287 冒険者Aさんとおみやげは? ①
あらすじ:昆虫型モンスターの中でも、アリは特に面倒らしいです。
視点:ご隠居の護衛 ジン・クロガネさん
『』:アルファさん
「うわぁ・・・。
こらまた、えらい量のお土産やないですか~」
「でしょう!?」
でしょう!? ・・・って、何でお嬢が自慢気なん?
ま、まあ、それはともかくとして・・・。
でっかい美味そうなお芋に、こらまたでっかい栗。
おおっ!? 果物も色んなんが有りますやん。
まん丸で見事な梨も有れば、コレって無花果やんな?
え? まさか自生しとったんちゃうよな?
もちろん、アルファのにーさんが植えたんよな?
おー、ご立派なゴボウやんか!
これやったら、キンピラも炊き込みご飯も作り放題やな~。
・・・ん? え? でかっ!? 何やコレ!!!
「ほう! ・・・これは見事な【ニオウシメジ】であるな」
「え!? 臭う? それって食えるんでっか!?」
「し、しめじ? お、おじいさま?」
「ほっほっほっほ。
まあ、2人が知らぬのも無理は無いかのう。
これは【ニオウシメジ】と言ってな
【フソウ】でも滅多に採れん、最大級のキノコなのだよ」
「最大級っ!!(じゅるり)」
「さ、最大級やて!? ・・・って、お嬢。
もう食う気満々やんか!?
こ、コレって美味いんでっか? ご隠居様?」
な、何か、ここまででかすぎると
ちょっと食いもんに見えへんのやけど・・・。
ど、どうなんやろか? まさか毒とか有らへんよな?
【フソウ】の食通の人が{美味いもん}ってゆーたら
たまに、毒有るような食われへんもんでも
範囲内に入っとるから、油断でけへんのや・・・。
何度かそれでえらい目見たしなぁ。
「うむ、うまい」
「はうっ!?(じゅるっ、ぐ~~~)」
「(じとーー)そ、それだけでっか? ご隠居様?」
「ふふ・・・安心せい、ジン君よ。
このキノコには、毒も無ければ幻覚作用も一切無い。
・・・まあ希少なキノコゆえ
私もそれほど食べた事が有る訳では無いのだがな。
少々独特では有るが、味も風味も悪くなく
何よりも歯ざわりが良い」
「ほ、ほほう~~~!?」
「歯ざわり!!(ぐぅ~~~~~~)」
「うむ。
私の時は、七輪で炙って食べたのだが
歯ざわり自体はコリコリとしておって
噛むと、強烈にキノコの味と風味が湧き出るのだよ」
「湧き出るんでっか!?」
「湧き出る!?(ぎゅごごごご~~~~~)」
「ほっほっほっほ。
それに、炙って縮んでも、まだかなり大きかったのでな。
焼いたキノコを口いっぱいに頬張れたという経験は
あのキノコでしか味わえん特権みたいなものなのだよ」
「な、なるほど・・・それは楽しみで・・・!?
(ぎょっ)う、うわっ!? お、お嬢っ!?」
何かお嬢が口半開きで涎垂らして
ちょっとにーさんには見せられへん顔になっとるぅ!!?
・・・ん? お嬢の目線・・・・・・ああああっ!?
「(がばっ)アカン!! アカンでお嬢!!!!
我を忘れとる状態やからって
幾らなんでもキノコを生でかじろうとしたらアカン!!!」
「(じたばた)フゥーーーー!!! フウウウウウ!!!!」
「(あせっ)う、うむ、ユミネよ。
さすがにそれはいかんぞ。
じ、ジン君、頼めるか?」
「あいよ、ご隠居様! お嬢すまんなっ!!
(しゅばっ)ちょっと寝とってや! 【当て身】っ!」
まあ、こーゆー時は、気絶させてまうのが一番やからな!
さすがに一晩寝たら、お嬢も元に戻っとるやろ。
ほんま、ここまで我を忘れるお嬢って久し振りに見・・・。
「(しゅばっ)フアアアッ!! 【頑強】っ!!!」
(ゴワーーーーーーーーン!!!!!!)
「むっ!?」
「て、抵抗しおったやと!?
ああ!! もうっ! 抵抗すんなやお嬢!!
ちょっと痛いけどスマンやで! 【当て身・弐】っ!!」
「(じたばた)【金剛】ォオオオオ!!!!」
(ガキャーーーーーーーン!!!!!!!!!!!)
「なんやてーーーーー!!!?」
「な、何とっ!?」
うそやろ!? 物理耐性が上がる【頑強】のスキルは
【行者】やっとる人間としては、基礎中の基礎やし。
体に慣らしとったら、無意識下でも咄嗟に使えるけど。
【金剛】ってゆーたら、物理対抗のスキルん中でも
集中が必要な、所謂{上級}やないか!!
普通、錯乱した状態で使えるもんやあらへんやろ!?
く~~~~~!! これやから天才ってのは!!
こんな時に無駄に才能発揮せんでええやないか!!!
・・・にしても、いや、マジでどうしよ?
一応ワイも、もう1段階上・・・。
上級の【当て身・参】も使えるんやけど。
アレって衝撃強すぎて、ちょっと記憶飛んだり
何らかの後遺症残る可能性高いんよなぁ。
最大級の【当て身・極】まで行ったら
何も後遺症残らんらしいんやけど、ワイ使われへんし。
いや、しゃーないやん!?
だってワイ、刀専門のお侍さんやし!!?
「ふむ・・・?(ごそごそ、すっ)
うむ、ジン君、少し息をするでないぞ?」
「っ!?(ぴたっ)」
(ポフポフポフ、ホワ~~~~~~ン)
「・・・・・・ふにゃ~~~(ぐったり)」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
(ギーーーー、パタン)
「おお、色々すまんな、ジン君」
「いやいや、ワイの方こそ
うまく対処できんですんませんでした、ご隠居様。
・・・それにしても、さっきのって何です?
何や、見た感じは{香り袋}っぽかったよーな???」
「ああ、コレかね?(ごそごそ、すっ)
コレはジン君が言った様に{香り袋}なのだよ。
中身は、安眠の効果がある【香木】をチップ状にした物でな。
眠れない時などに、少し嗅ぐとよく寝れるのだよ」
「へえ・・・ご隠居様、そんなのお持ちやったんですか」
「ほっほっほ。
実はこれもアルファ君が作ってくれた道具なのだよ。
これは中の【香木】を燃やさなくても
香りが楽しめるから、私も重宝しておってなあ」
「ま~~た、あのにーさん製ですかー」
「まあ、良いではないか、ジン君。
それよりも、アルファ君が持ってきてくれたお土産は
あまり日持ちのしない物ばかりらしくてな。
残りは、明日、天日干しにするそうなのだよ。
それで、ユミネも参加する事になっておったのだが・・・」
「あ~~~~~~、なるほど。
つまり、それもあったから
お嬢のテンション上がりすぎて、暴走してもーたと・・・」
「うむ・・・すまんな、色々と」
「いや~~~、ワイもさすがに慣れてきましたわ・・・」
「「・・・・・・はぁ」」




