247 冒険者Aさんと本命の夜番
あらすじ:早寝早起きは三文芝居の徳さん。
視点:起きてきたアルファさんの従者 ミケニャンさん
『』:アルファさん
「(ひょいっ)徳さんって誰です!? ご主人様!!」
『は? いきなり起きざまに何の事や? んなもん知らんわ』
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(ズズズズ~~、ゴクゴクゴク)
「ふう・・・おいしいお茶ですわ~」
『自分の主人に1人で夜番させた上に、お茶まで要求するとか
なんちゅ~主人使いの荒い従者や~!(げらげらげら)』
「・・・そこ笑う所なんです?」
「むっふっふ~んだ! ミケはちゃ~んと寝る前に
ひと仕事しましたんで、ご主人様に甘えても良いんです~。
あ、ご主人様、おかわりお願いしますわ!」
『はいはい、ちょっとお待ちくださいよ~従者様~
今、あっつあつの淹れたるからな~?(ゴポゴポゴポ)』
「え? あの? ご、ご主人様? さすがのミケでも
煮え立ぎったのはその・・・あのっ!? ご主人様っ!?」
『(ずいっ)ほ~~~れ、ミケ!!
(ずずいっ)ご主人様が淹れたったお茶のおかわりや!
(ずずずいっ)遠慮せずに! 好きなだけ!!!
(ずずずずいっ)飲めやごらぁ~~~~!!!!』
「(ぐいぐい)熱っ!? ちょっ!? ごごご主人様っ!?
ぎゃ~~~~!? 虐待ですわ~!?
従者の虐待反対~~!! 反対ですわ~~!!!」
「(おろおろ)えっ? あの、アルファさん?」
『(げらげら)わははは、冗談やって、ミケ。
(カロロン)ほれ、氷入れたったからな~。
ゆっくり冷めてから飲んだらええわ』
「・・・も、も~~ご主人様ったら~(うふふ~)」
冗談・・・冗談に聞こえませんでしたけどね?
今一瞬目がマジでしたし。
それに、今までに何回か、お仕置きと称して
本当にやられた事、あった気がするんですけど~?
あった事が気がするんですけどねー! ご主人様~?
・・・・・・う~~ん、さっきと違う風味ですわね?
あっ、薬草入りの氷なんですわね、コレ。
薬草の風味と苦味がお茶と良い感じに合ってますわね。
さすがは、ご主人様ですわ~!
それにしても・・・ご主人様ったら~、ぬっふっふ!
ミケの疲労を考えて、最初っから用意されてたんですわね?
もう~~~!! 本当はミケを労わりたいくせに~!?
いっぱいいっぱいミケを可愛がりたいくせに~~~!!!
んも~~~~!!! 素直じゃありませんわね~!!!
「あの、アルファさん?
ミケニャンさんが、クネクネしだしたんですけど・・・」
『わはは! いつもの事やって、リッちゃん』
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「なるほど。
つまり、このお堂? ですか? ここを中心として
さらに等距離の四方に、小さいお堂を設置する事で
神殿と同じ様な小規模の【結界】を形成してる・・・と。
・・・・・・正直、凄いですね」
「そうでしょうそうでしょう!!(どやぁっ!)
ちなみに、この大き目なお堂にも、小さなお堂にも
ミケの毛を埋め込んだ木彫りの像を
設置してあるんですのよ~~~! お~っほっほっほ!」
「・・・・・・えっ? ミケニャンさんの・・・毛?
あの、アルファさん、それってどのぐらいの効果が?」
『わははは! まー、リッちゃんが訝しむんもわかるけど
効果がちゃ~んと出とったら、町よりも安全かもな~』
「えっ!? 町よりも・・・ですか?」
「ぬっふっふ~~、そうですわよ! メガネさん。
こう見えましても、ミケがちょっと本気を出せば
{Cランク推奨}程度のモンスターだったら
恐れをなして近付きもしませんのよ~~?(どやぁ)」
「えええっ!!?」
そ、そこまで驚かれると、ちょっとアレですわね。
どーにも、ミケを過小評価してる人、多過ぎなんじゃ?
