253 冒険者Aさんと不人気なクラス ④
あらすじ:腹いっぱい飯を食おう、な!
視点:ギルド関係に詳しくて解説者に最適 リマさん
『』:アルファさん
「ええと、すみません、アルファさん。
広範囲のスキルを、さらに範囲拡大と言うのは可能なのですか?
・・・ひょっとして、範囲の徒歩30分と言うのは・・・」
『可能かって聞かれたら、可能やでー、リッちゃん。
まー、追加で拡大する方法は幾らかあるんやけど
俺がよー併用するのは【コンセントレーション】かけてからの
【エクステンション】で拡大やな』
「・・・う・・・か、可能なのね」
・・・つまり、あのスキルを使用してから
あっちを使用して・・・ああ、なるほど。
そう考えれば、確かに・・・?
た、確かに重ねられるなら理論上はいけるけど・・・。
でも、そんな使い道って大丈夫なの?
・・・あー、うん・・・大丈夫・・・なんでしょうね。
実際アルファさん使ってるんだし。
「【コンセントレーション】って、何のスキルですか?」
「それはですね、モッブコットンさん。
精神を集中する事で、次に使用するスキルの効果を
最大で2倍にすると言う【コモンスキル】ですね。
効果は高いですけど、使用前に数秒溜めが必要なのと
継続して長時間使用する場合は、ずっと集中が必要なんですよ」
「え? ずっと?」
「ええ、集中を解除した時点から効果が減っていくんです。
それでも解除後直ぐにスキルを使用すれば
効果も幾らかは残ってますのから
攻撃系のクラスでも、使用する方は居ますね」
「なるほど、よくわかりましたリマさん!
コモンだったら私でも覚えられるし、覚えてみようかな?
威力が1.1倍に上がっただけでも、結構違いますしね」
「ま、まあ、慣れれば使い勝手は良いスキルですよ。
私も現役だった時は、大技の前なんかに使用しましたし。
ちょっと慣れが必要ですけど・・・」
「モブコに集中とかちょっと無理じゃないかな・・・」
「ええっ!? 何でよ!? ライス!」
(ギャアギャアギャア)
「え、えっと、【エクステンション】って
どんなスキルなんですか? うおっ」
「それはですね、サバミソ君。
同じスキルを2回分同時に使用する事で
何れかの効果を1回分より強化できるスキル
・・・で合ってますよね? リマさん」
「え? ええ、確かそうだったと思います。
2倍の体力消費で、威力や距離、効果時間を
1.5倍にできる【レンジャー】の専用スキル
・・・で合ってますよね? アルファさん」
「何でたらい回しなんです? お2人ともー」
『わははは、いや、しゃーないってミケ。
自分が使う分やったら細かく覚えるやろけど
むしろ、そんだけ覚えとったら上等やんか。
ユキもリッちゃんも、それで合ってるで~。
特にリッちゃん、よくそんな細かいとこまで
覚えとるもんやな~。
さすがは、俺のリッちゃんやわ!』
「(じとー)はいはい、それはありがとうございます。
まあ単純に、一覧眺めてる時に
2倍も使って、1.5倍しか増えないのは微妙って
覚えてただけなんですけどね・・・」
「なるほど! 2倍で1.5倍なんですね!
・・・あれっ???? うおっ」
さすがですね、リマさん。
例えギルド職員だったとしても
そこまで細かい倍率まで覚えてる方は
中々居らっしゃらないと思いますよ?
・・・2回分で1分野のみ1.5倍。
まあ、サバミソ君が困惑するのもわかります。
数字だけ見ると確かに微妙ですよね。
ですが、それも使い方次第。
私は、そここそがお師様の凄い所だと思ってます。
「か・・・あっ、あう・・・。
え、えっと、わたしも、リマさんすごいと思います!
わ、わたし頭悪いからそんなに覚えれられないですし」
「(にこっ)ありがとう、サクちゃん。
そう言ってもらえると嬉しいですよ(なでなで)」
『(にこにこ)うーん、この差やもんな~。
ちなみに、このスキルってな
ちょっとした裏技が有るんやわ』
「裏技・・・ですか? お師様」
「もしかして3回分使ったら、倍率が2倍増やせるとか!?
あ、あははは、そんなわけ無いですよね!(ぽりぽり)」
『正解や! やるやんかモブ子ちゃん!』
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
「ええええええええええっ!?」
「何で、言い当てたモブ子ちゃんが一番驚いてるんです?」
・・・・・・ああ、なるほど。
お師様が何故この地で、不人気とまで言われる
【レンジャー】になられたのか?
実は私も少し疑問だったのですけど・・・。
つまり、お師様の【付与術】での得意分野。
{スキルの重ねがけ}がそのまま応用できるのですね。
それならば、実に納得できる理由です。
「えっと、それはつまり・・・。
あの・・・アルファさん? もしかしたらですが
3回分体力を使用して、2分野を1.5倍にしたりも・・・」
『(にかっ)できるんやな、これが。
やっぱ、俺のリッちゃんは理解早いな~。
うんうん、さすがやわ~!(なでなで)』
「(びくっ)ひゃっ!? ちょ、ちょっとアルファさん!
いきなり頭撫でないで下さいよ!
それってセクハラですよ、セクハラ!!
まったく! もう!(ぺしぺしぺしぺし)」
「う~~~ん、あっ! そっか!
アルさんが言ってた【エクステンション】の重ねがけって
その事だったんですね? うおっ」
「おっ? その通りですわ、サバミソ。
良いですよ! 良いですわよ~~!
あなたは、このミケお姉様が撫でてさしあげましょう!
さっ、頭をお下げなさいな?(なでなでなで)」
「えへへへへ、うおっ」
「お師様、強化した2分野と言うのは
{距離}と{速度}ですか?」
『せやでー、よーわかったな~?
やっぱユキも優秀やな! うんうん!(なでなで)』
「(でれー)うふふふ、ありがとうございます!」
「えっと、ちょっと聞きたいんだども、アルさん。
その強化できるスキルはわかっただ。
でもさっき、他にもスキルを使ってたって聞いたんだな。
名前まではちょっと覚えられなかっただども。
スキルって体力を使うなら、そんなに使って大丈夫だか?」
『あー・・・それなー』
「あー、気付いちゃいましたか、その事に」
「それは私も気になる所ですね、アルファさん。
・・・ご無理なさって無いですよね?」
「と、ととさま?」
「えっ、オ、オヤビン?」
『わははは! 心配ありがとーな~!
でもな、そここそが、この不人気クラスの特徴やねん。
実は長所でもあり短所でもあるんやな、これが!』
「先生~、アタシが言うのもなんですけど
もったいぶらないで早く教えてくださいよー。
・・・今日もこれから作業あるんですよね?」
『お、おう・・・せやな』




