308 冒険者Aさんと約束の訓練 ④
あらすじ:大半の神様達は、裏技を許可どころか推奨してるようです。
視点:Dランク冒険者 シーフLv5 ヤンキさん
『』:アルファさん
「なー、おっさん」
『なんやー? ヤンキくん』
「結局、うちの知恵袋君は何のスキル覚えりゃいいんだよ?
いや、色々と参考になる話ではあったんだけどさ」
「・・・そういえば、そうだったっけ」
「肝心の本人が忘れててどうするんだよ。
元々はそういう相談だったろ?
いや、僕もすごく参考になったのは確かだけれど」
『あー、それはやな!』
「「「それは?」」」
『知らんがな! わはははは!!』
「「「ええええっ!?」」」
し、知らんって、何だそりゃーーーーー!!!!?
結局、今までしゃべってたのは何だったんだよ!?
おいおい! 時間の無駄・・・ではなかったけどよ!
「お、おい! おっさん!!
どういう事だよ!?」
「ヤンキくん? 次、ご主人様をおっさん呼ばわりしたら
・・・八つ裂きに引き裂きますわよ?」
「(びくっ)ひっ!? すんません! 姐さん!?」
『わはははは!! ヤンキくんを脅かしたらアカンでミケ~。
呼び名なんて、みんな好きに呼んだらええやんって。
え~っと、そんでな? ヤンキくん』
「お、おう? (びくっ!)・・・あ、いや、はい!」
『俺が知らんってゆーたんはな?
単にそれを俺が決めてどーすんねんって事や。
どーゆーのが有効かは、さっき説明したったやろ?
後はキミらのパーティ内で相談して決める事やで~。
せやろ?』
「あっ・・・そりゃ、そっか」
「うぐ・・・そうでした、すいません、アルファさん」
「あはは・・・僕ら甘えすぎでしたね、ごめんなさい」
しまったな・・・ケベックの言う通りだ。
おっさんが気軽に相談に乗ってくれて
色々と教えてくれるもんだからって
俺達もそれに甘えすぎてたよな。
本当は俺達だけでその答えを出さなくちゃいけねえのによ。
ひょっとして怒らせちまったか?
「(くすっ)いえ、お3人供、勘違いされてますよ」
「「「勘違い?」」」
「はい。
お師様は決して怒ってらっしゃる訳ではなく。
あなた方の隊列や役割で取得するスキルが変わる為
あなた方で相談した方が良い・・・そう仰ってるのです。
ですよね? お師様」
えっ? そうなのか? 怒ってるんじゃなく?
そうだったら、ありがてえんだけど。
・・・ん? 隊列や役割?
『せやでー。
あれ? なんや、勘違いさせてもーたか?
俺は今ユキがゆーた意味のつもりやったんやけど。
わははは! そりゃすまんかったな~~』
「あ、あはは・・・」
「えっと・・ちなみにアルファさん!
その、隊列や役割っていうのも教えてもらえませんか!?
私よくわからなかったもんで! ・・・あはは(ぽりぽり)」
「おっ!? おい、モブコ!?」
「あははじゃないわよ、モブコ・・・」
「・・・いやー、前々から思ってましたけど
モブ子ちゃんも大概図太いですわよね~」
『お前がゆーなよ、ミケ~。
まー、俺はわからん事があったら、物怖じせずに聞く。
モブ子ちゃんのそーゆーとこ、長所やと思うで!
わははは! みんなも見習えよ~?(なでなで)』
「(照れ照れ)えへへへ~~~」
「モブコ・・・」
『んでなー? 隊列うんぬんってのは
キミら【ファイター】2人の【シーフ】1人。
あとは【ソーサラー】1人の4人パーティやろ?』
「はい、そうです」
『せやったら、マイクくんは盾役で前衛固定として
モブ子ちゃも前衛、もしくは中衛やろ?
んで、ケベックくんは中衛か後衛で
ヤンキくんはどこでもいけるけど、まー、中衛か後衛やろな』
「え? 中衛? 僕は後衛固定なんじゃ?」
「俺も、中衛はともかく後衛って何でだよ?」
「何言ってるんですか? あなた方。
そりゃ、後方からの襲撃を警戒する為に決まってるでしょ?
ひょろっちいのを1人で後ろに置いておいたら
そっち狙ってくださいって言ってるようなものでしょ。
特に洞窟とか森なんかは、後ろの警戒は必須ですわよ?
というか、この間ダンジョン探索へ行った時にも
同じ事言いましたわよね?」
「「「・・・・・・あっ!!」」」
「・・・そ、そうなの? ライス?」
「アタシに聞かないでよ、モブコ」
「・・・実際そうなんですよね。
ギルドで記録している、パーティでの全滅や大怪我
その大半が、後方からの奇襲なんです。
私もその辺りは、窓口でも言ってはいるのですが
聞いてもらえて無いのが実情ですね」
「そうなんだよね。
俺も姉貴と2人で行動するようになってから
後方の守りと警戒がいかに大事か思い知らされたよ。
な? 姉貴」
「そうね。
そして、アーさんやミーさんが
いつもその辺りをやっていてくれていた事が
どれだけありがたい事だったのか身に染みたわね」
「うーん・・・Bランクの人達でも
そこら辺はやっぱ気をつけないといけないのか」
だよなー。
よく考えたら、俺達だって討伐に行く時は
真正面からじゃなく、可能なら背後からの奇襲を狙ってる。
それが最小限の被害で最大限の戦果が狙えるわけだしな。
じゃあ、相手がそれしてきてもおかしくないよな。
ひとまとめに{モンスター}だっつっても、獣系のも居れば
【ゴブリン】や【コボルド】とかみたいに
集団で生活してる{人型のモンスター}も居るんだ。
あいつら、普通に人と同じぐらいに小賢しいからな。
そりゃ、対策は必要だわな?
「何バカな事言ってるんです? マイク君。
むしろBランクだからこそ、でしょ?」
「え、えっ?」
「そりゃそうだろ、リーダー。
モンスターだってバカじゃねーんだし。
上のランクに行けば行くほど
戦闘力だけじゃなくって、頭良いのも多いだろしな」
「あー・・・、そう言えばそうか。
それこそ、伝説級みたいな噂でしか聞いたこと無いのとか
人なんか比べ物にならないぐらい賢いらしいもんな」
『わははは! 伝説級とか大げさなもんや無くても
もっと分かり易いんがココに居るんやで~?
なー? サンちゃん(ぽんぽん)』
「「「・・・あっ」」」
「(きょとん)オヤビン???
アッシがどうかしたでヤンス?」




