305 冒険者Aさんと約束の訓練 ②
あらすじ:さあ訓練開始、でも参加者多くない?
視点:Dランク冒険者 ソーサラー Lv4 ケベックさん
『』:アルファさん
『っちゅー訳でぼちぼち始めるわー。
とはゆーても、先にケベックくんとサバミソの
魔法スキルの相談するつもりやから
他のみんなはしばらく時間つぶしといてくれるかー?
まー、別に一緒に聞いとってもええし?』
「よーし! お願いしまーす!」
「ボクもお願いします! うおっ」
「もちろん、私も一緒に聞かせて頂きますね、お師様」
あっ、そう言えば・・・。
確か、ユキさんも【ソーサラー】で登録したんだっけ?
まあ、僕とはクラスの派生先は別って聞いたけど。
「あ、あのわたしも聞きたいです、ととさま」
「サクちゃんも!?
(そわそわ)・・・で、ではせっかくの機会ですので
私もこちらで聞かせて頂こうかしら?」
「アッシも! アッシもでヤンス!」
「お、おではサバミソくんとよく一緒に組むから
おでも一緒に聞いておいた方がいいんだな」
「アタシもこっちかなぁ、良いですよね? 先生」
「ライスも? じゃあ私も、こっちで!」
あ、そっか・・・そうだよね、ロバートさんの言う通り。
パーティを一緒に組んでるなら、例え自分が使えなくても
一緒に聞いておいた方が、動きとか把握しやすいだろうし?
・・・そしてリマさん・・・話には聞いてたけど
今までのイメージがどんどん崩れてくるなあ・・・。
「あーーー、そう言えばそっか。
おーい、リーダー、俺達もこっちで聞こうぜ~」
「うん、そうだな。
内容次第では僕達も動き変えないと駄目だろうし
相手が使った場合の対策にもなりそうだしね」
「うんうん、対策ってのは
自分が使う側として知って、考えるのが一番だからね。
あ、アーさん、俺と姉貴もこっちって事でよろしく」
おっ、これで僕らのパーティは全員こっちって事だね。
でも、意外なのはレイさんとエクスさんかな。
確か、1年ぐらいパーティ組んでたんだよね?
じゃあとっくに聞いてるんじゃ無いのかな?
「ほ~ら~、あなた達2人もしっかり聞くんですわよ~?
色々な考え方を知る事も大事なのよ~?」
「はい! でござる母上!」
「えーー? 拙者には必要な・・・。
(びくっ)は、はいでござる!! はいでござる!!」
『わはは! なんやー、結局全員こっち残るんかい。
まー、別にえーんやけど、相談だけやし。
大した事ゆわれへんでー?』
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▽
『そしたら、まずケベックくん。
クラス専用の{魔法スキル}って
どんな時に使うか、わかっとるかー?』
「えっ? どんな時・・・ですか?」
『わははは、今のは俺があやふやすぎたわ。
せやなー・・・例えば戦闘前提の場合やったら
どの状況でどんな{魔法スキル}を使うかって事でな?』
「じょ、状況ですか?
うーーーーーーん? その時によるとしか・・・」
『んじゃー、こんな場合やったらどうや?
敵の集団と遭遇したとして・・・数は10ぐらい。
距離はまだ離れとって、敵はこっち向かってきとる。
・・・さて、キミやったらどうする?』
あ、そういう事か。
うん、状況の情報が加わったら考えやすくなったかな。
複数の敵との遭遇戦、僕だったらまず・・・。
「えっと、敵は10匹もいるんですよね?
でしたら、距離が縮まる前に火力の高いスキルで
できる限り数を減らすと思います。
今はランクLv2の魔法も2回使えますし」
「ま、そうなるかなあ・・・数は減らしたいよね」
「そうか? 幾らなんでもセオリー通りすぎねえ?
とりあえず足止めが先じゃね?」
「私だったら、敵と近付くまでに
武器とか防具の強化してほしいかな」
「うーん? ボクなら目潰しとか眠らせる魔法かな?
えっと、確かありましたよね? うおっ」
「そんなの簡単でござるよ。
こっちも突撃するが正しい! でござるな、うんうん」
「姉上・・・それはさすがにどうかと思うでござる」
(ワイワイワイ、ガヤガヤガヤガヤ)
「ふわー、みなさん色んな意見が出るんでヤンスね。
アッシにはさっぱりでヤンスよ」
「なあ、姉貴?
これは、俺達は見とくだけにした方が良いんだろね」
「ああ、そうだね。
よくわかってるじゃないか愚弟の割りに」
「・・・母様もここは」
「あらあら~、わかってるわよ~ユキちゃん。
も~、心配性ね~(なでなで)」
(パンパン! パンパン!)
