「「任せて! ちょっと行って来る!!」」
(ダダダダダダ!!!!)
「お、おーーーウ、2人共行ってしまいましたーネ」
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▽ ▽ ▽
▽
「・・・戻っテこないデスネー」
「・・・それどころか」
(ギャー、ドンッ、ギャー、ドンッ、ギャー)
「余計に騒がしくなったデース・・・」
「・・・仕方ないわね、私達も見に行くわよ、パパ」
何がどうなってるのかは知らないけど
はあ・・・正直、嫌な予感しかしないんだけど?
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▽
(ドンッ!!)
「(ぐわっ)何言ってるのよ!? ビーちゃん!!
不安げな男の娘を優しく包み込むおじさんの包容力!
それが王道ってものじゃない!!」
(ドドンッ!!)
「(ぐわっ)姉さんこそ何言ってるんだよ!!
今の王道は小悪魔系っ!!
儚げに見えて実は・・・!?
そして、じわじわと逆に手玉に取る!!
それが良いんじゃないかっ!!」
「「・・・・・・」」
うーーーーーわ・・・・・・何? どういう状況?
何で騒ぎを止めに行った娘と息子が
逆によくわからない事を言い合ってるの?
男の娘? おじさん? どういう事? 内容も意味不明だし。
・・・でも、なぜかしらね。
理解しない方が、良さそうな気がするわ。
「おっ? おお、女将か。
いやはや、騒がしくしてしもうて、ほんにすまんのう」
「(ふかぶかー)本当に、申し訳ありません。
私達は意見を出し合っていただけ・・・
だったんですが・・・その・・・」
「「~~~~~!!!!!」」
(ギャー、ギャー、ギャー)
「・・・ええ、それを聞いていたうちの子達が
むしろ騒ぎ立ててしまった・・・という事ですね?
はあ・・・逆にご迷惑をかけてしまったようで
本当に申し訳ありません(ふかぶかー)」
「おーーーウ、これはマタ、すいまセーン!」
「(ふるふる)いやいや、顔を上げてたもれ。
元はと言えばわらわ達が騒ぎすぎた事が原因。
こちらこそ謝らなければならぬ」
「あの・・・図々しいかと思われますけど
今後はもう少し抑え気味にしますので
できれば、宿泊は続けさせてもらえませんか?
私もフジョ様も、こちらのお宿。
凄くすごしやすくて、気に入ってますので・・・」
「え? えっと・・・はい。
事前にある程度事情は聞いていましたし
他のお客さんが居られる時に、そこだけ注意して頂ければ
こちらとしましても有り難いお話ですけど・・・。
・・・って、メイちゃん!! ビーちゃん!!!
あなた達! いい加減にしなさい!!」
「「(びくっ!!) はい! ごめんなさいっ!!」」
はあ・・・本当に困った子達ね・・・。
でも、珍しい。
うちの子達、今まで滅多に喧嘩もしなかったし
こんなに凄い剣幕で言い争ってた? ・・・のって
見たのは、いつぶりかしらね?
何をそんなに・・・・・・。
「(ぶつぶつ)・・・小悪魔・・男の娘×・・・」
「(ぶつぶつ)おじさん×・・・王道・・・」
うん、ヤメヤメ! 気にはなるけど
内容に関しては深入りしない方が良さそうね!!




