289 冒険者Aさんとおみやげは? ③
あらすじ:リマさん、覚醒。
視点:酒場&木賃宿 セイラーズバース 店主 シックスさん
『』:アルファさん
(ワイワイ、ガヤガヤガヤ、ワイワイ)
「(がつがつ)うめえっ!?」
「おーい! 姉ちゃん!
こっちにもその本日の限定頼むわ!
そう! そっちの、②番のナシな~~!」
「は~~~い! ちょっとお待ちくださいね~」
「へえ、それも美味そうだな! 俺にも②番!」
「あっ! 俺は③番のイチジク? ってやつ?
それ! それ頼むよ!」
「俺は①番キノコの盛り合わせ!!」
「(あせあせ)は、は~~~い!!
ま、待ってくださいね!
おーい! ヘルプーーー!!」
「はーーい!! 代わりに行きます!」
(ガヤガヤガヤ、ガヤガヤガヤ)
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
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▽ ▽ ▽
▽
(カチャ、シューー、カチャ、シューー)
「(ゴトンッ)ほいよっ、エールだ」
「おっ! 待ってましたよ~~~~!」
「あっ、俺にももう1杯よろしく!(チャリンッ)」
「あいよっ、ちょっと待ってくれよ」
(カチャカチャ、シューーーーー)
「(ごくごくごく)っくは~~~~!!
冷えてるエールってやっぱり良いな!」
「だよな! ぬるいのとかもう飲めねえぜ」
「(ゴトンッ)ほいよっ、俺も同意見だな。
まあ、もうちょい寒くなってきたら
熱々が恋しくなる事だと思うがよ!」
「おっほ~~! 来た来た!
いっただきま~~す!(ごくごくごくごく)」
「それにしても、マスター。
今日はすげぇ混んでるのな?
何か良いもんでも入荷したのか?」
「(ぷはー)っくあぁ~~~!!
ああ、それ俺も思ったぜ!
何だ? 教えてくれよ、マスター」
「あん? 教えるも何も
そこのボードにでっかく書いてんだろが」
「へっ?(ぐるっ)
おおっ!? 本当だ!
全然気付かなかったぜ!!」
「ええと? 何々?
{本日の限定メニュー}ねえ?
①番が{キノコの盛り合わせ}って?」
「ほうほう、②番と③番が{季節のフルーツ}?
は? フルーツ??
②番が{ナシ}で、③番が{イチジク}???
どっちも聞いた事ねえな」
「はあ? 何で酒場で季節限定のフルーツ?」
「それよりも限定のキノコって何だよ?
いっつも食ってるキノコと違うのか?
いや確かに、キノコ焼いた良~~~い匂いが
外まで漂ってたんだけどよ!!」
「がっはっはっは!!
それは食ってみればわかるってもんだ!」
「まあ、キノコは元々食うつもりだったしな。
マスター、俺にキノコの盛り合わせ!(チャリン)」
「あ! 俺も俺も!(チャリン)」
「あいよ! ちょっと待っててくれ!
おーい! ①番のキノコ盛り合わせ、2皿追加だ!」
「はーーーい!」
「(きょろきょろ)・・・・・・んー」
「どしたい? 何かあったのか?」
「いや、その限定フルーツ頼んで食ってるのが
どんなやつらなのか見てたんだけどな。
ほとんどが船乗りだな」
「船乗り? そういや船乗りはフルーツ好むんだっけか?」
「いや、好むと言うか、船の上だと野菜が日持ちしねえから
代わりの栄養補う為に必要って聞いたぜ?
それで、食べ慣れてるから陸上がっても食うとか何とか?」
「がっはっはっは、よく知ってるじゃねえか。
ま、それもあってな、船乗りの連中は
{他所の土地の美味いフルーツ}を結構知ってるんだぜ?
そりゃ、見つけたら食うに決まってるわな」
「・・・って事は美味いのか。
よし! 俺も食ってみるぜ!!
じゃあ、②番の{ナシ}ってやつを・・・」
「店長~、②番在庫なくなりましたー!」
「ええっ!? じゃ、じゃあ③番の・・・」
「あっ、店長! ③番も今出たので終了ですー!」
「うそだろっ!? そっちもかよ!?」
「がははは! 残念だったな!!
おおい! 店に居る野郎共!!
もう限定フルーツは終わりだ!!!
食えたやつはラッキーだったな!!!」
「ええっ!? もう終わりかよ!」
「へへっ! 俺は食えたぜ!」
(ザワザワ、ドヨドヨドヨ)
「(がっくり)・・・ぐあー、残念だ。
なあマスター、次の入荷っていつよ?」
「あ? さあな!!」
「え・・・? さあなって・・・入荷ねえの!?」
「それも俺にはわからねえんだよ。
何しろ今回のは、ウチの店で世話してた小娘が
お土産って事で持ってきたもんだからな!
本当に偶然入荷したもんなんだ」
「うげ・・・」
「ま、まあ・・・諦めろよ相棒。
とりあえず、限定のキノコは食えそうなんだしよ」
「そ、そうだな・・・ん?
なあ、マスター。
世話してた娘って、ライスちゃんか?」
「お? よく分かったな!
調査だか何だかに同行していって
今日、無事に帰ってきたんだとよ!」
「あーー、そういやこの間、そんな事言ってたな」
「へえーー。
あ、じゃあ今日は店に出てるとか?」
「バカ言うなっての!!
ってか、あいつも店に出る気満々だったから
{疲れてんだから帰って寝ろ!}っつって
とっとと宿に帰したぜ」
「えーー? 何でよーーーーー」
「何でもクソもあるかバカ!
本人が自覚してねえでも
疲れってのは残ってるもんだろが!
その辺はお前ぇらだって、身に覚えはあんだろ」
「あーー、まあ、そうだなーーー、そうかも」
「だな、{まだいけるは危ない}ってやつだ」
(バタバタ、ザワザワ、ギャーギャー)
「(あせあせ)て、店長~~~!
あっちのお客さんが品切れって聞いて
怒り出したんですけど、どうしましょうか!?」
「あん!? 俺の店で騒ぎだ!?
じゃあ、コレ持てコレ!(ぽいっ)」
「はい? え? 熱っ!! 熱々のおしぼり?」
「へ? おしぼり?
そんなの渡してどうすんだよ? マスター」
「そんなバカには、コレを顔面に投げつけてやれ!
かまわん! 俺が許す!!」
「ええっ・・・」
「(にかっ!)はいっ!! 任せてください!!!」
「えええっ・・・!?」
(ドドドドドド、クラエーーー!!! ギャーー!?)
「うあっ・・・アレは痛ぇ、そんで熱い。
やるなーーー、あの給仕の子」
「うへぇ、相変わらずとんでもねえ店だなぁ」
「がっはっはっは!!!
ウチの客は荒くれもんが多いからな!
このくれえで丁度いいんだよ!!
・・・おっと、できたみてえだぞ?」
「「おっ!?」」
(ゴトン、ゴトン、ジュワアアアアアア)
「ほらよ! お待ちかねのキノコの盛り合わせだ」
「「ひゃっほー!! 待ってました!!!」」