『わははは! 色んな意見が出てきたな~。
そんじゃ、正解・・・ってゆーてえーんかわからんけど
俺としては、ヤンキくんとサバミソが近い考えやな』
「俺っ?」
「ボクですか? うおっ」
「・・・と言うと足止め、ですか?」
『せやな。
まー、足止めっちゅーか、サバミソがゆーたよーに。
眠りでも目潰しでもええし
麻痺とか有ればもっと最高やなー。
とにかく、大半を一時的にでも無力化できればええねん』
「「「「「無力化・・・」」」」」
「そうすれば、単純に数が減るだけでは無く
数を頼みに襲ってくる敵の足並みが崩れますよね?
残った者は動揺もすれば、助けようとする者もいるでしょうし
逃げ出そうとする者もいます。
よほどの集団戦の訓練を積んだ者達で無ければ
一切意に介さず襲ってくると言う事はありえないでしょうね」
「「「「「「「「「「ほ~・・・・・・」」」」」」」」」」
「???」
「姉上・・・」
『わははは! なんや、ほとんどユキがゆーてくれたけど
ま、そーゆーこっちゃなー。
集団戦の場合ってのは、弓でもスキルでも魔法でも
攻撃に対しては、あんまりビビらんねん。
それは人でもモンスターでも同じなんや』
「人でもモンスターでも同じ・・・」
「そうですわよ~? ご主人様の仰るとおりで
相手に向かって行く時って言うのは
自分への攻撃を回避するか、ダメージ覚悟で
我慢して耐えるかって考えますわよねー?
だからこそ、無力化ってのは怖いんですわよ。
多分、あなた方が想像してる以上にねー」
「あー・・・そうかも。
自分じゃなくても、仲間がいきなりバッタリ倒れたら
それって、すごく怖いかも」
「しかも倒れた理由もわからなかったら、特にね」
「確かに、僕も多少のダメージぐらいなら・・・。
一撃で深手負わなければ、どうにかなるって考えるね」
「・・・そういや、俺。
攻めてる時に動けなくなったやつって
どうしていいかわかんねえわ。
逆ならともかく、そんな状況って無かったもんな。
・・・助けるかどうか迷うだろな」
「ローさんだったらどうします? うおっ」
「お、おでだったらか?
・・・おでだったら、倒れた仲間かついで逃げるんだな」
(ザワザワ、ザワザワ)
・・・なるほどなーーーーーーーーーー。
反撃とかダメージ覚悟突っ込んでるところで
いきなり目の前真っ暗になるだけでも
そりゃ動揺するよね、僕だったら絶対する。
あー、そっか・・・広範囲、高火力って言ったって
攻撃スキル当てても一撃で倒せる訳じゃないんだし。
むしろ、中途半端にダメージ与えたら必死になるから
余計に怒り狂って、被害が大きくなる可能性も有るよね。
・・・と、いう事は、僕が次に修得するとしたら
さらに状態異常方面のスキルを取った方がいいのかな?
でも、暗闇付与の【ダークネス】はもうあるし・・・。
それなら、モブコちゃんが言ってたみたいに
防御系を取るのも有りかも?
うーーーん、迷うなー。
・・・・・・ん? あれ? それじゃ攻撃系の魔法って?
『わはははは!
今、余裕で一撃で倒せるぐらいの高ランクな攻撃やったら
どうやろ? とか考えたやろ、ケベックくん』
「えっ!? あれ? 何でわかったんですか!?
ひょっとして、アルファさんもミケニャンさんみたいに!?」
「いえ、思いっきり顔に出てましたわよ? ケベック君。
そんなにハテナ顔してたら、誰でも気付きますわよ」
「そうだな、僕でも気付いたもの」
「ああ、俺でもわかるぜ」
「(あせあせ)わ、私もわかった・・・よ?」
「モブコ・・・はいはい、そうねー」
「ん? 何の話でござる?」
「あ、姉上ぇ・・・・・・」
『ケベックくん、よー考えてみい。
1日に使用できる回数が決まっとる{魔法スキル}の中でも
一撃で全滅させられるような高ランクの攻撃魔法なんて
この先、レベルを上げたとしても
使える回数なんて1日に1回とかそんなもんやで?
キミ、そんな遭遇戦で気軽にポンポン使えるんか?』
「・・・あ、そっか・・・、うん! 無理です!!
多分、もっと効果的な場面で使うと思います。
群れのボス格とかそんな相手用に」
『やろ? まー、使わんまんま
1日終わってまうぐらいやったら
別に使ってもーてもええけどなー』
「あ、あははは、そうですね。
すっかり忘れてました(かきかき)」
「おいおい、頼むぜー。
{パーティの知恵袋}さんよ~?」
「・・・あのー、アルさん。
それなら、攻撃魔法のスキルって言うのは
いつ使うのが良いんですか? うおっ」
「あ、それ僕も思った・・・」
『うんうん、ええ質問やな、サバミソ。
実はそれはなー、丁度次に話す内容なんやわ』
「そうだったんですね! うおっ」
「なるほど! では、お願いします!」
「?????????」
「いや、あの・・・姉上?」




