302 冒険者Aさんと褒美の質問
あらすじ:アルファさんの関係者が接近中のようです。
視点:喫茶店【緑寿喫茶】 店長 いろはさん
『』:アルファさん
「・・・・・・ふふっ(くすっ)」
「あら? ワケイカヅチ様、ご機嫌ですね!
えっと・・・そのお魚がどうかされました?」
「(くくくっ)いやいや、ふふふふ。
魚の干物を見ていたら、少し前の事を思い出してな。
所謂、思い出し笑いと言うものだよ」
「ああ、ありますよね! そういう事。
ウチも、思い出し爆笑とかよくしますよ!」
「はっはっは、思い出し爆笑とは愉快な事で結構だな。
いや、吾れが思い出したのは【イヅモ】での事でね。
あの愉快な子、アルファ君の問答がね・・・(にこっ)」
「へえ~! アルファ義兄さんの事なんですか~!
良かったら、ウチにも聞かせてもろてもええですか?」
「ああ、もちろん良いとも(にこり)」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
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▽ ▽ ▽
▽
「はあ~~~~~。
そこでご褒美への希望が{質問}ってとこが
{さすが義兄さん!?} ってゆーか何とゆーか」
「へえ~~~、義兄さんがねー。
ねえねえ! ワケイカヅチ様!
その{質問}の内容ってどんなのだったんです?」
(ワイワイ、ワイワイ)
「(にへー)えっと! わ、わけ・・・いかぢゅちしゃま!
これもおいちいんだよ! どうじょ! たべてくだしゃい!」
「(にこっ)ははは、じゃあ有り難く頂こうかな。
お手伝いできて偉いな、うたちゃん(なでなで)」
「(にへー)うん! えへへー!」
「あはは! 良かったなあ、うたちゃん!」
「(あたふた)ああ、えらいすんませんワケイカヅチ様。
この子ったら、いつの間に・・・。
ってゆーか、いつの間にこんな増えたんや!?」
何かウチが話聞いとる間に、周りにいっぱい増えとるやんか!
全然気付かんかったわ!!
どいつもこいつもサボりおって~~!
・・・って、ウチも人の事言われへんか。
いや、まあ・・・今日は忙しく無いからええんやけどね。
この【緑寿喫茶】自体、アルファ義兄さんが
神様達に美味しいもんを気軽に色々味わってもらお~!
・・・っちゅー理由で作った{神様専門の喫茶店}やから
別に商売でやっとる店やあらへん訳やし?
店長のウチもそうやけど、店員も関係者のほとんども
【緑寿園】の出身者やから身内みたいなもんやしなー。
逆に神様達には、その和気藹々な雰囲気がええって
好評らしいんやけどね。
「・・・日の光でね」
「えっ?」
「あの子が聞いた{質問}だよ。
{魚を日の光で干したら美味しくなった様に感じるけど
それは合ってるのか?}・・・そんな事を聞いたのさ」
「「はあっ!?」」
さ・・・魚? お日さんで? ほ、干したら!?
義兄さん、神様にわざわざそんなん聞いたんか!?
そんなアホな・・・あ、いや、でも・・・。
むしろ義兄さんらしいってゆーたらそーかも?
ウチらも{突然何ゆーとんねん!?}って事多かったし。
「えー? お魚って干したら美味しくなるもんよね?」
「せやね~?」
「ウチは{鯵の開き}とか好きやわ~!」
「あー・・・旬は終わったけど{太刀魚}もええよね!」
(ワイワイ、ワイワイ)
「そう、今では皆が当たり前の様に知っている。
・・・だけどね? それが{確定事項}になったのは
あの子が{質問}してからなのだよ」
「「「えっ!?」」」
「・・・あー、やっぱりそうなんや。
その干物にした方がうまいってゆー話って
15年ぐらい前・・・やったっけ?
ウチらが【緑寿園】でお世話になってからの後の話やけど
急にあっちこっちで流行ったんやもんな」
「え? そーやったっけ? お姉やん。
・・・あれ? そうかも?」
「そうよ? 確か10・・・14年前の事ね。
私が入園して3年後の事だから、覚えてるわ。
急に{干すと美味しくなるのが分かったから}って
私達も総出で手伝わされたもの・・・」
「そーそー、ウチも覚えとるわ~。
あん時は、売り物用とウチら用の干物を毎日作っとったら
ちょっと干物作りすぎて、毎日お魚三昧やったんや。
・・・確か、そのせいでお魚苦手になった子
何人かおったんちゃうかった?」
「・・・私がそうよ」
「・・・せやったわ」
確か、それまでは干物ってゆーたら
カッチコチの完干しとか、塩まみれのやつとか
そんなんばっかりやったんや。
あ! 他に漬け込んだくっさいやつとかも有ったわ。
ゆーたら、ホンマの保存食やね。
そんなんばっかりやったらしいんよ。
せやけど、今では当たり前になっとる半生の開き。
そこまで日持ちせーへんけど、美味しさ重視にした干物。
こっちは急に流行りだしたんよね。
ウチらが干したやつもよーさん売れたらしいんやけど。
・・・なんやー、どーりで義兄さんが
次から次へとお魚仕入れてきた訳やわ。
そりゃ、干したら美味しくなるんが
{神様のお墨付き}って分かったんやったら
色んなお魚試すわー、義兄さんやったら。
「へええ、お姉やんらにそんな過去が・・・。
そんな前やったらウチらはまだ入園しとらんね」
「入園どころか、ゆめ、あんたまだ生まれてへんやろ」
「・・・あ! ホンマや!」
(アハハハ、ワイワイ)
「えっと、今日は騒がしゅーなって、えらいすんません。
お話の続きはまた今度で結構ですんで
ゆっくりお食事してって下さい、ワケイカヅチ様」
「(にこにこ)ふふふ、いやいや。
吾れとしても、賑やかな食事と言うのは好ましい。
何せ、吾れが幼き時にはできなかったものだからな」
「あはは・・・せやったら、良かったですわ(にかっ)」
「(にへー)よきゃったでしゅわー!」




