301 冒険者Aさんとさらに来る人達
あらすじ:神様達も実はおいしい料理を食べたかったらしいです。
視点:五十六商会 アルファさんの義弟 タケジロウさん
『』:アルファさん
(バッサバッサバッサ、ビュウウウウウ)
「うん、天気も良いし、この調子なら早くて明日の夜。
休憩増やしても、遅くとも明後日の昼前には着けそうだな」
天気が悪いと、雨に耐えながら雨の中を突っ切るか
雲の上に出ないといけないからな。
雲の上だと雨は気にしなくて良いけど、方角がわかり難い。
しかも、【マナ】が薄いから、息苦しくなったり
体が満足に動かなくなってきたり色々と弊害が出てくる。
今回の訪問はそこまで急ぎじゃないから
雨の可能性も考えて、予備日も考えていたけど
その必要はなくなったかな。
(バサバサ、ヒュウウウウウウ、バサバサ)
「はわぁっ・・・・・・・!!!!!
や、やっぱり、は、速いいいっ!!(がたがた)」
「大丈夫かい? ウラさん。
もう3日目だけど、まだ慣れないみたいだね・・・。
やはり、日数はかかっても船の方が良かったかな?」
「(ぶるぶる)だ、だ、だ、だいじょうぶだずらっ!?
お、おらの事は気にしないで、く、くんろっ~~ひぃいい!?」
「そ、そうかい?
まあ、この【飛竜便】は【五十六商会】専用で
僕らの乗ってる騎乗用の籠も、義兄さんのお手製だからね。
絶対に墜落だけは無いから、そこは安心して良いよ?」
「(がたがたがた)そ、そ、それはわかってるんだべ~~!!
で、で、でも怖いもんは怖いんだずら~~~~!!!」
まあ、仕方ないか。
僕も慣れるまで結構かかったしなあ。
特に、この子は島育ちで、島の住人達も
ほとんど外海には出てなかったそうだし。
それが、いきなり空中を高速移動だからね。
前々から、義兄さんに会いたがってたから
護衛も兼ねて一緒に連れてきたんだけど
まずかったかも?
・・・でも、初日に宿着いた時には、顔は青ざめて
夕食も食べれない、口も利けない程に弱ってたけど
今は怖いだけで、震えながらも返事も返せてる。
それを考えれば、慣れてはきてるのかな?
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
「(ぐったり)ひぃぃ・・・疲れたずら~」
「はは、お疲れ様。
何だかんだ言っても、今日は頑張ったと思うよ。
今日は夕食を食べれる元気も有るみたいだしね」
「(ぐったり)あ、あはは・・・そりゃどうもだべ~。
・・・・・・!? (くんくん)いい匂いがするずら」
(ギィギィ、コンコンコン)
「あ、どうぞー」
(ギーーーー)
「お客さん、夕食をお持ちしましたよ。
うちの宿は別に料理自慢とかじゃ無いですけど
あれだけ良い食材を、分けてもらいましたしね。
できる限りのものは作ってみましたよ。
それじゃあ、テーブルの上に置きますね?」
「ガタッ、カチャカチャカチャ」
「ああ、ありがとう。
すまないね、部屋まで持ってきてもらって」
「(にかっ)いえいえ、残りの食材だけじゃなく
追加料金まで頂いてますしね。
ま、量はたくさん作ってありますんで
どうぞ、たっぷり食べていってくだせえ」
「はは、では頂くとするよ。
また何か用ができたら呼ばせてもらう」
「はいはい、では私は部屋へ戻りますので。
何かありましたら声をかけてくだせえ。
では、ごゆっくり~」
(ギーーーー、ギィギィギィギィ・・・)
「(くんくん)ああ、なまらいい匂いがすると思ったら
お肉たっぷりのシチューだんべなあ。
これなら食べれそうだ、なっかなかうまそんだべ」
「さあ、それじゃ食べるよ、ウラさん。
ほら、突っ伏しながらは行儀悪いですよ。
しゃんとしなさい。
あんまり行儀悪いと義兄さんに嫌われるよ?」
「(ばっ!)はわわわっ! ご、ごめんなさいだ!
おら、せ、先生には嫌われたくないべ!
た、タケジロウどん、先生には内緒にしてくんろ!?」
「(くすっ)ふふっ、冗談冗談・・・半分はね?
ま、大丈夫ですよ、内緒にしておくから。
さっ、温かい内に頂こう」
「(こくこく)い、いただきますだ!」
まあ、実際の所、アルファ義兄さんだったら
嫌うどころか大笑いするんだろうけどね。
義兄さんは行儀とかあまり気にしない方だし
もっと行儀の悪い従者さんとかも居るしね。
「(ずずず~~)・・・うん! うんまいだなあ。
冷えた体にじわ~~っと効いてくるみたいだべ~」
「(ごくん)・・・ふむ、いいね。
思ってたより、かなりおいしいな」
うん、この宿の料理は当たりだね。
さすがに、【飛竜便】は着込んでいても寒いからなあ。
温かいシチューでも・・・と思って
先に良い鶏肉や野菜を多目に渡しておいたけど
どうやら宿の店主はケチらずに使ってくれたようだ。
具も多くて、ちゃんと良いコクが出てる。
僕は義兄さん程、舌が肥えてる訳じゃないけど
これでも【五十六商会】で幾つかの部門を預かってる身だ。
それなりには、料理の味を理解してる自負は有る。
・・・・・・うん、宿の設備は清潔で悪くなかった。
店主の気配りも良かったし、何より【飛竜便】でも使える。
ふむ・・・この宿は高めの評価つけておこうか。
向こうへ着いたら、義兄さんにも確認取ってみよう。
・・・ああ、到着が待ち遠しいな。




