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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
279/401

279 冒険者Aさんと本命の夜番 2日目

あらすじ:たっぷり食べて年少組+αは夢の中。


視点:食べるのを早めに切り上げて寝ていた ロバートさん

『』:アルファさん


(パチッパチッ、ザッザッザッ)


「お疲れ様なんだな、アルさん」


『あれ? ロバやん、どしたん?

 仮設トイレやったら反対側やで~』


「あ、いや、トイレじゃないんだな。

 おでも夜番のお手伝いするんだな、アルさん」


『んー? いや、別に寝ててええで?

 俺は、3日4日徹夜とか全然平気やし。

 ロバやんも今日は疲れとるやろ?』


「いやいや、むしろ、おでは大した仕事してないんだな。

 それよりも、アルさんは夜番2日目だし

 本当はアルさんには寝てもらって

 おでが代わりに・・・と思ったんだども

 おではアルさんみたいに、感知とかできないから

 せめて、お手伝いぐらいはさせて欲しいんだな」


『わははは、ロバやんも律儀やな~~。

 ま、確かに手伝ってもらえるんやったら、ありがたいわ。

 夜番ってのは慣れたもんやったとしても

 1人でやっとったら、たま~に睡魔襲ってくるし。

 何かあった時に、皆起こしたり、火の始末してもらったり

 ちょっとした事でも、手が足らんもんやからな~』


「うん、なんだな。

 おでも、店とか倉庫とか、夜番はよくやってたから

 その辺は理解してるんだな」



 行商で遠征する時なんかは


 護衛の人達も夜番を兼ねてたんだども


 店や倉庫とかだと、おで達が交代で夜番してただ。


 その時も、商会長や古株の先輩達に


 1人で夜番をする事の危険性は色々と聞かされてたから


 夜番は絶対に2人か3人1組でやってたんだな。



『わはは、そーゆーたらそーやな~。

 じゃ、悪いけど朝まで頼むわ、ロバやん。

 多分、動きが有るとすれば今晩辺りやろしな~』


「うん、任せて欲しいんだな。

 おでにできる事なら何でも手伝うし」


(ザッザッザッ)


「今・・・」


「何でもするとおっしゃいましたか?」


「う、うわっ!?」


『いや、ゆーてへんゆーてへん』



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




(バチッバチッ、ボボボボ)


「あー、さっきはびっくりしたんだな」


「むほほほほ! 新鮮な反応でしたわよ~、ロー。

 何しろご主人様と来たら、驚かせても無反応ですんで

 驚かす甲斐が、無さ過ぎて無さ過ぎて~(やれやれ)」


「ま、まあまあミケお姉様。

 お師様は、【広範囲サーチ】使ってらっしゃるんですし

 私達の事は元々から気付いてらっしゃったでしょうし」


『せやなー。

 2人がテントから出てくるのも感知しとったし』


「あっ、やっぱり、そうなんだな」


『ユキが熱い茶でも差し入れしてくれようとして

 先に水汲みに行ってくれたんも感知しとったし』


「ははは、さすがお師様ですね」


『ミケが女性陣のテントを軽く見回りに行ったついでに

 食料テントに何かお茶受けになるもん探しに行った・・・』


「むほほ、ミケの気遣いまで気付かれてま・・・」


『・・・と見せかけて、ちゃっかりつまみ食いしてから

 何か持ってきた程度・・・の事しか

 俺には感知できんかったけどな~? な~? ミケ?』


「げっ・・・」



 ええっ!?


 ・・・そ、その【広域サーチ】って


 そんな細かい事までわかるんだか!?


 す、すごいんだな!!



「そんな訳ないでしょ、ロー。

 ご主人様だから、そこまで感知してたんですわよ。

 あと、ミケに対する信頼とか愛情とか愛情とか

 その辺りが付け加えられて、感知が倍増されたんですわ!」


「そ、そうだったんだか!?

 す、すごいんだな!!」


『流れるよーに嘘をつくのはやめーや、ミケ。

 単に今までの経験と慣れと推察やし。

 お前、その辺の行動パターンが、昔っから全然変わらんし』


「あ、そうだったんだか・・・そうだったんだか・・・」


「ああっ!? ローからの尊敬度が!?」


(コポポポポ、コトン)


「(にこっ)お師様、どうぞ、熱いお茶です。

 夜番という事で、濃い目にしておりますので。

 あっ、お2人の分も淹れますので、少しお待ち下さいね」


「ユキさん、一心不乱にお茶淹れてたんですか・・・。

 この子も色々な意味で侮れませんわね~」



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「それで、どの様な感じなのですか? お師様。

 【結界】のすぐ側までは居るのは居るんですよね?」


「えっ!? そ、そうなんだか?」


「いや、驚く様な事じゃないですわ、ロー。

 これまでは、{正体不明の強力な怖い気配}がしてたから

 遠巻きに警戒だけして、あえて中には近付かなかったけど

 そこににんげんが何人も入って行った上に

 昼も夜も、中から美味しそうな匂いが漂って来るんですわよ?