・・・・・・まー、実際の所、本当に本気出したら
Cランク云々の話どころじゃ無いんでしょうけどね。
『んでなー、リッちゃん。
ミケがゆーとった、寝る前のひと仕事ってのはなー。
小さいお堂の様子を見てきてもらったんやわ』
「えっ? わざわざ夜にですか?」
「むっふっふ! ミケは夜目が利きますからね~!
真っ暗でもバッチリ見えますのよ?
後は匂いやら気配やらの確認ですわね。
獣もモンスターも、夜行性が多いですから」
「・・・ああ、なるほど、お堂や周囲の荒れ具合を見れば
種類や強さや規模も、ある程度予想できそうですね。
それに、昨晩あれだけ人が騒いでいた上に
火を焚いて、晩御飯の良い匂いや煙まで加わったら
まだ様子見をしていた周辺の獣やモンスターも
大きく動く可能性が出るかもしれませんし?」
「・・・・・・」
やっぱり、このメガネさん、やりますわね。
昨晩、サクさんにあれだけオロオロさせられ
ミケを大爆笑させてくれただけじゃなく。
今朝は今朝で、少女みたいな葛藤しまくって
ミケを爆笑で悶死させそうにしてくれたおかげで
ミケの出るタイミングを見失わせてくれるという
ミケ殺しなだけのメガネさんかと思わせておいて
たったあれだけの説明で、そこまで気付きますか~。
『わははは、そうゆー事やな。
さすがは俺のリッちゃんやわ~!』
「はいはい、お褒め頂いてありがとうございます。
まあ、いつもの冗談はともかく
それでしたら、複数人で夜番すれば良かったのでは?
説明して頂ければ、私も協力しますよ?
れっきとした調査の一環な訳ですし」
「それはですね、リマさん。
お師様が【広範囲サーチ】を使ってらっしゃるので
複数人居ても無駄なのだそうです。
はは、私も昨晩、お師様に同じ事を言われましたよ」
「(びくっ!)うわっ!?」
「(びくっ!)えっ!? あ、ノブユキさん?
えっと、あっ、おはようございます」
「(にこにこ)はい、おはようございます。
お師様もミケお姉様もおはようございます。
(ズズッ、コクン)・・・美味しいお茶ですね。
お師様、ありがとうございます」
・・・・・・ユキさん、いつの間に・・・。
さては、ご主人様の気配を感知してっ!!?
さすがはご主人様マニアですわね、侮れませんわ!!
今のはミケですら、ちょっと気付きませんでしたわよ。
・・・それにしても舞とかの訓練受けた人って
特殊な歩行するんで、音とか動作とか
すっごいわかりにくいんですよねー。
何で上体とか動かさずに、足先だけの移動で
あんなに一定の速度で動けるんですかーーー!?
ミケには真似できないししたくもない世界ですわ~~~。
『わははは、おはようさんや、ユキ。
・・・まー、そうゆー訳やリッちゃん。
ユキが先にゆーてもーたけど、俺がスキル使っとるから
感知だけやったら1人で十分なんや。
よっぽどの事が起きそうやったら
その時はさすがにみんなを起こすけどな~』
「な、なるほど・・・?
ええと【広範囲サーチ】と言うと・・・。
確か【レンジャー】専用のスキルでしたか?」
「ですねー、これまた、さすがによくご存知で。
範囲内の生物の、位置と動きを把握できるスキルですわね」
「範囲内・・・ちなみに広範囲と言うのは?
どのぐらいまでを把握できるんですか?」
『どうやったかな? 正確な最大距離はよーわからんけど
感覚でゆーと、こっから歩いて30分ぐらいまで?』
「さっ!? 30分っ!!?」




