295 冒険者Aさんと報告会②
あらすじ:ナマコを生で食べた人ってある意味凄いと思います。
・・・・・・ホヤも。
視点:タンゴの町 町長 ゼーロさん
『』:アルファさん
「おお、来たかマリさん。
ん? アルファの坊主も一緒じゃったか」
「ええ、町長さん、それに皆さんもこんにちはですわ~」
「こんにちはです、マリさん、アルファさん」
「お疲れ様ですよぉ、お2人とも。
わざわざ来て頂いて、すいませんねええ」
「それにしても~、やっぱり迎えに寄って正解でしたわ。
案の定、すっかり作業に夢中になってたみたいですし~」
『わははは! ホンマやな~。
想定以上に干すもんが増えても~てな~。
正直、マリちゃん迎えに来んかったら
ちょっと忘れてたかもしらんわ~!』
「干す物・・・?
(くんくん)そういえば何やら磯の香りが・・・!?
む!? 何やらフルーツの様な甘い香りも!?
こ、これはお腹の減る香り・・・ですね!!(ぐ~~~~)」
「お止めなさいよ、みっともないですねえ・・・。
そうやってると、本当に豚そのものみたいですよおぉ?」
「うぐっ!? ぶ、豚っ!? ひ、ひどいっ!!」
『わははは! ま~ま~、フォックスくん。
匂いだけでそこまでわかるとか凄い特技やんか。
とりあえずお茶受け用に、コレ持ってきたわ。
(ごそごそ){イチジク}の干したやつなー』
「ほう、{イチジク}か! これは美味そうじゃのう」
うーむ、見た目的にも良い出来じゃな。
乾物の中でも果物系は難しいんじゃよな。
一気に乾燥させないと半生気味になってしまうから
下手すると保存してても腐るしのう。
何より、コバエやらアリやら何やら、虫がな・・・。
それにしても{イチジク}とはな。
この大陸には生えとらんかったはずじゃが
アルファの坊主が植えたのか?
「ありがとうございましゅっ・・・おっと!(じゅるり)」
「へえぇ、この辺じゃ珍しいですねえ」
「あらあら~、私も頂こうかしら~」
『そんじゃ、まだ全員揃っとらんみたいやけど
ボチボチ来るやろーし、先に軽く報告始めとくかー』
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「・・・ふうむ。
と言う事は、立地的には問題は無い訳じゃな」
「ですねえ。
道中もそこまで険しく無い様ですし
町側と南の街道側への合流もできそうですしねえ」
「(もぐもぐ)ふむふむ・・・」
「広さ的にはどうなのかしら~? アルファさん。
住居と商店、歓楽街で分けるとしたら~。
どのぐらいの比率ならいけそうでした~?」
『ん~~~? せやなー。
現状やと、自給自足するんやったら全部で100人。
比率的には住居5、商店3、歓楽街2ってとこか?
拡張は可能やけど、【結界】の問題も出るなー』
「あー、やっぱりそんなもんかのう。
町からじゃと、徒歩で2時間ぐらいじゃったんじゃろ?
町からの完全補給と、南からの輸入品で何とかならんか?」
徒歩で2時間なら、街道さえ設置できれば
馬車で1時間もかからんじゃろ。
利用する人数が増えてきたのなら
定期的に往復の馬車を走らせるのも手じゃな。
それこそ、食料品とか資材だけの荷馬車を
港から走らせても良いんじゃよな。
「・・・いっその事、住居は全部集合住宅にして
住民用の商店と歓楽街を一緒にする手もあるんじゃが
それじゃあ【ビアー】と変わらんしのう」
「ですねえ・・・。
ある程度はそうするつもりですけど
歓楽街のメインが、いわゆる夜のお店ですからねえ。
わざわざ隔離した意味も無くなっちゃいますよお」
「(もぐもぐ)ふぉんふぉん!」
「う~~ん、その辺はどうなのかしら~? チヨちゃん。
やっぱり、一緒にしちゃうとまずい感じ?」
「(たわ~ん)ええ、まずいですね。
一言で{歓楽街}と言いましても
娼館も有れば、飲食店等も有り
装飾品や化粧品等の色々な専門店も有る訳です。
さすがに生活雑貨や食料品店を扱う店とは
区画自体を分けなければ、雰囲気が台無しですから」
「ああ、なるほどぉ、区画分けですかあ・・・。
確かにそっち系をメインにする訳ですからあ。
雰囲気は大事ですよねえ、雰囲気ぃ。
さすがに生活感が見える区画とは分けないと」
「それに、娼館も種類を分ける必要がありますので。
お手頃な普通の所と、高額で最高級の所。
(どたぷ~ん)他にも、酒場も同様ですね。
ただし、お手頃と言っても、安過ぎる所は無しです」
「ほう? そりゃまた何でなんじゃ?
上級・中級があるなら、下級も需要があるんじゃ?」
『わはは、そりゃそうやろ、ブラボーのじーさん。
確かに、需要は有るかも知らんけど
犯罪が増えて、めっさ治安も雰囲気も悪ぅなるで?
せやから、他の町でも問題扱いされとるんやんか。
それこそ、そこは【冒険者ギルド】も同じやろ?』
「・・・確かにのう。
以前みたいな事があっては困るから
ウチでも最低限身辺調査して、素行に問題のある奴や
ならず者はさすがに登録時に弾いとるからのう。
そうか、客層も選ばんといかんわけじゃな」
「(ぶるるんっ)ええ、そういう事ですね。
せっかく町とは隔離して専門の歓楽街を作る訳ですし。
それに、道を整備して馬車が開通したとして
1時間近くかけて通う場所なんですから
日常とは違う特別感や雰囲気を味わえる様にするべきです」
うむ、なるほどのう・・・特別感か。
確かにそれは大事じゃな。
町の延長線しか味わえんのじゃったら
わざわざ行く必要は無いからのう。
・・・それにしても、このおチヨという嬢ちゃん。
最初はアルファの坊主より若いのに大丈夫かと思ったが
さすがは専門家じゃな。
ワシらなんかとは全く違う観点を持っておるわ。
うむうむ! 依頼して正解じゃったな!
・・・・・・それにしても、すごい乳じゃな!
見ん様に意識せんかったら
思わず目線がそっちへ行ってしまうわい!!
ワシもまだまだ若いな! がっはっはっは!!
「(もぎゅもぎゅ)もっふんもっふん!」
「・・・ふむふむ、細かい所はともかくですがぁ
全体の方向性は大体見えてきましたねえー。
・・・・・・そしてこのメス豚ヤロウおおおおお!!!
いつまで食ってるんですかあああああ!!!(どげしっ)」
「(ごきゅん)~~~~!!!?
・・・った~~い!! ひ、ひどい!!!」
「どっちがですかあああああ!?
いい加減にぃ、会議に参加しなさああああい!!!!」




