260 冒険者Aさんと先輩との交流
あらすじ:現状、1対1では、マイクさん>ヤンキさんのようです。
視点:タンゴ支部のBランク冒険者 レイさん
『』:アルファさん
「(パチパチ)今のは良かったね、戦士タイプの君。
それに、今のは、盾の突撃が外れても
次の攻撃方法や行動を用意してた様に見えたんだけど
・・・違うかい?」
「えっ? あ、はい」
「えっ!? そうなのか?」
「ま、まあ、一応な?
避けられたら、そのまま盾を離して
左手で腕とか服とか掴むつもりだったし。
防がれて止められたら、間髪入れずに
【チャージ】で体ごと突っ込むつもりだったんだ」
へえ・・・やるなあ、この子、良い発想してるよ。
まだDランクって聞いてたけど、将来有望だね。
多分、現状でも、2年前の・・・。
Cランクに上がって苦戦してた時の、俺と姉貴よりも
もう実力的には上なんじゃないか?
何しろ、その2連続盾スキルとか姉貴の得意技だし。
回避されたら盾を離せるって所もポイント高いね。
中々熟練者でも・・・いや、熟練者なら尚更
手に持った武器や道具っていうのは手離せないからね。
俺でも躊躇するかもしれない・・・超レア装備だし。
「えっ!? マイクそんな事考えてたの?
でも、同じスキルって、2連続でそんなすぐ使えたっけ?」
「うん、やっぱりね。
・・・ああ、悪いね、訓練中にいきなり声かけちゃって。
俺の名前はレイって言って、君達の・・・うん。
【タンゴ支部】所属の先輩冒険者って所かな?
確か・・・ヤンキ君だったよね、君以外とは会うのは初めてだね。
ああ、ちなみに【シールドチャージ】と【チャージ】は
別のスキルだから、体力さえ問題なければ、続けて使えるね」
「ど、どうも、初めまして、【ファイター】のマイクです」
「どーも! 初めまして! {パーティの知恵袋}やってます
【ソーサラー】のケベックです!
あ、ちなみにマイクが、パーティのリーダーなんです!」
「ども、この間ぶりっス、レイさん。
この間は処理引き受けてくれて、助かったっス(ぺこり)」
「ああ、気にしないでくれ。
アレも俺達の役目の一環だしね・・・。
本当は、もっと支部内で新人の子達の指導とかしたいんだけど
他のBランクの先輩方は、支部の事なんか知った事じゃないし
後輩の指導もしてくれないし、クエストも選り好みし放題だから
結局、俺と姉貴に面倒な依頼が全部回ってきちゃっててね。
現状では、中々時間が取れないのさ」
本当、タンゴ支部の冒険者って、ランクやレベル詐欺の多い事。
でもまあ、指導してくれる人が居ないから仕方ないんだけどね。
・・・ただ、ある程度のモンスターまでなら
攻撃スキルぶっ放しだけでもどうにかできてしまう。
・・・というのも、問題の1つでは有るんだよね。
あと、港や【ドラント王国】への街道がある事も問題の1つか。
そのせいで、ランク上がったら、変に自信つけてしまって
そのまま他国に、都会へ行っちゃうんだよな・・・。
俺や姉貴は、この町生まれこの町育ちだから
他国へ行く気も、王都へ拠点を移すつもりも無いけどね。
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「えっ!? レイさんとエクスさんって
1年ぐらい前までアルファさんとミケニャンさんと
パーティ組んでたんですか!?」
「ああ、常にって訳では無いけど、そうなんだよ。
今はパーティは解散してしまったから
また前みたいに姉貴とコンビでやってる訳だけどね」
「・・・何で解散しちゃったんですか?」
「理由かい? そうだな・・・。
丁度、俺も姉貴もBランクに上がれる余裕ができて
アーさん達も他にやる事があるって言ってたからだな。
俺達はそもそも、この地元でもある【タンゴの町】を
もっと良くしたいって目標で冒険者になったからね」
「町をもっと良くしたい・・・ですか?」
「それって、別に冒険者になる必要って有るんスか?」
「ああ、有るんだよ。
君達は結構受けてくれてるって聞いてるけど
町から出ている依頼をメインで受けてくれる冒険者って
ほとんど居ないのさ、町の支部なのにね・・・」
「あー・・・それは確かにそうかも。
僕らもアルファさんの影響で受ける様になりましたけど
報酬だけで見ると、町以外の方が高額ですしねー」
「おまけに、町の依頼って素材の採取が大半だから
他の冒険者には人気無いもんね・・・」
「ここの支部の連中って、基本的な戦闘方法が
攻撃系スキルでのゴリ押しだしなー。
そりゃ討伐系に偏るのも仕方ないっスよ、レイさん」
うん、やっぱりこの子達は良いね。
それだけ、ここの支部の現状を把握できてて
その上で、可能な範囲で協力もしてくれてる。
リマさんやエコーさんが推すのもわかるよ。
「俺達はそれを、仕方ないで済ませたくなかったのさ。
だからこそ、支部のトップランカーを目指す必要があるんだ。
アーさん達のスタイルは・・・君達も知ってるだろ?」
「美味い食材が優先ですね、わかります!」
「・・・キャンプ?」
「あれ? あの・・・レイさん?
僕達がアルファさんと面識あるって言ってましたっけ?」
「いや、君達から直接は聞いてないけど
支部の方からは色々と聞いてるからね。
アーさん達が面倒見てる期待の3人って・・・。
あっ、4人になったんだよね? 確か」
「ぱ、パーティの人数まで把握してたんですか。
それにしても、うーん・・・期待されてたとは」
「ま、そんな訳でね。
アーさん達とのパーティを解散した後
アーさんに、1年か2年ぐらい
王都での依頼をメインに動く事を勧められてね
それで、この町を離れてたんだよ」
「え? なぜです? こっちで活動した方が良いんじゃ?」
「それじゃ、本末転倒な気が・・・あ、でもそっか。
王都で活躍した方が、実績って言うか箔は付くかな?」
「・・・・・・!」
「あー、それは有るかもな、リーダー。
地元でそれなりに有名ってだけよりは、王都でも認められた
実力と実績ってわかりやすいもんが有れば
こっちでも色んな奴らに言う事聞かせやすいもんな」
「なるほどね、箔付けかあ・・・確かに町の為って事なら
長い目で見たら、有った方が良さそうだもんね。
・・・あれ? レイさん、今こっちに居るって事は
王都での活動は一旦終了なんですか?
もしくは別の用件で?
・・・あっ、これ聞いちゃまずかったですか?」
「あれ? どうかしたんっスか? レイさん」
「え? ああ、いや、ちょっと感心してたんだ。
よくそこまで読めたね、たいしたもんだよ。
・・・えっと、何だっけ? 用件だっけ?
それは、さっき君が言った両方さ。
王都のギルドでちょっときな臭い話を聞いてね。
それで、あちらでの仕事も一段落したし
休暇も兼ねてこっちに戻ってきたって所さ」
「なるほどー」
「・・・あっ、ところで、君達は昼食はまだかな?
せっかくの訓練中に手を止めさせて
雑談にまで付き合わせちゃったしね。
だからお詫びといっては何だけど
君達さえ良ければ、一緒に昼食でも行ってから
昼食後に俺と模擬戦なんてどうかなって思ってね?
もちろん訓練場と昼食の代金は俺持ちって事で」
「「「・・・・・・」」」
「「「ぜひ、お願いします!!」」」




