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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
276/401

276 冒険者Aさんとテリヤキで広がる友達の輪

あらすじ:道具を推奨される用途以外に使う時は

     自己責任で注意して使いましょう。


視点:屋台広場 肉料理専門店 ワンさん

『』:アルファさん


(ワイワイ、ワイワイ)


「ほいよ! 豚モモのテリヤキお待たせっ!」


「おお! できたかい!?

 (くんくんくん)う~~ん、美味そうだ~!!」


「おーい、ワン君、ワシのはまだかね?」


「ちょっと待ってくれよ、もう焼きあがるからな!」


(ジューーーー、パチパチ、シュワワワワ)


「わあ・・・いいにおい!

 お母さん! コレ! コレにしようよ!」


「え? さっきまであっちの串焼きって言ってなかった?」


「おっ? 奥さん、串焼きかい?

 このタレで焼いた串焼きもあるんだぜ?

 1本小銅貨5枚だけど、その分、ボリューム満点!

 (さっ)ほら! 丁度焼けたとこだ!」


「あら、そうなの? えっと、確かに大きいわね。

 私とこの子で食べきれるかしら?」


「ぼくはだいじょうぶだよ!」


「そう? じゃ、じゃあ、2本貰おうかしら」


「やったー!!」


「まいどありっ! 熱々だから食べる時は気をつけてくれよな!

 そして、こっちのお客さんも串焼き1本お待たせ!!」


「おお! できたか! こりゃうまそうだわい」



 か~~~っ!! 今日は昼からずっと忙しいなっ!!


 ま、そりゃそうか、今日はツーの屋台は臨時休業。


 あいつの屋台がやってなけりゃ、倍忙しいのは当たり前だな!


 ・・・にしても、ツーの野郎!


 臨時休業の理由が、彼女とデートに行くからだと!?


 ふざけんな!! 俺なんか彼女もいないんだぞ!?


 頭に来たから、ウチの店の1番人気。


 アルファさんに教えてもらったタレのテリヤキ料理で


 一気に売上げを稼いでやるぜ!!


 ・・・っと、威勢良く開店したのは良いんだけどよ。


 ちょっと、コレは忙しすぎるよな。


 いや、下ごしらえは済んでる具材にタレ塗って焼く。


 それだけなんだけどよ、匂いがたまんねえんだコレ。


 見た目もテカテカになって、見るからに美味そうだもんな。


 店の前通るほとんどの人がお客さんになっても仕方ねえ!


 えっ? 何だい? お客さん。


 は? このタレの作り方を教えて欲しい?


 いや、まあ別にアルファさんには知りたい人が居たら


 どんどん教えてやってくれとは言われてるし


 俺も別に秘密だとか隠すつもりも無いんだけどよ。


 今のこの状況見たらわかるだろ?


 さすがに教えてる余裕なんて・・・え? 手伝う?


 その代わり、教えて欲しい?


 そっか・・・なるほどなるほど!


 ・・・・・・よ・ろ・し・くぅうう!!!!!!


 いや、本当っ! 助かるっ!!!



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




(カチャカチャ、ゴトン、ゴトン)


「ほい、良かったらコレ食べてってくれよ!

 ウチの牧場特製【赤ブタ】のテリヤキだ。

 いや~~~、手伝ってくれて本当に助かったよ。

 俺もまさか、こんな夜遅くになるまで

 ずっと忙しくなるとは思わなかったさ」


「ははは、そうだな。

 俺もここまで忙しいとは思わなかったけど

 俺で手伝える範囲で良かったよ」


「いや~、それにしてもロックって手馴れてた感じだけど

 どっかで料理してたのか?

 あ、このパンにレタスとテリヤキ挟んでみてくれよ。

 すっげえ合うんだ!!(すっ)」


「へえ・・・どれどれ(もぐもぐ)

 うほお!? (ごくん)うん、すっげえ合うな!

 やっぱり、コレ店で出すのにピッタリだ!

 え? あ、俺は元は船専属の契約コックだったんだよ。

 まあ、船旅は長期になるから

 他の契約コックと交代で乗り込むんだけどな」


「ああ、船の・・・ん? 元って事は今は違うのか?

