275 冒険者Aさんと道具の使い道
あらすじ:ライムグラスさんも徐々に教えられてるようです。
そしてサクさんとリマさんはキャッキャウフフ。
視点:山岳出身だけど風呂好き ロバートさん
『』:アルファさん
「くあぁ・・・」
『あ”あ”あ”あ”~~~』
(ザパーーーーン、ザバザバ)
「もう2人共~、気持ちはわかりますけど
一気に絵面がオッサン臭くなりましたわよ・・・」
『オッサン臭くもなんも
実際にオッサンなんやからしゃーないやろ、ミケ。
大体、お前も似たよーなもんやないか。
それが嫌やったら、お前の反対側見といたらええやろ~』
「いえ、嫌とかではありませんけどー、けどーけどー!
従者としましては、ご主人様にはいつも若々しく~~。
・・・え? 反対側?(くるっ)」
(チャプン、パシャッパシャッ)
「・・・・・・ふぅ(しなっ)
あら? どうかされましたか? ミケお姉様」
「・・・あー、うん、いえ。
何でもありませんわよ? ユキさん。
お気になさらず、ゆっくり浸かってて下さーい」
「あ、あははは、なんだな。
それにしても気持ちいいだな~~」
まさか、調査とは言っても、クエスト中に
こんなにゆったりとお風呂に入れると思わなかったんだな。
おでは、草刈りが終わった後、採取班の方に
手伝いに行ったから、お風呂の作成は見てなかっただ。
アルさんは簡易だって言ってただども
普通はこんなにすぐ作れるものじゃ、無いはずなんだな。
(コンコン)浴槽をこんなに固めるのも簡単だと思えないし
そもそも固める前に、6人ぐらい余裕で入れる穴を
地面に掘るだけでも大変だと思うんだな。
(コンコン)コレ、カチカチに固まってるんだども
触った感じはツルツルしてるんだな。
一体、何でできてる・・・ん?
コレ、どこかで見た気がするんだな。
「(ザパザパ)ふひ~~~~。
そりゃそうですわよ~、ロー。
それってトリモチですわよ、トリモチ。
今朝見たでしょ~? アレですわアレ」
「あっ! そ、そうだ! トリモチなんだな!」
『わははは、おもろいやろ? ロバやん。
このトリモチって、便利でなー。
元々、速乾性でカチカチになる優れもんなんやけど
触り心地もツルツルで、触っても怪我せーへんし
防水の性質もあるから、即席の床とか壁とかに使えるんや』
「ふあーー、確かにそれは便利なんだなー。
どんな材料が使われてるのか、おでにはさっぱりだども
作った人はすごいだな~」
「(ザバッ!)うふふふふ! そう! そうなんですよ!
ね? 凄いでしょう? ロバートさん!?
今でこそ、こちらにも普及していて
道具を扱うお店で、普通に販売されてますけど
実は、元々お師様の発明品なんですよ!?
本当に、凄くて凄くて! はぁはぁ!!
私は今も感激と興奮が止まりません!!」
「お、おおう・・・なんだな」
「うわぁ・・・何か、久々に見た気がしますけど
そういえば、ユキさんはご主人様マニアでしたわね。
ちょっと~~~、ユキさん? 目が怖い目が怖い。
こんな所で興奮しないでくださいまし~~~」
そ、そっか。
このトリモチはアルさんが作ったんだな。
アルさんって、このトリモチ以外にも
色々作ってるみたいだし、色々できるし。
うーーーん、本当、すごいだなあ。
何もできないおでとは全然違うだなあ。
『(かくんっ)んーーーーー、まー確かに。
この製品を作ったんは俺やけどなー。
発案自体は俺の義父の昔話が元やしなー?
どっちかとゆーと、とっつぁんの功績なんやわ。
俺はそれを再現して、色々使い易いよーにしただけやし?』
「(ザババッ)いえ! それは違います! お師様っ!!
草案だけなら誰でも可能ですが、それに可能性を持たせ
さらに実現する事は誰にでもできる事ではありませんっ!!
(ザバザバ)それこそ、お師様のよく仰られるお言葉!
{それはそれ! これはこれ!}だと、私は思いますっ!
ですので! お師様は凄いのです!
(ぎゅー)私はそんなお師様のお側に居られて!
教えを受けられる事が! 事が・・・こと・・・。
(すりすりすり)・・・・・・はにゅぅ~~~」
「(ザバーーッ!)ちょっと! ユキさん!?
なんて羨ましい事を!! そういうのはミケが!!
ミケの特権!! ミケの役得なんですわよ!?
そういうのは!(スイー)こう! (ぎゅー)こうで!
(すりすりすり)うえっへっへっへ~~~!!!」
『何でやねん』
「あ、あはは、楽しそうで何よりなんだな」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
(ザバー、パシャパシャ)
「あ、そういえば、アルさん。
この風呂場は簡易って事は、帰る時に壊すんだか?」
『せやなー、屋根と衝立の方は、そのまんまでもええけど。
風呂の方は、お湯溜めただけで循環機能付けとらんし
排水せんとアカンから、壊さんとアカンなー』
「あ、やっぱり壊すんだか。
何かもったいない気もするんだな・・・」
「屋根と衝立は丸太で組んで、トリモチで加工してますから
まー、そんなすぐに腐る事も無いでしょうけど
排水しないと、何が起きるかわかりませんしねー。
この地が【マナ】が集まりやすい土地だって事を
忘れちゃいけませんわよ~?」
「人が住んでいて、監視下にあるのなら
問題は無いのでしょうけど。
どの様な変化をするかわかりませんしね。
水棲のモンスターが発生したり、毒に変質したりなどの
可能性が無い訳では無いですし、仕方ないかと」
「そ、そんな事もあるんだか・・・こ、怖いんだな」
『まー、ユキのゆーたんは極端な例やけど
無いともいーきられ辺のが、正に怖いとこやな。
ま、壊すんは作った時より簡単で、すぐやし』
「え? そうなんだか?」
「ええ、今朝の事を覚えてますか? ロー。
ご主人様が渡した水をかけたら、溶けたでしょう?
アレは中和用の粉を水に溶いた物なんですわ。
ですので、風呂の水に{サー}ってしとけば溶けます。
後は穴を土で埋めれば完了ですわ~」
「そ、そんなに簡単に壊せるんだか?
べ・・・便利な使い方ができるんだな・・・」
「(キラッ)ええ! 本当に凄く便利だと思います!
だからこそ! お師様は私の憧れで! 目標で!
誇りにも(ぎゅっ)にゃもにゃも~~」
『わかったから、それはもうええっちゅーねん』
「(うっとり)もにゅもにゅもにゅ~」
「(ぎりっ)う、う、うらやましいですわっ!」
『それももうええっちゅーねん』