 そりゃあ、獣だかモンスターだか知りませんけど

 何らかの行動起こしても仕方ありませんわよ~~」


『せやな~~。

 1日目はまだ警戒強かったやろけど

 朝に迂闊に近寄った、2匹を狩った以外は

 外側に向けて特に攻撃的な行動起こしとらんし

 そろそろ動く奴は動くやろなー』


「な、なるほど・・・」



 た、確かにそうなんだな。


 なぜかすっかり忘れてたんだども、ここは町の外。


 当然、危険な獣だって、強いモンスターだって


 居るのが当然なんだな。


 むしろ、今まで襲って来なかったのが不思議なぐらい。


 それはやっぱり、お堂を警戒して?


 あ、いや、お堂に入ってるミケさんの毛? 像?


 それを警戒して襲ってこないんだか?


 そ、それにしても、アルさんも凄いけど


 ミケさんもユキくんも、そこまで理解してたのは。


 どっちも凄いと思うんだな・・・、それに比べて


 おでは、そこまでは考えてなかったんだな。


 野犬とか、泥棒相手の警戒しかしてなかっただ。


 実際にモンスターが襲ってきたとして


 おでに、何ができるんだか?


 むしろ、足を引っ張るだけでないだか?


 こんなんで、夜番は慣れてるとか


 アルさんのお手伝いをするとか言ってただか。


 うう、自分がちょっと情けなくなってきただ。



「いや、何言ってるんです? ロー。

 あなたまだ{Eランク冒険者}でしょ?

 しかも、まともな活動して、まだ間もない程度の。

 知らなくて当然でしょ」


「えっ?」


『ん? な~んや、そんな事気にしとったん?

 わははは、そりゃ、経験の差はしゃーないやろ。

 考えるだけ無駄ってもんやで、ロバやん。

 知らんもんは、どーやったって知らんもんやし。

 そっから対策考えるとか無理やろ~』


「(にこっ)はい、ロバートさん、お茶です。

 ロバートさん、私の場合は、せいぜい戦場を経験して

 戦術的な襲撃を理解している程度ですけど

 お師様は【行者】だった期間も含めて、

 もう25年近く冒険者として世界中で活躍されてますし

 ミケお姉様も、お師様に常に行動を共にしてらっしゃいます。

 実に羨ましい限りですよね。

 ですので、むしろロバートさんがどうのではなく。

 単にお師様が凄いのだと、専門家なのだとお考え下さい。

 あ、ちなみに先程、25年近くとお伝えしましたけど

 正確には24年と・・・(ぺらぺらぺらぺら)」


「あ、う、うん、わ、わかったんだな、ユキくん」


「ユキさーん、言ってる事は間違ってませんけど

 所々にご主人様マニアっぷりが出てきて

 さすがのミケも若干引き気味ですわー。

 って言うか、何でそこまでご存知なんですのー?」


『わははは、まー、ユキの事はええとして。

 ロバやん、俺かって経験しとらんもんは知らんわな。

 それこそ、山岳での日常の豆知識とか、まともな行商キャラバンとか

 俺の知らん経験と知識を、ロバやんも持っとるやんか~。

 だから、むしろ今回、経験できた~、こんなん知った~

 って思えば、それでええやん?』


「なるほど、そ、そうなんだな。

 おではまだまだ、冒険者として初心者なんだから

 驚いたり嘆いたりしてる場合じゃないんだな」


「(ぺらぺらぺら)そして世界に飛び出たお師様は・・・」


「むっほっほっほ! そうですわ~、ロー。

 何事もプラス思考ですわ、プラス思考~。

 前向きに捉えれば良いんですわよ~、前向きに~

 ・・・って、まだ語ってたんですの!?」


『わははは、ユキも色んな意味ですごいな~。

 ほれ、ユキ、いつまでも語っとらんと

 温かい内に、一緒にお茶飲もうや(なでなで)』


「(にこー)はい、お師様」


「うわぁ・・・一瞬で戻ってきましたわね。

 いつもなら、ぐぬってる所ですけど

 何かドン引きですわー」


『いや、お前も似たよーなもんやろ』


「えーーーーー?」


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猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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