表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
240/401

240 冒険者Aさんと新拠点への思惑

あらすじ:収穫した秋の味覚、実食中!!


視点:猟師で薬師で町のご意見番 トロットさん

『』:アルファさん


「・・・あやつら、収穫したての極厚でプリップリのキノコを

 炭火でジュ~ッと焼いて食ってるんじゃろうな・・・。

 モクモクと煙に包まれながら、熱いのをハフハフと頬張って

 ・・・・・・良いのう! 羨ましいのう!!!」


「・・・アンタ、まだ言ってんのかい?

 いい加減におしよ!(ばしんっ!)」


「ぐはっ!?」


「お、おいおい、タロ姉。

 タロ姉の馬鹿力で叩いたら、ブラボーが壊れちまうぜ」


「誰が馬鹿力だい!(ばしんっ)」


「ぐあああっ!?」



 っつ~~~~、いって~~~~~!?


 相変わらず、何て馬鹿力してんだ、もう70だろ!?


 我が従姉ながら、いい加減、衰えってもんを・・・。



「・・・いや、昔よりはさすがにマシじゃな」


「・・・・・・確かに」


「(じろっ)あん? 何の話だい?」


「い、いや、何でもない、何でもないぜ!

 なあ、ブラボー(ちらっ)」


「お、おう何でもないぜ、タロさん(こくこく)」



 相変わらずブラボーのやつは、家でも{タロさん}呼びなのか。


 まあ、ワシも昔っからの{タロ姉}呼びじゃしな。


 さすがに、今更{タロット従姉ねえさん}とか呼べんわい。


 どっちにしろ、2人共、頭が上がらんのは変わらんしのう。



「それにしたって、今、あの子達が行ってるのは

 新拠点の予定地なんだろ?

 何だってそんな所にキノコやら梨やら植えてるんだい?」


「まあ、キノコとか云々は、完全にアルファのやつの趣味じゃ。

 あそこは、結構【マナ】が溜まり易いらしくてな。

 植えるのは、別に何だって良かったんじゃよ」


「じゃが、食い物を選択したのは悪くないと思うぞ?

 食い物なら、それがどのぐらいの速度でどれだけ育つのか。

 そして、それを狙って近寄ってくる獣じゃったり

 モンスターの種類なんかもある程度わかるしのう。

 ・・・まあ、さすがに切り開いた丸太も使って

 わざわざキノコ用の原木を作るとは、ワシでも思わんかったが」


「確かあやつ、あそこに生えてない種類の木も

 丸太にして何本か持ち込んどったよな。

 俺も、最初は何か別の目的に使うもんだと思っとったわい」


「ぷっ!? あはははは!

 アルファさんったら、わざわざそんな事してたのかい?

 キノコ育てる為に? 本当、面白い事考える子だねぇ!」



 最初は小屋の材料にするのかと思っとったわい。


 確かに、キノコは相性やら何やらがあるし。


 どの木を原木に使うかで、出来もまるで違うしのう・・・。


 あやつ、変な専門知識と食への拘りは、本当異常じゃよな。



「ところで、トロット。

 キノコって、そんなに早く育つもんじゃったか?

 アルファが、前に準備しに行ったのって半年前じゃぞ?」


「いや、育たんぞ・・・と言うか

 普通は原木として使う場合は、乾燥とか必要じゃから

 切った後で1月以上放置せんと使えん。

 しかも、種菌を植えつけてからも1年以上はかかるわい。

 まあ、おがくずとか木材の破片で作った菌床じゃったら

 半年で作れん事も無いぞ? ワシはやらんが

 実際、市場で売ってるキノコの大半がそれじゃしな」


「そうそう、原木使って栽培するのは、結構大変なのよね。

 お日様を当てないで雨だけ当たるって環境作るの大変だし

 何より時間がかかるのはねぇ・・・」


「あれ? タロさん作った事あるのか?」


「(にかっ!)そりゃ、有るわよ。

 私は開拓村育ちで力もあったから、木こり仕事やってたしね!

