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辺境の冒険者Aさん  作者: ミの人
220/401

220 冒険者Aさんとどうする? ③

あらすじ:新弟子とその親友の引越しが(強制的に)確定しました。


視点:酒場&木賃宿 セイラーズバース 店主 シックスさん

『』:アルファさん


(ワイワイ、ガヤガヤガヤ、ワイワイ)


「(ごくごくごく、ドンッ)っか~~~~!

 仕事終わりのこの1杯は効くな~~~~!!!

 ふい~、次は何頼むか・・・ん~?(きょろきょろ)

 あれ? マスター、今晩はライスちゃんいねーの?」


「(キュッ、キュッ)あ? ああ、今日は休みだな。

 ちなみに、明日も休みになったとこだ」


「へ? 急にどうしたんだ?

 風邪でもひいたのか?」


「いや、あのなあ・・・。

 色々と面倒見てくれるって人が出たんだわ。

 上手くいけば冒険者に復帰できるかもしれないんだと」


「おっ!? そりゃめでてぇ!

 ・・・めでてぇんだよな?」


「おう、めでてぇぞ」



 めでてぇに決まってる。


 なんせ、小娘ライスのやつ。


 3ヶ月・・・、いやもう4ヶ月前か・・・。


 大怪我した直後は、怪我の回復と立ち直るのに


 1ヶ月近くかかりやがったんだよな。


 1人で冒険者続けてたモブコの方も、上手くいってなくて


 あいつら、泊まる金どころか飯まで節約しやがってたしよ。


 それでなくとも、ヒョロガキだったから見てらんなくて


 こっそりと何度かタダ飯食わせてやったんだよな。


 で、丁度給仕係が足らなかったから、あいつに声かけて


 ここで働いた金で、ようやく生活がマシになったんだよな。


 へっ、何だかすげぇ昔の出来事みてぇに感じるぜ。



(ワイワイ、ワイワイ)


「それにしても、冒険者に復帰ねぇ・・・。

 大丈夫なのか? ライスちゃん」


「友達のモッブコットンちゃんだっけ?

 あの子はまだ続けてるんだよな? 確か。

 あ、そっちの燻製肉くれよ、マスター」


「さあねえ? 俺にもわからねえよ。

 おう、肉は薄切りでいいのか? ちょっと待ってな」


「マスター、外っかわの部分多目に頼むな~」



 実際、大丈夫なのかって聞かれてもな。


 まあ、怪我した後は何度か夢でもうなされてたらしいが


 ここで働き出してからは、だんだん見なくなってきた


 ・・・って言ってたし、マシにはなったんだろ。


 それに預かってくれるって言ってきたのが


 あの・・アルファさんだしな。


 ま、何とかなる・・・いや、何とかするんじゃねえか?



(ガヤガヤ、ガヤガヤ)


「あ~疲れたー、おーい、給仕のねーちゃん。

 こっち注文たのまー、俺エールなー!」


「あ、俺も俺も! それと、つまみも適当に頼むわ」


「はーい! ちょっと待っててね~!

 店長~! エール2つお願いしまーす!」


「おう」


(カチャ、シューー、カチャ、シューーーーー)


「おーい、できたぞー、持ってってくれー」


「はーい! 今いきまーす!(ととととと)」


「おっ!? 何だそれ? サーバー?」


「マスター、そのサーバーって前から有ったか?」


「ああ、これか? これはな、貰ったのよ。

 俺以上にお節介焼きな、とある人からな~。

 良いだろ、これ? このボタン押すだけで

 毎回同じ量が出てきて、しかも良い感じに冷えてるんだぜ?

 こっちのは逆に温かい用だな」


「何それ、すげえ!?」


「すげえな! 俺の乗ってる船にも欲しいぜ!」


「貰ったって誰からなんだ? マスター!」


「がっはっはっは、そいつぁ内緒よ!」



 ・・・・・・にしても、このサーバーすげえ便利だな。


 エール自体が冷えてるから、氷で割らなくてもいいし


 それで、味が薄くなっただの何だの言われなくて済む。


 温かい方はもっと便利だ。


 何しろ、わざわざ小鍋で温めなくていいんだからな。


 アレすげえ手間なんだよな。


 温めすぎたら焦げるし、足りなかったら変にぬるくてまずい。


 ホットで飲みてえってやつに限って、文句も多いんだよなぁ。


 その点、こいつぁすげえ。


 全体的に適度な温度を保ってて、焦げねえし、風味も飛ばねえ。


 ・・・何よりも俺が楽だしな!


 そして、どっちにも言えるが、地味に有り難えのが量だよな。


 必ず設定した量が出てくるって、すげえ有り難え。


 何せ、うちみてえな安い酒場に飲みに来るやつらときたら


 うるせえと言うか、妙にみみっちいと言うか・・・。


 あっちの方が量が多いだの何だのと、一々文句を言いやがる。


 がっはっはっは、今後は全部同じ量で出せるからな


 もう文句は言わせねえってもんだ!



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽ ▽ ▽


▽ ▽ ▽




(カチャカチャ)


「店長~、厨房の片付け全部終わりましたよ~」


「店内の方も掃除終わりました~」


「おう! みんなご苦労さん。

 もう、あがってくれていいぜ!」


「はーい! じゃあ帰る準備してきまーす!」


(ワイワイ、ワイワイ)



 ライスのやつ、ここの人手が足りてねえ事を気にしてて


 ギリギリまで迷ってたみてえだが、余計なお世話だっつの。


 こっちが勝手に面倒見てやってただけだっつの。


 あいつは、しばらくは一番混む夕方だけ来るって言い張ってたがな。


 うちの酒場で働きてえって子も次々に来て、人手も足りてるしよ。


 お前ぇは、これからの自分の心配でもしてろってんだ。


 それにしても、うちみてえな酒場ってのは夕方以降がメインになるし


 客だって、漁師や船乗りに、稼げてねえ冒険者とか荒っぽいのが多い。


 そりゃ当然、イメージは良くねえし、若い子らだって敬遠しがちになるから


 前は給仕の募集とかは人伝に頼んで来てもらってたんだが・・・。


 まさか、屋台広場の掲示板に張り紙するだけで、ここまで集まるとはな。


 ついこの間、この方法を教えてもらって試したばかりだってのによ。


 しかも、頼まれてしぶしぶじゃなくて、どの子もやる気に溢れてやがる。


 ついでに、その副産物とでも言うのかねえ?


 段々と町からの客も来るようになってきたんだよなあ。


 若え恋人やら夫婦やら親子連れやら、明らかに違う客層のな。


 ・・・しっかし、結局、迷ってたあいつが決断できたのって。


 人手不足の解消と、このサーバーのおかげだよな?


 どっちも、アルファさんには口止めされてたけどよ。


 ・・・・・・あの人、どんだけ前もって根回ししまくってんだ?


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↓ こっちも開始しました・・・開始しちゃいました。
猟団の団長Bさん
こっちはチートや変態成分高めの傭兵稼業です。



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