230 冒険者Aさんと調査同行の申請
あらすじ:馬車工房のおやっさんは酒場の娘達にモテモテだそうです。
視点:冒険者ギルド タンゴ支部 ギルドマスター ブラボーさん
『』:アルファさん
『まいどー』
「おう? アルファか、こんな時間に珍しい・・・んん?
おいおい、1人ってのはもっと珍しいな、どうしたんじゃ?」
『ん? 珍し・・・いかー?
わははは! ブラボーのじーさんが、こんな時間に
まともに仕事しとるよりは珍しくないやろ~』
「なんじゃと!?」
「「「いや、まったくその通りで」」」
「おい!? お前らっ!?」
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「はあ、やれやれ・・・話が長くなりそうじゃから
とりあえず、相談室に来てもらったが・・・。
で? どうしたんじゃ?」
『いや、単にな、近くの森の{調査クエスト}受けたやん?
あれ、明日行くつもりやから、その手続きと・・・』
「・・・手続きと?」
『【監査同行の申請】に来たんやわ~』
「なんじゃと?」
本当にこいつは・・・。
ギルドのマイナーな制度とか、その辺詳しすぎるじゃろ!?
この間はこの間で、【徒弟制度】とかマイナーな制度使いおって。
ここは、本部のある【ドラント王国】のでかい支部と違って
辺境の国のちっぽけな支部なんじゃぞ!?
あんなもん使われたら、書類やら何やら、後の処理が面倒な事ぐらい
お前じゃったらわかっとるはずじゃろが!
・・・ま、まあ、全部リマのやつがやってくれたんじゃがのう。
『そんでなー?
明日、調査ついでにちょっとした{狩り}もする予定やから
リッちゃんには{監査}として同行して貰いたいんやわ。
ほれ、ブラボーのじーさんもご存知の通り
調査の場合やったら、{狩り}は最低限しか認められてへんやろ?』
「まあ、そうじゃな、確かに。
・・・・・・それにしても{狩り}じゃと?
何か特別な理由でもあるのか?」
『特別って程やないけど、ほれ、俺んとこも新人が増えたし。
新しく弟子になった子も、引退状態やったからなー。
ちょっと下の狩場で馴染ませんとアカンやろ?』
「・・・まあ、筋は通っとるのう?」
『あー、せやせや!
その子、ライス・・・ライムグラスちゃんは
Eランクのはずやったし、サバミソ達と合わせて
また、【徒弟制度】使わせて貰うつもりやから』
「またか!?」
『わはは、手間取らせて悪いなー』
・・・ううむ、本当に、それだけじゃろうか?
何かこやつ、隠しとる様な気がするんじゃよな。
「ところで、何で{監査}にリマのやつを指名なんじゃ?」
『んー? 逆に聞くけどな、じーさん。
他に誰か行ける人が居んのか?』
「む? 行ける人じゃと?
そうじゃな、例えばマリさん・・・はダメなのか?」
『・・・じーさん。
Eランクでも行けるご近所の森の調査に
凄腕のサブギルドマスターを連れてくんか?
どんな化け物が潜んどんねん、その森』
「・・・・・・ダメじゃな、大事になるわい。
そう考えると、確かにリマが適任じゃな」
そりゃ、確かにダメじゃわい。
サブギルドマスターと言う肩書きも有るんじゃが。
マリさんは【行者組合】に所属しとる現役の{最上級行者}。
【冒険者ギルド】で言えば{Aランク相当}じゃからな。
しかも【絢爛舞踏の美戦姫】なんて二つ名持ちじゃ。
そんな人が{わざわざ調査に同行}とかになれば
まず間違いなく、うちに所属しとる冒険者だけじゃなく
町長や町民にも余計な心配かける事になるわい。
さすがに、それはまずすぎるじゃろ。
そうなると、うちの支部の職員には
俺を含めて実戦経験者が居らんからなあ・・・。
今までもそうだったんじゃが、うちに所属してる冒険者って
Cランクを越え出すと大半が【ドラント王国】に行っちまう。
まあ、こればっかりは仕方ない、あっちは都会じゃからな。
都会に憧れるのは田舎民の性ってもんじゃからのう。
で、引退するまで町に残った者も、居ったには居ったが
結局は王都の兵士に引き抜かれたり、貴族に雇われたりしとる。
・・・これも仕方ないと言えば、仕方ないじゃろうなあ。
この町のギルドで、職員や教官やるよりも
あっちの方なら肩書きも付くし、諸々含めて待遇ええじゃろし?
ま、一応この2年間で、あやつの影響受けて
この町の主力にまでなってくれてるやつも居るし。
あの3人組、いや4人組になったんじゃよな?
あの子らみたいに、期待できそうなのも育ってきとるし。
何年か後には何とかなりそうなんじゃが、現状じゃと・・・。
やっぱり、リマのやつに頼らんとダメなんじゃよなあ。
『っちゅー訳で、手続きよろしくー』
「ううむ、仕方ないのう」