 キノコは貴重な食料だったから、原木も菌床も両方やったさ。

 ・・・まあ、そんな事を続けてたら

 いつの間にか、獣とかモンスターを倒す方ばっかりに

 なっちゃってたんだよねぇ・・・あっはっは!」



 あの頃は、子供でも何かしらの作業に追われとったし


 タロ姉さんは、既に貴重な戦力に数えられとったんじゃよな。


 そして、倒した後の必要の無い素材とかは


 タロ姉さんが王都の【冒険者ギルド】に荷馬車で運んで


 まとめて買い取ってもらってたんじゃが


 戻ってきたら、いきなり冒険者になっておったからのう。


 あの時は、大人連中も皆ビックリしとったが


 ビックリしたのも一瞬だったのう。


 皆、{そうなる気はしてた}って、妙に納得しとったし。



「・・・まあ、タロ姉の武勇伝は、一旦置いといてじゃな。

 多分、それがアルファのやつの調べたかった事なんじゃろ?

 ほれ、お前の言っておった【マナ】の影響がどうのってやつ」


「やはり、それかのう?

 確かに【マナ】が多い程、植物も野生の獣もモンスターも

 育つのが早いと言うのは、調査結果として出とる。

 しかも、普通より大きかったり強かったりするしのう」


「ま、キノコも生物みたいなもんだしねぇ。

 大きく早く育つんならいい事なんじゃないかい?」


「ちなみに、聞いた話じゃと

 【マナ】を多く受けて育つと美味いらしいんじゃ!

 獣もモンスターも、キノコも、キノコもな!!」


「アンタ・・・」


「お前ぇ・・・」



 こいつも、ある意味変わらんやつじゃな。


 まあ、そんなやつだったからこそ


 タロ姉みたいな、熊・・・いや、狂戦士?(ぞくっ)


 ・・・うん、女傑、女傑って事にしとこう。


 そんなタロ姉と夫婦になったのかもしれねえな。


 でも、タロ姉が夫婦になったって聞いた時は


 村中の全員が、冒険者になったって聞いたより


 ビックリしたけどな・・・ついでに、相手の心配もした。



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




「うう~~~~む、やはり俺も着いて行けば良かったのう。

 そして、美味いキノコ食べるべきだったんじゃ・・・?」


「・・・はあっ、全く、アンタも変わらないねえ。

 アンタが行っても、戦力にすらならないんだし

 足手まといになるに決まってるじゃないか!

 それに、ちょっとぐらいリマちゃんに良い思いさせたげなよ。

 今回は特に、あの子にとってチャンスじゃないか」


「チャンス? チャンス・・・チャンスなあ・・・。

 本当にチャンスに発展するのかのう?

 なにしろ、あのリマじゃぞ?」


「・・・いやあ、タロ姉・・・、期待する気持ちはわかるんじゃが

 今までの事考えたら、また期待外れに終わるんじゃないかのう?

 少なくとも10年浮いた話が全く無かった子じゃぞ? 10年」


「はあ、この男共は・・・やれやれだね・・・。

 その10年色事に縁の無かった子が、今じゃ

 他の子も一緒とは言え、昼食や夕食に同席する様になったんだよ?

 他にも、ちょっと同僚にからかわれたぐらいで

 様子が変わったり、オロオロしたりさ?」


「・・・はっ? 何じゃそれ?」


「何で、お前が知らんのじゃ」

「何で、アンタが知らないのよ」


「えっ? いや、だって、俺はそんな様子、目撃しとらんぞ?」


「はあ・・・」


「はあ・・・、アンタって本当そういう所あるよねぇ。

 今回だって、調査の仕事に同行するだけだってのに

 鏡の前で・・・おっと!」


「えっ? 鏡の前で? な、何じゃ?」


「馬鹿ねえ、アンタ・・・私は寮母なのよ?

 さすがに個人のプライベートな事は

 アンタにだって、ペラペラしゃべる訳ないでしょ?」


「ぬわああああああ!!!? 気になるっ!!!」


「・・・諦めろ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ▽ 並行して連載中 ▽
↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