 あ、そうだ、このマスタードを上にかけても合うんだ」


「そうなんだよ! それがさ、聞いてくれよ(ペタペタ)

 いざ契約の日が近いって事で、いざこの町に来てみたらよ!

 沈んだらしいんだよ、(もぐもぐ)おへのへいやふしてたふえ!!

 (ごくん)おお~!! 良いなコレも」


「は? 沈没?」



 ん? それってどっかで聞いたな?


 ・・・あれ? 確か最近アルファさんと一緒に行動してる


 あの背の高い・・・えーっと、ロバートさんだっけ?


 あの人が乗ってた船が沈没したとか聞いたような・・・?


 ま、その事は今度また聞いてみるかー。


 それにしても、やっぱ、元コックだったんだな。


 簡単な指示だけで間違えずに調理してくれたし


 何より手捌きが明らかに慣れてたもんな。



「そうそう、沈没して雇ってくれてた商会が無くなってたのさ。

 それで他の船も当たってみたんだけど、丁度空きがなくてね」


「あー、わかるわかる。

 店と違って乗員数決まってるから

 空きが無いと絶対無理なんだよなー」



 ・・・俺も色々調べてはみたんだよね、その辺。


 実は屋台広場ができてなかったら、俺かツーのどちらかは


 船のコック目指すのも有りかって話になってたんだよ。


 いや、本当アルファさんのおかげで


 こうやって料理を好きに披露できる場だけじゃなく


 どっちも自分の店が持てたんだもんな・・・。


 感謝してもしきれないってもんだよ!!


 ・・・あ、でもウチの可愛い妹の件は別だぞ!?


 お兄ちゃんは認めないよ!? 認めないから!!



「ま、そんな感じでがっくりして酒場で飯食ってたら

 酒場のマスターが声かけてくれてさ、事情話したら

 酒場のコックとして雇ってもらえる事になったんだよ!」


「お!? 良かったじゃないか!!

 店主シックスさんって、顔はちょっと怖い感じだけど

 あの人、なんだかんだで面倒見良いよな!

 ちなみに俺の実家が農場なんだけどよ。

 肉とか野菜とか定期的に買って貰っててな。

 よく、酒場まで届けてるんだぜ?」


「おっ!? じゃあ今度届けに来た時に声かけてくれよ。

 俺もコックとして頑張ってるだろうからさ!」


「(にかっ)ああ! もちろんだ!

 ・・・そういえば、何でテリヤキの作り方知りたかったんだ?」


「ああ、それな・・・俺もよくは知らないんだけどな。

 実は、あそこに住み込んで働いてた給仕の娘が

 最近、弟子だか何だかで貰われてったらしくて

 それで代わりに良い物手に入れたから人員増やすついでに

 飲み物や料理の種類も増やそうと思ったらしくてな。

 それで俺も酒場向けの料理の相談されてたのさ。

 んで、このテリヤキは丁度良さそうだなって思ったんだ」


「そ、そっか・・・めちゃめちゃ詳しいな」


「・・・いや、さすがに何回も同じ話されたら覚えるさ。

 多分、よっぽど嬉しかったんだろうな。

 酒場に来た客にしょっちゅうその事、自慢気に話してるのさ。

 その面倒見てた娘が何とかなった事なのか

 代わりに貰ったっていう良い物の事なのか

 その両方なのかは知らないけどなー」


「あっはっはっは! シックスさんらしいな!

 じゃあ、今度俺が配達に行く時は

 その自慢話聞かされる覚悟で行かないとな!?」


「あはははは!! そうだな!

 覚悟しといた方がいいぜ~!?

 じゃ、俺はそろそろ帰るわ。

 テリヤキ料理の作り方、教えてくれてありがとな!

 ワンはいつもここで料理してるんだろ?

 また来るからな!」


「おう! ここが俺っちの店だからな!

 いつでも来てくれよ!

 あ、忙しそうだったらまた手伝ってくれても良いんだぜ?」


「ははは! そうだな!

 また違う料理教えてくれたら幾らでも手伝ってやるよ!

 じゃあな!」


「おう! じゃあな!」


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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