235 冒険者Aさんとさあ到着だ!
あらすじ:完璧な狩りスタイルで出発しました。
視点:恐怖と期待でごっちゃな気持ち ライムグラスさん
『』:アルファさん
(ガササッ)
「(びくっ)ひっ!?」
・・・あ、ああ・・・な、なんだ、リスか。
は、はは・・・脅かさないでよ、キミ。
よ、よし、とりあえず教えてもらった、深呼吸ね、深呼吸。
すーーーはーーーすーーーはーーー・・・うん。
これで大丈夫、大丈夫・・・だよね?
(バッサバッサ、シャキーンシャキーン)
「わははは! 大丈夫か~? ライスちゃん~。
もうちょいで予定地に着くからな~?
別に今日はいっこも急いどらんし
ちょっとでもしんどくなったらゆーんやでー?」
「えっと、大丈夫? ライス。
辛くなったら、本当に言ってよ?」
「は、はは・・・うん、大丈夫、大丈夫・・・」
うう・・・情けないなあ。
モブコにも先生にも心配かけまくってるわよね。
でも、意外って言ったら良いのかな?
町中だと、あの時の事を思い出すだけで
震えが来たり、ちょっと足が竦んだりするのに
今は・・・こうやって森に来ただけじゃなく
奥に向かって歩いてる・・・歩けてる。
何で歩けてるんだろう? 近くの森だから?
いや、この辺にだって普通にモンスターは居る。
実際にさっき、獣道の方にちらっと見えたし。
・・・さっきのは【ジャイアントラット】。
アレぐらいならアタシ達でも倒せたのよね。
(バッサバッサ、バッサバッサ)
「それにしても、アレですね。
やっぱりさっきアルファさんが教えてくれた様に
獣道に潜んでるものなんですねー」
『せやろー? モブコ子ちゃん。
獣道ってなー、色んなもんが潜んどるんよ。
小型モンスターもおるし、蛇とかもおるし。
・・・な!? ミケ!』
「何故そこでミケに話を振るんです? ご主人様ー?
ミケはモンスターでも獣風情でもありませんわよ~?」
「まあまあ、ミケお姉様。
お師様は信頼してるミケお姉様だからこそ
確認されただけですよ。
・・・ですよね? お師様?(ちらっ)」
『(にやにや)え~? いや~~、元が獣で狸やし
獣道とか詳しいやろーなって思ってな~~~!』
「(ふしゃー)むきーーーー!!!
酷いですわ! ご主人様ーーーーー!!!!
(がぶーー!)ひぇいひぇいひひぇひひゃひゃひ!!!」
『(ぶんぶん)ええい! やめんか~!
(ぶんぶん)こんなとこでしがみついて噛むな~!!!』
・・・さっきからずっとこの調子で騒いでて
完全にピクニック気分だからかな?
これって、やっぱりアタシに気を使ってくれて
わざと騒がしくしてくれてるのかな?
「(がっしっ)あははは! そぉんなご主人様にはっ!
ミケの深ぁい愛と忠誠を思い知らせて差し上げますわ~!
(むっちゅう!)ちゅぅうううううう・・・っせい!!」
『吸うな!? ええい、いつもと違うパターンやと!?』
いや、よく酒場で騒いでる時と同じだよね、コレ。
あはは・・・・・・・・・あ、そっか。
先生達がわざとかどうかまではわからないけど
だからこそ、恐怖が勝って無いのかもね。
「・・・それにしても、獣道は中が死角になっていて
モンスターや獣が潜んでる可能性は聞いていましたけど。
さらに、それを狙うモンスターや害獣に害虫・・・。
が、害虫・・・虫・・・うう・・・(ぶるっ)」
『あー、リッちゃんは虫ダメな方か~。
まー、せやな~。
女の子の場合、虫ダメな子って多いからな~』
「女の子・・・」
「う~~、わかりますよ~、リマさん!
私も虫って苦手なんですよ!」
(ガッサガッサ、バッサバッサ)
「虫かぁ・・・モブコ昔から苦手だよね?
アタシもよく木にくっついてる昆虫程度なら平気だけど
さすがに、ダニとかノミとか毒蜘蛛とかは嫌だなぁ・・・」
「「ダニ、ノミ、クモ・・・ひいっ!?」」
(バッサバッサ、ガッサガッサ)
「ま、まあ害虫ってぐらいだし
好きな人って滅多に居ないと思うんだな」
『わっはっは、せやな~』
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
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▽
(ズバンズバン、バキャッボキキキッ)
「おっ! あ、アルさん、開けた所に出たんだな」
『よっしゃ! 今日の目的地に到着やな!!
先頭で切り開いても~て、ありがとな、ロバやん。
さすが山育ちだけあって、慣れとるな~』
「う、うん、おででも役に立てて嬉しいんだな」
ふう、ふう・・・出発してから2時間ぐらい経った?
多分、距離はそこまでじゃないと思うんだけど
鉈とか鎌で雑草を切り開きながらだったから
思ったより時間かかったし、結構・・・疲れた~~~。
うう・・・見た感じ、モブコはまだ元気そうだね。
ロバートさんはずっと先頭で大まかに切り進んで
先生達が大きく切り開いてって・・・。
それに、サクちゃんとサンちゃんも凄いわー。
・・・・・・はぁ。
やっぱり現役で続けてる人達と比べたら
こういう所ではっきりと差が見えるよね。
ちょっと、っていうかかなりショックかな。
・・・それにしても、リマさん。
本当は手伝わなくて良かったのに手伝ってくれて
しかも、アタシより全然元気っぽいんだけど?
えっ? ギルド職員ってみんなそうなの?
リマさんが元冒険者だから?
ひょっとして、普段から鍛えてるの?
「(バッ!)つ、ついに到着したんでヤンスね!?」
『おっ!? やる気満々やな~、サンちゃん!
せやで! ここが今日の目的地!
今日の{狩場}やっ!!(バーーーーーン!)』
「ここで{狩り}をするんでヤンスね! オヤビン!?
こ、ここで・・・ここで・・・・・・?????」
サンちゃんが愕然としてるのはともかく。
えっと・・・ここ・・・ここって何?
何か適度に木が間引かれて、アレって切った丸太?
白っぽい丸太があっちこっちに積み重なってて・・・。
あれ? 違う? 白っぽいんじゃなくて
黒くなった丸太を何かが覆ってて白く見えてるだけ?
・・・え!? アレってもしかして・・・。
『わはははは! 今日はここで!!』
「キノコ狩りですわ~~~~~~!!!!」
「「「「「はあっ!?」」」」」




