227 冒険者Aさんと頼みごと
あらすじ:デルタさんはお父さんにとっても悩みの種だったようです。
視点:Dランク冒険者 ソーサラーLv4 ケベックさん
『』:アルファさん
『ほーん? 別にええよー?
魔法も、ぼちぼちサバミソに教えんとアカンかったし』
「「やった!!」」
よし! ダメ元で聞いてみたら本当に1発OKだったよ!
そっか、そう言えばサバミソ君も【ソーサラー】だったよね。
だったら、今後はサバミソ君も巻き込んでしまえば
一緒に教えて貰える機会がもっと増やせるかも・・・!?
でも、うーん・・・そんな作為的な考え方って
本当はあまり良くないのかもしれない・・・けど。
普通じゃ、こんな機会って有りえないだろうし
ちょっと強引でも、増やしていかないと。
それで嫌われたとしても、僕だけで済むなら・・・。
「むっほっほっほ、良いんじゃないですか?
そういう考え方、ご主人様はお好きですよ~」
「っ!?」
『あ、でも明日は無理やで?
午前中はモブ子ちゃんとライスちゃんの引越しが有るし
明後日と明々後日に狩りに行く予定やしなー』
「ちなみに明日のお昼以降は狩りの為の準備ですわよ」
「えっ? 引越し!?」
「えっ? 狩り!?」
『んで、狩りの後処理で1日使うから
その次の・・・4日後も無理やなー。
せやから、それ以降になるけど、それでもええか?』
「「はい!!」」
「まあ、狩りの成果次第では
後処理が1日で終わらない可能性も有りますけどね~」
うん、ミケニャンさんの言う通り、後処理が伸びたとしても
遅くても1週間後なんだから、むしろ早い方だよね!
うわあ、待ち遠しいなあ。
それにしても・・・。
「あの! ところで、引越しって!」
「あの! ところで、狩りって?」
おっと、僕はモブコちゃんの{引越し}が気になったけど
マイクは{狩り}の方が気になったみたいだ。
いや、僕も気にはなるんだけどね?
『わははは、順番にゆーてくれるかー?
んじゃ、ケベックくんからなー』
「えっ? あ、はい。
えっと、モブコちゃんって、ついこの間【ビアー】に
拠点移したばっかりだと思うんですけど
引越しってまだ何かあったんですか? 忘れ物とか?」
『あー、ちゃうちゃう。
【ビアー】からこっちの宿屋に拠点移すんやわ~』
「「えっ!?」」
「簡単に説明しますと、今度、ライスちゃんが
ご主人様のお弟子さんに加わる事になりましてね」
「「えっ!?」」
『さすがに弟子ってなると、何かと同行する事が増えるからな~。
教えるにしても、やっぱ近くに住んで貰わんと不便やねん。
んで、宿代は2人共こっちで持つから
ライスちゃんと一緒に、モブ子ちゃんも移り住めへん~?
・・・って事になった訳や』
「「な、なるほど・・・?」」
何かサラッと話されたけど、色々と聞きたい点が多すぎて
どこから聞けばいいのかわからないんですけど!?
えっ!? 引越しって・・・。
モブコちゃん、【ビアー】からこっちの宿に移るの?
ついこの間だよね? 【ビアー】に移ったの。
ライスちゃんと一緒に安宿から脱出できた~! って
凄い喜んでたのを聞いばかりだったんだけど。
えっ、この宿・・・この宿に?
この【樫の木亭】って、一般の旅行者とか観光客向けの宿だよね?
確か、朝晩と2食付いてて、お値段もそれなりにしたはず。
わあ・・・【ビアー】のちょっと殺風景な部屋と違って
落ち着いた雰囲気の居心地良さそうな家具に調度品だなー。
しかも、ここのご主人って、『フソウ』で修行した
本格的な料理人の人なんだよね・・・?
実際、何度かご馳走になって、すっごい美味かったの覚えてる。
うわあ・・・場所はギルドから少し距離が離れてるけど
それを差し引いても、正直、すっごい羨ましい。
良いなあ~~~~~~!!?
「そうでしょうそうでしょう!
おまけに、最近ご主人様の手によって
最高のお風呂までできましたからね!
さらに快適になったのですわ~~~!」
「う、うぐぐぐ!?」
「えっ? 風呂? どうしたんだ? ケベック。
シャワー室なら【ビアー】にも有るじゃないか」
むわーー!? これだから戦士クラスは!!!?
そうじゃない、いやそうだけど、そうじゃないんだよ!!
いや、【ビアー】って、冒険者向けだから全体的に簡素っていうか
機能的になってるのはわかるんだよ、わかるんだけどね!?
何て言うんだろ、雰囲気って言うか、えっと風情? 風流?
そう! そういうのなんだよ!!
しかも、そのお風呂がどれだけ良かったかって
何回もモブコちゃんに聞いてるだけに、尚更良いなああああ!!?
そ、そうだっ! お金払ったら入浴だけとか無理かなっ!?
「ふふふふ、そうでしょうそうでしょう!
羨ましいでしょう! ケベック君。
だが・・・ダメッ・・・ダメなのですよ!
泊り客専用なので、入浴だけはやってないのです!!」
「あああああああああ!!!!」
「け、ケベック!?」
『ミケ~、何をケベックくんで遊んどるんやー?
あんまし苛めたるなよ~?』
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「(がっくり)それじゃ、僕達はそろそろ帰りますー」
「はいはい、夜道はお気をつけて~(にやにや)」
(ガチャッ、とぼとぼとぼ)
「おーい、ケベック! 前見て階段下りろよー!
・・・・・・あっ! そうだ、アルファさん。
ケベックが壊れて、聞きそびれた事が有るんですけど?」
『ん? 何か有ったっけ、マイクくん』
「えっと、{狩り}ってどこへ行く予定なんです?
それって、僕たちも同行させてもらう事は可能ですか?」
『えっ?』
「あっ、まずかったですか?
いえ、無理ならそれはそれで」
『あー・・・いや、参加は全然構わんのやけど・・・』
「?」
『{狩り}ってゆーても・・・
(ズルッ、ゴロゴロゴロ「ぎゃーーーー!!!」ドターーン)
・・・やで?』
「えっ? ・・・・・・って、大丈夫かケベックー!!」




