27 冒険者Aさんと町の町長&雑貨屋さん
あらすじ:{小休憩ご飯}というパワーワード
視点:名前の由来の1つは 茶・白・黒の三毛 大妖狸ミケニャンさん
『』:アルファさん
「!!? んなっ!?
おっ! 何じゃ、アルファの坊主か・・・・・
に”ぁあ”あ”あ”あ”あああああああああああ!!!??」
『何で祖父と孫で{天丼}しとんのや。』
「ぬ”!? {天丼}じゃと? ワシも久し振りに{天丼}食いたいのう。」
「アルファさん、{天丼}って何ですか?」
「サバミソ、{天丼}には2つ意味があってですね。
1つは【フソウ料理】の{天ぷらを乗せた丼物}の事なんですが
もう1つはこれまた{【フソウ】の伝統芸能で使われてる専門用語}なんですよ。」
『意味はまあ・・・直前で使われた同じネタを2度3度繰り返す事やな。
それしても{天丼}か・・・ふむ。』
「ところで、お前ら一体何しに来たんじゃ?」
珍しくこの爺さんが軌道修正させましたね。
いつも逆なのに。
ちなみに、今居るのは先程の町長の家から徒歩1分。
というか家の裏がでかい雑貨屋になってるんですよね。
ちなみに店に名前は無いですし、売ってる品物もコレと決まってるわけでは無いんですよね。
生活雑貨・ガーデニングセット・本・おもちゃ・薬に、農具・武具・防具とか
思いつくままに置いてる感じで、しかもその日によって品物違いますしね。
だから皆は{ゼーロ爺さんの店}とか{何でも屋}とか勝手に呼んでます。
『あー、悪いなぁ爺さん、新人の子に案内と顔合わせってやつやわ。
・・・という訳でサバミソ、ここがこの町唯一の{雑貨屋}で
この頑固そうな爺さんがこの町の町長のゼーロさんや。』
「は、初めまして! サーバクン・ミーソットです、うおっ。
なるべくご迷惑はかけないように気をつけますので、よろしくお願いしま」
「バッカモーーーン!! 若いもんはドンドン迷惑かけんかい!
お前も見た目がちょっと魚なぐらいなんじゃ!!
そんなもん気にしとらんと、目一杯好きな事やらんか!!!(くわわっ!!)」
「(びくっ!)あ、はい、ば・・ばんがります、うおっ。」
「うむ! ばんがれ!!」
『という感じでノリと勢いでここまで来たお人や。
まあ、この勢いがあったからこそ
この町も開拓村から、ここまででっかくなれたんやろな。』
「えっ、この町って開拓村だったんですか? うおっ。」
「おうよ! 60年ぐらい前にな!!
ワシの父ちゃんがリーダーでな! 全部でたった31人の開拓団だったんじゃ!!」
『前に聞いた話やと、王都からここまで皆でぞろぞろ来たとかって言っとったな。
今も対して変わらんと思うけど、当時は王都にまともな冒険者なんておらんかったんやろ?
モンスターとかウロウロしてるここへ、護衛無しでよう来たもんやわ。
大したもんやでホンマ。』
ですねえ・・・、この地に限った事じゃないですが
世界中で{凄腕護衛付きの大規模開拓団が全滅}ってのも珍しくないのに
護衛無しの31人で開拓とか無謀すぎですよね。
「いや違う違う、一応護衛は居ったんじゃぞ?」
「えっ? そうだったんですか? うおっ。」
「おう! 護衛というかじゃな、唯一の後援者がおってな!
・・・あー、この話は少し長くなるから
後でそこの2人にでもに聞いとけ!
ワシは今忙しいんじゃ!」
まあ、開店前の準備中でしたし仕方ありません。
ちなみにこの店の開店時間は{大体11時ぐらい}です。
{大体}とか{ぐらい}ってのがこの爺さんらしいですね。
ふむふむ、今日の商品はお決まりの冒険者用品一式に調理器具。
子供用の遊具にトロット爺さんの調合した薬草が数種類と・・・。
おや? あれはひょっとして。
「ゼーロさん、その棚の上にあるのは売り物ですか?」
「あ”っ!? おーー、これか!
ミケの嬢ちゃん、これ何か知っとるのか!?
実はのう、この間放蕩息子がふらっと帰ってきた時に
拾ったから土産~とか言って持ってきたもんなんじゃが
ワシもあやつもそれが何かわからんから、とりあえず棚に置いとるんじゃ!
何かの鱗っぽい気もするし、鉱石っぽい気もするんじゃが。」
とりあえず置いてるとか・・・さすがですねえ。
っていうか、コレってアレですよね?
拾ってって、コレはそんなホイホイ落ちてるもんじゃないんですけどね。
ここは適当にそれっぽい嘘並べて爺さんをだまくらかして
どっか別のとこで高く売り払うべきですかね。
・・・まあ、こういう話をしてしまった以上・・・。
『ほーん? どれどれ・・・あー、これはアレやな。
爺さんの予想はまあ見当違いでもないで。』
「ほう、んで結局何なんじゃそれは。」
『こりゃアレやで、【岩竜の顎鱗】やね。
モンスター素材でギルドの買取価格で言えば1つで銀貨4~5枚ってとこやけど
ただ、そんな事よりも、問題はどこで拾ったか・・・やなぁ。』
ほら・・・やっぱりご主人様はあっさり鑑定結果伝えちゃうんですよね。
必要があれば平気で嘘もつかれますし、人を騙す事だって躊躇されませんが
基本的にご主人様はお金自体とか儲けに対する執着心とかって有りませんよね。
まあ、そこがミケのような妖怪からすれば無敵に劇的で素適な所なのですけどね。
ぬっふっふっふ。
「どこで拾ったかじゃと?
うーむ・・・・・・確か1ヶ月前ぐらいじゃったかの
大陸南東部の【ツヴァンツィの港】まで足を伸ばした時に
内陸の町へ配達の用事があって
丁度そっちへ行く隊商に同行させた貰ったらしいんじゃが。
その道中の野営中に拾ったとか何とか言っっとったのう。」
「【ツヴァンツィの港】から内陸の町ですか。
であれば、多分【ギャプシームの町】でしょうね。」
『せやろな。
あっこから伸びとる街道って言ったらそこぐらいやし。
いやー、この近辺やったらちょっと面倒やなと思ったけど。
あの町の近辺は【冒険者ギルド】の激戦区やから
多分ボッコボコにされて逃げ回ったやつが落としてったんやろ。』
「あそこ、強いモンスターも多いですけど
今ではそれ以上に{修羅勢}の巣窟と化してますものね。
という訳で問題なさそうですね、ご主人様。」
「アルファさん{修羅勢}って何ですか? うおっ。」
『えっとやな、{修羅勢}ってのは、まあ【フソウ】での総称なんやけど。
一言で言うと{バトルジャンキー}の類やなぁ。
年がら年中戦ってる、戦闘が大好きで大好きでしょうがない連中やったり
稼ぎの事しか頭に無くて、病的なまでに狩り効率を求めすぎてる連中やったり。
まあ、俺からすると{手段が目的になってるんちゃうか?}って感じやなぁ。』
「しかも、ひじょーに面倒臭い事に
{~出来て当たり前}とか{~を知らない方がおかしい}とか
自分以外の他人にまで、実力や効率を求めてくるような悪癖があるんで
本人の強さや知識はともかく、厄介すぎて友達になりたくないタイプってやつですね。」
「そうなんじゃ! 商売しとるとどうしてもあの手の奴等とも接点が出来るんじゃが
あやつら、声は聞こえてても話が通じておらんでなぁ・・・。
とにかく自分の主張を押し通してくるから面倒なんじゃ!!」
「ひえっ・・・そ、それが{修羅勢}ですかぁ、うおっ。」
・・・でも、実の所【フソウ】で{行者}やってた時のご主人様って
結構、それに近かったような。
いえ・・・{もっと酷いナニカ}だったような・・・・・・。
特に、あのアホ狐を退治した時とか、朝廷の{武術師範選定の御前試合}の時とか。
そう言えば、その他にも色々とあったような、あうあうあう・・・(がくがくぶるぶる)
「なんじゃい、嬢ちゃん!
すごい汗かいとるようじゃが、大丈夫か!?
沈静用の薬草いるか!?」
「ハハッ、ナンデモナイデスヨ。
モンダイナシデス!!(だらだらだら)」
『何で急に片言になっとんのや。
ほれ、しっかりせえよ。(ぎゅっ、なでなでなで)』
「はうっ!!!
ほわWAWAWAWAwawawaっ!!?(びくびくびくんっ)
・・・・・・・・・ふう。」
「お、復活したようじゃな。」
「もう、ご主人様ったら、いくらミケが好きすぎるからって
こんなお外で、まっ昼間から・・・ミケはかまいませんわーーーーー!!!!
むしろ全然OK! でございます!!!!(はあはあ!はあはあはあはあ!!)
さあ!! さあああああ!!!! もっとおおおおおおおお!!!!!」
「(゜д゜ )ポカーン」
『あかん、この駄狸がまた暴走しよったか。
あーーー、サバミソ。
こんな事は日常茶飯事やから、あまり理解しようとせんでええで?
{ああ、またか}ぐらいの認識で丁度ええんや。』
「・・・・・・あ、はい、うおっ。」
「お前ら、一体何しに来たんじゃ。」




