284 冒険者Aさんと調査員と調査員
あらすじ:現在、薬師のホウさんは、ホウライに住んでおり
毎日、薬草を育てたり薬開発して元気に暮らしてます。
視点:ドライエック商会 調査員 チョークアップさん
『』:アルファさん
(パッカパッカ、ガタガタ、ゴトゴト)
「へえ、ご家族でご旅行なんですか~。
それは実に羨ましい限りですね」
「ははは・・・仕事のついでなんですけどね。
少し長期の出張になりますのでこれを機にと。
今まで、あまり外へは連れて行けませんでしたので」
「おや? それはそれは。
・・・ああ、襟の紋章を見るに
お城に勤めてらっしゃるんですね。
それでは確かに、まとまった休日は難しい事でしょう」
「おや? よくおわかりになりましたね。
ええ、おっしゃる通りなんですよ。
まあ、私の場合は元冒険者ですので
こうやって、各地への派遣はよくある事なんですけどね。
そちらもお仕事で【タンゴの町】に?」
「ええ、そうなんですよ。
私は王都にある商会の者・・・とは言っても
所詮は下っ端なんですけどね。
こうやって市場調査に派遣されてる訳なんですよ。
いやはや、お互いにお仕事お疲れ様と言った所ですか~」
・・・うん、とりあえず同乗者に挨拶ついでで
軽く探りは入れてみたが、特に裏は無さそうだな。
元冒険者の城勤めの兵士か・・・年齢は俺と同じぐらいか?
言動も正直者っぽいし、嘘はつけないタイプだろうな。
(ガタゴト、ガタゴト)
「おっとっと、それにしても、結構揺れるな・・・。
大丈夫か? フュン、フーツェ?」
「私は大丈夫よ、あなた。
フーちゃんは? お尻とか痛くない?」
「フーはいたくないよ?
あはは! がたごとしてなんだかおもしろい!」
「(ぽりぽり)はは・・・これが楽しめるとは
中々、将来性豊かなお嬢さんですな~」
「はは・・・健康的で何でも楽しめる子なんで
手がかからないのはありがたいんですけどね」
正直、俺は何度乗ってもこのガタガタは慣れないから
これが楽しめるのは心底羨ましいな。
・・・それにしても調査・・・調査ねぇ。
今回の調査、表向きはいつもの商会の時と同じで
近年成長著しい【タンゴの町】の発展度合いと市場調査。
・・・なんだが、それとは別に調査対象が1つある。
しかも、トリアングルさん・・・商会長直々の調査指示だ。
何でも、デルタお嬢さん・・・あのワガママ娘が
ゴリ押しで入れてもらったギルド内で結局やらかしたらしく。
そのやらかし具合を調べてこいとの事だと。
さすがに、わざわざそんな事を調べに行くのか?
と思わなくないが、指示の最後に
{こんなつまらない仕事を頼んでスマン}と謝られて
逆にトリアングルさんに同情してしまったぐらいだ。
・・・しかし、恩義あるトリアングルさんには悪いが
ああ、やっぱりか・・・という感想しか出ないな。
むしろ、デルタお嬢さんを知ってる関係者だったら
意外と持った方じゃないか? とか思ってしまうぐらいだ。
はあ・・・、まあ心の中で愚痴っても仕方ない。
とりあえず、町の市場調査は調査で
しっかり行わないといけないのは確かだし。
気持ちを切り替えていくか。
(ガタガタガタ、ゴトゴトゴットン)
「それにしても、次の野営までずっとガタゴトか・・・。
尻が思いやられるな・・・」




