298 冒険者Aさんと日干し続行中
あらすじ:レイさんは好みや性癖こそアレですが、優秀な冒険者だそうです。
視点:町長補佐 フォックスさん
『』:アルファさん
『いや~、助かったわ~、ツリーさん。
会議の事すっかり忘れとってな~~。
他に干物用に捌けんのって、ユキしか居らんかったし
ツーくんにも教えんとアカンかったからなー。
さすがに、教えんのは、本職にお願いした方がええもんな!』
「(にこにこ)いえいえ、どういたしまして。
昨日、お土産もたくさん頂きましたし
このぐらいお安い御用ですよ、アルファさん」
「干物用に捌くのって結構難しいんですよねー。
内臓だけならともかく、エラ取ったりとか
身も皮一枚残して切り開かないと駄目ですし・・・。
チマチマしてて、ミケはちょっと苦手なんですわよ」
「いやあ・・・さすがツリーさん。
僕も包丁使いは、結構慣れてきたかなと思ってましたけど
・・・まだまだですね。
僕じゃ、あんなにスッと綺麗に開けないですよ」
「(にこにこ)その辺りはどうしても経験ですしね。
それでも、ツー君も以前より上達してますよ。
わからない事が有れば、また聞きに来てくれれば教えますし」
「アルファのおじさん! わたしもお手伝いしたんだよ!
超お手伝いした! えへん!!(むふーん)」
『わははは! そっかそっか!
エイトちゃんもありがとな~(なでなで)』
(ワイワイ、ワイワイ)
「う~~~~~ん・・・。
開いて天日干しだけでもいけるもんなんですねえ」
「そうじゃのう・・・、ワシらの干物の作り方と言えば
せいぜい内臓取って塩漬けにしたり、燻製にしたりじゃしな」
そもそも、港が出来る前って、お魚といえば川魚でしたしい~。
海のお魚が取れる様になってからも、捌き方は同じなんですよねえ。
基本的に内臓だけ取って洗ったら、丸焼きか丸ごと保存食に加工。
まあ、さすがにでかいのは切りますけど、ぶつ切りですしねえ。
最近になって、ツー君の屋台で{料理}として出たおかげで
料理に使うのも有りなんだ~って、感じですもんねえ。
・・・それにしてもぉ、綺麗な断面ですねえ。
そうですよねえ、確かにツリーさんなら【フソウ】で
料理人として修行してるんですしい。
お魚だって上手く捌けるんですよねえ~。
・・・・・・まあ、ツリーさんも
奥さんの事で色々有りましたからねえ。
ちょっと町の人達とも溝が出来てて
気軽に聞ける雰囲気でもなかったんですよねえ。
・・・ツー君はちょくちょく聞きに行ってたみたいですが。
今後の事を考えればあ、その辺も考えなきゃ駄目ですねえ。
「それにしても・・・なかなか異様な光景じゃな。
タコやイカが吊るされてクルクル回っとるのは・・・」
「ですねえ、すっごい回ってますねえ・・・」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
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▽
「ああ、なるほどお~。
状態としては半生に近いんですかあ。
塩漬けや燻製ほどは長持ちしない・・・っと?」
『その代わり・・・焼いたら美味いんやで?』
「美味いんですか!?」
「・・・ええ~~? そんなに違うもんなんですかあ?
でも、う~~ん・・・それは保存食と考えるとお・・・」
「ミケも、焼いて食べるなら、断然干したやつの方ですわ!
身の水分が減ってる代わりに、旨みとでも言うんですかね?
それがギュッと濃縮された感じになるんですわよ~」
「ほ、ほほう・・・?」
「ほう!?」
「そ、そうなんですか!?」
『焼く前になー、ちょっとお酒ふりかけて
馴染ませてから焼くから、身もパサパサにはならんしなー。
んでなー、仕上げにちょい{お醤油}垂らすんやわ~。
この魚の脂とお醤油が混ざって焼けた匂い・・・。
これがまた、食欲をそそるええ匂いでな~~~!』
「「「「「「・・・!!!(ごくりっ)」」」」」」
ほ、ほほう・・・そ、それはそれはあ。
あのメス豚ヤロウじゃありませんけどお。
とっても美味しそうですねええ!!?
ツー君の屋台で、魚料理は何度も味わってますからあ
それが美味しいって事は、私にだってわかりますよおお?
「(わきわき)ご、ご主人様!! 昼食は簡単に済ませましたけど
夕食はぜひこれで焼き魚を!! 焼き魚が食べたいですわ!!
ミケは{七輪}でじっくりと焼いて、魚の脂が滴る中
煙もくもく上げながら、熱いのをハフハフ言って食べたいですわ!?
宿屋の裏なら、多少煙でても問題ありませんわよね!?
えっと、大丈夫ですわよね? ツリーさん?
ね! ね!? そうしましょうよ! ご主人様!!」
「な・・・なんじゃと!!!」
「ミケニャンさあん?
ちょっとそれはないんじゃないですかねえ?」
「えーーー? 煙って言っても大した事じゃありま・・・」
「(くわっ!)そうじゃないわい!!
ワシらにも食わせろと言っておるんじゃ!」
「そーだそーだ!! ずるいぞ!!
ボクも食べたいぞー!!!」
「わだじも! だべっ! じゅるっ!!(だらだら)」
「それは、私も食べてみたいですよお!
あとメス豚ヤロウは涎を拭けええええ!」
「えーーーーーーーー?
元々、ツー君の所で出すんですわよねー?
そっちで食べれば良いじゃないですかー」
「「「「ぐぬぬぬぬぬ!!!」」」」
うぐうっ、それはあ・・・確かに、そうなんですよねえ。
ですがあ、{七輪}って、あの丸い火鉢の事ですよねえ?
あれで、じっくり焼く・・・・・・。
絶対そっちの方が美味いですよねえ!?
せっかくなら、そっちを食べてみたいじゃないですかあ!
「(にこにこ)はは、裏庭で夕食ですか。
たまにはそれも良さそうですね。
えっと{七輪}は・・・どこにしまったかな」
「お外でごはん!? なんか楽しそう! 超楽しそう!
わたしもお手伝いするよ! 叔父さん!」
「(ひそひそ)むふふふ! 私達は今は同じ宿だしね!
私達も食べれそうだよね! ライス!」
「まー、そうね。
さすがに一緒に食べさせてくれるとは思うわよ?
アタシは割とどっちでもいいんだけど。
モブ子ほど食いしん坊じゃないしね・・・」
「えー? 食いしん坊じゃないよ?」
「はいはい」
「な! な!? ウチはウチは?
なー! ええやろ? ミケねーさまー!
な? おじさま!?(ひしっ)」
「あっ!! ずるい!! ぬけがけっ!!
ボクも良いよね!? 心友だろ!?(がしっ)」
「あらあら~、私達も今日はお魚かしらね?」
「うんうん、そうね(たわんたわん)
こっち来てからお肉を食べる機会が増えたけど
やっぱり私達はお魚が好きなのよね・・・」
(ガヤガヤ、ギャアギャア)
「よいしょっと・・・あの・・・皆さん?
焼き魚も結構ですけど
先に日干しを全て終わらせましょう?」
「「「「「「「「あっ・・・」」」」」」」」




