293 冒険者Aさんと遅れてきた2人
あらすじ:大体日干しの準備ができたようです。
視点:干物も大好き 大妖狸 ミケニャンさん
『』:アルファさん
「(バンバン!)ほら! お土産取ってきたんだ!!
今から干すんでしょ? 追加で干すといいと思うな!
すっごくおいしいんだよ!!」
「(バーン!)ごめんなさい、おじさま!
日干しするんなら、どうしても干したい物があって
それ探しに港まで行っとったんや・・・。
あっ、それに、みんなへのお土産も買ってあるんやで!」
『・・・・・・』
「「・・・・・・」」
「・・・つまりお2人共。
どうせなら自分の好みの乾物を一緒に作りたいから
勝手にそれを調達しに行って少し遅れたと・・・。
そして、それも一緒に干せと、そう仰るわけで?」
「「(あせあせ)そ、そ、そんな事・・・あるかな?」」
やれやれですわねー。
ツーさんでさえ、事前にご主人様に許可を取ってますし。
時間だって間に合って・・・まあ、そっちは
おやっさんが迎えに行ってなければ危なかったですけどね。
何を用意してきたかは知りませんが
飛び入り参加で遅刻~とか勘弁して欲しいですわよね~。
干せるスペースにも限度があるんですから。
『(げらげら)わははは! まあ、ええやないかミケ。
何か干したいもんがあるんやろ?
かまへんかまへん!』
「(キラキラキラ)おじさまっ!!」
「(キラキラキラ)だよねだよね! さすが心友!!」
「むう・・・ご主人様はお優しすぎますわ~!!」
『まあまあ、そうカリカリすんな、ミケ(なでなで)
・・・んで? 2人は何買うてきたんや?』
「むっふっふっふ!! まずはウチから!!
ウチは・・・(ごそごそごそ)
コレやーーーー!!!(バーーーン!!)」
(ドサドサドサドサドサ、ビチチチチッ)
「こ、これはっ!!? ・・・何? ヘビ?」
「わわっ!? 何かニョロニョロしてるっ!!?」
「ひ、ひい・・・!?」
『わははは! これはええもん持ってきたな~』
(ビチビチ、ガチッガチッ)
「ほうほう、これはこれは。
中々活きの良いのを仕入れてきましたねー」
「うわぁ・・・すごい歯!? 噛まれたら痛そう・・・」
本当は噛まれたら、痛そう所じゃすまないんですけどね。
食い千切られるほど強力ですし。
他の魚とか食い散らかすし、網だって食い破るから
漁師さん達の悩みの種でもあるんですよね~。
まあ、食えるので需要はありますが。
「あっ、これって{ウツボ}ですよね? うおっ」
「う・・・ウ・・・ツボ?」
「おっ? サバミソくん、知ってるんやね!
せやで! ウチ、早起きして港で貰ってきたんや!
漁師さん達、いらんってゆーてたし」
「えっと、【リューグー】だともっと大きいんですけど
あっちではモンスターと同じ扱いでした。
すごく危険で毎年怪我人出てましたし、うおっ」
「貰ってきた・・・ま、まあ確かに
食べ方知らないとこれは只の危険で迷惑な魚ですし?」
『まーなー、コレとか鰻もそーやけど
捌き方とか知らんと中骨が邪魔で食いにくいしな。
あえて、わざわざ手間かけて食おうとは思わんやろ。
・・・【フソウ】の人は喜んで食うけどな』
「この魚も食べれるんですか? アルファさん。
何か漁師さん達の話だと、網や糸を噛み切っちゃうし
他の魚に噛み付くから、かかったらさっさと逃がして
滅多に水揚げしないって聞いたんですけど?」
『おー、食えるで? ツーくん。
まー、ちょっと捌くのコツがいるけどなー』
「{ウツボ}はウチのおじいさまが大好きなんよ!
白焼とか煮付けもええんやけど
干物にして焼いたんが特に好きなんやわ」
「そういえば、【フソウ】では
{ウツボ}の干物は強壮剤としても重宝されてますね。
ヘビと同じで精がつくそうです」
「なるほど・・・アルファさん。
もし知ってましたら、僕にこのウツボの捌き方
教えて貰えませんか?
食べて美味しくて、さらに薬にもなるなら
僕の店だけの目玉商品にできそうですし
町の人達も喜んでくれると思いますし」
『わははは! ええで、ツーくん。
ツーくんのそーゆー目敏い所ってのは
ホンマ長所やな! ええでええで~』
「ちなみに、おじさま!
ついでにタコとイカも買ってきてますんで
こっちも干してええですか?
(ごそごそ)こっちはたっぷり有りますんで
干した後、みんなで食べたいなーって?」
(ズルルル、バシャシャシャシャシャ)
「(びくっ)ひいっ!? また違うニョロニョロ!!?」
「(びくっ)ひいっ!? き、気持ち悪いでヤンス!」
「・・・・・・」
「いや、驚きすぎ、モブコ。
イカとかタコはたまにおすそ分けで貰って食べてたじゃん。
・・・そして、何でサンちゃんまで驚いてるんだか。
あんた、一応は悪魔なんでしょ?
似た様なもんじゃないの?」
「い、いや、アレはもう捌かれてて
綺麗に食材になってたじゃない!?
生きたままのニョロニョロは、さすがにちょっと・・・」
「ひ、酷いでヤンスよ!?
アッシはこんなウニョウニョじゃ・・・ひいっ!?」
むほほほほー!
中々言いますね、ライスちゃん。
確かに、ミケも今そう思いましたけど。
サンは自覚無いみたいですけど、あなたの外見
角と羽が生えてるピンクのナマモノなんですから
ぶっちゃけ、タコとどっこいどっこいなんですわよ。
この可憐で可愛いミケと違いましてね!!
むっほっほっほっほ~~~~~!!!
『さーて、そんじゃまー。
ツーくんの買ってきた{カマス}も有る事やし。
さっさと捌いてまうかー。
あ、ミケはキノコとかの乾物作りを・・・って
何ニヤニヤしとんのや、ミケ』
「(あせあせ)ほわっ!? は、はい!
ミケは大丈夫ですわよ!! お任せを! ご主人様!!」
『何が大丈夫なんかは知らんけど
とりあえず、任せたわー。
そんじゃ、作業にかかろーかー?』
「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」
「いや! ボクのは!?
ボクのお土産まだ出してないよねっ!!?」
「「「「「「「「「『あっ・・・』」」」」」」」」」




