288 冒険者Aさんとおみやげは? ②
あらすじ:お嬢様、暴走。
視点:寮の管理人 タロットさん
『』:アルファさん
「はあーーーーー、やっと終わったよ。
お土産の食材はありがたいんだけどねえ。
さすがに一度に渡されると、保管場所に困るよ」
いや、まあ、確かにありがたいんだよ。
寮では決まった時間にご飯を作ってる事もあって
帰宅時間がバラバラな、寮住まいの子達の大半は
【ビアー】とか外で済ませてくるから
そこまで一度に大量に作る訳じゃないけど。
それでも、少なくとも10人前は作るからねえ。
どうしても仕入れの食材が偏っちまうんだよね。
でも、同じ食材ばっかりじゃ、可哀想だし
私もおいしい物食べさせてやりたいからね。
「はは、すいません、タロットさん」
「(ぶんぶん)いやいや!
気にしないで頂戴、リマちゃん。
むしろこっちはお礼言いたいぐらいなんだから」
「あ、あの・・・ちなみに、明日。
アルファさん達は天日干しで乾物作るそうなんで
おみやげはまだ増えると思います・・・」
「(ひきっ)え”っ!?
・・・ま、まあ、乾物って事は、何日かかかるだろうし
さすがに、直ぐって訳じゃないから、だ、大丈夫さね」
本当に大丈夫なのかね?
あの子、たまに信じられない事を平然としてくるからねえ。
・・・たまに・・・いや、たまにじゃないかも?
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(コポコポコポ、カタッ、ズズズッ)
「(ごくん)・・・あっ、このお茶美味しい」
「でしょう?
この間、ゲンさんに貰ったのよ~。
結構、【フソウ】の良いお茶だって言ってたわね~。
・・・ねえねえ、リマちゃん?」
「? はい、何でしょうか?」
「お土産は~?」
「・・・えっ? おみや・・・げ? えっ!?」
「んも~~~~、分かってるくせにねえ!
もちろん、{お茶に合うお土産話!}の事よ~~!」
「お、おみやげ・・・ばなし? ですか?」
「(にやにや)ほら、出発前に言ってたじゃない~!
ほら、どうなの? どうだった?
関係とか変わった? 好きになったりとか・・・」
「好きに? ・・・・・・ええ!!(キラーーーーン)
ええ! ええ!! それはもうっ!!
私、大好きになりました!!!」
「おっ!?」
あらら!? これは予想外!?
今回、少しでも興味を持ってくれたら程度に考えてたけど。
これはひょっとして!?
ひょっとしちゃったりするのかい!?
期待しても良いのかい!?
「(うっとり)一緒に作業したり、一緒にご飯食べたり。
・・・一緒にお風呂も入りましたよ!! 夜も一緒に!!」
「ほおお~!!? それでそれで!?(わくわく)」
「(きりっ)私、大好きになりました! サクちゃん!」
「そうなんだ!! サクちゃん・・・えっ?」
「(にこー)はい! サクちゃん!!」
「(ぽかーん)・・・サク・・・ちゃん?」
誰それぇえええ!!!!???
・・・・・・・・・あっ、あの子ぉ!!?
アルファさんの養子になった、あのちっちゃい子!?
い、いや、確かに可愛かったけど・・・。
えええええ!? 何でよおお!!!!
「(はっ!)あっ! そうだ、タロットさん。
今後、早番の時なんですけど
私、夕食は外へ食べに行く事が多くなると思いますので。
いいえ、多くなりますので!!」
「えっ? あ、ああ、そうなのかい?」
「(キランッ)ええ! そうなんですっ!
実はサクちゃんにもお願いされまして!
今後、特に緊急の用事が無い限り
サクちゃんと・・・サクちゃん達と
夕食をご一緒する事になりましたのでっ!(ふんすっ)」
「お、おお・・・そ、それは良い事・・・だね?」
な、何か変な方向に目覚めて無いかい!?
私が期待してた色っぽい話じゃな・・・い・・・。
・・・・・・ん? でも、これは良い傾向じゃないかね?
もし、男性への恋愛感通り越して
子供への母性に目覚めちゃったんだとしても
それはそれで、切っ掛けにはなるわよねえ?
あの子と一緒に夕食って事は、当然、一緒なんだろうし?
うん、そう考えたら悪くないじゃないか!?
これは・・・楽しみだねえ!!
「・・・と言う訳で、夕食どうするかは朝に・・・。
あれ? どうかしましたか? タロットさん」
「(にやっ)あっはっはっはっは!!!
いやいや、何でも無いからね、リマちゃん!
うんうん! {お茶に合う良いお土産話}だったよ!
ご馳走様! あっはっはっはっはっは!!!」
「は、はあ・・・?」




