210 冒険者Aさんと強化術と付与術 ②
あらすじ:マイクさん達の戦利品に、大当たりの品があったようです。
ヤンキさん発言でユキさん地味におこ。
視点:パーティのリーダーになって悩みが増えた マイクさん
『』:アルファさん
・・・・・・何やってるんだよヤンキ。
表情には出して無いけど、やっぱり怒ってるって。
お前、基本的に温厚っぽいユキさん怒らせるとか
本当に勘弁してくれ。
・・・それにしても、【リネン・グローブ+2】かー。
咄嗟に使うにはちょっと慣れが要りそうだけど
これは良い物を手に入れたよな。
「ところで、この{手袋}ってどこで手に入れたんです?
【付与術】ですから、誰かが作った物のハズですけど」
「え? あっ、これは先日行ったダンジョンで入手した
3つの宝箱の内の1つですよ。
他の2つは、ボロボロのマントっぽいのと
使うと砕け散るって、さっき説明してもらった剣ですね。
まあ、その2つはどっちもハズレでしたけど・・・」
『ほーん? マントもそーやけど
【マジックアイテム】も含めて全部装備品か。
・・・って事はアレか、コレって遺留品やな』
「でしょうね、ご主人様。
まー、ダンジョンのお宝の定番品ですわよね~」
「「「「「・・・(定番なんだ)」」」」」
ま、まあ確かに、冒険者がダンジョンで力尽きるのは
定番と言えば定番・・・定番なんだろうなー。
しかし、それにしたって、あのダンジョンって
推奨ランク自体はDランクだったはず。
【付与術】のかかった手袋にしても
【強化】されてる剣にしても、凄く高価な装備品なんじゃ?
お金持ちな貴族のボンボンが挑んで死んだのかな?
でも、この町の冒険者で、あのダンジョンに挑んで
死んだ話とか聞いたこと無いけど・・・?
「いえ、そうとは限りませんよ、マイク君」
「えっ!?」
「ダンジョンと言うのは、いわゆる{不思議空間}ですからね。
どこか別のダンジョンに繋がってる事もよく有るんですよ」
「うわ・・・、そんな事有るんですか?」
『まー、有るっちゃ有るなー。
特に、行き来が一方通行やったりするパターンが多くてな。
例えば、部屋の{テレポート罠}を踏んでもーて
別の高ランクダンジョンに飛ばされた挙句
帰れれへんよーになったとか、そんなんがたまに有るわー』
「ひえっ・・・」
「それは怖い・・・」
「俺も気をつけないといけねーな」
「いや本当、その辺は当てにしてるからな? ヤンキ」
普段、森とか屋外のクエスト受けてる時や
前にケベックと別のダンジョンに潜った時は
さほど気にならなかったけど。
やっぱり、本格的にダンジョン攻略に行く場合だと
【シーフ】とか罠に詳しい専門クラスの技術が必要だよね。
実際に潜った感想だけじゃなくて、話を聞けば聞くほど
その重要性に気付かされるよ・・・。
「・・・ところでおっちゃん。
さっきモブコも聞いてた事なんだけど
【付与術】と【強化】って言うのは何が違うの?」
『おっ? ライスちゃんもそこが気になったかー。
そんじゃ、理由説明の要る戦利品はこんなもんやし。
一旦置いといたそっちの話に戻ろーかー』
「あはは、ライスが言わなかったら私がまた聞いてたかも。
実は、さっきからずっと気になってたんですよ~」
「うんうん、好奇心旺盛と言うか知識に貪欲なのは良い事です。
・・・ちょっと、そちらの3人も見習うべきではー?」
「「「うっ、すいません」」」
いや、気にはなるんですけどね。
僕達もふわっと中途半端に理解してるから
余計に聞きにくいというかなんと言うか・・・。
ま、いいわけですよね、はい、すいません。
『わはははは、まーまー、ええやんか。
んで、【付与術】と【強化】・・・正確には【強化術】やな。
その違いってのは、ん~~~~~~~~。
ま、簡単にゆーと、{装備品}と{本体}が近いやろな』
「はあ・・・?
{装備品}と{本体}・・・ですか?」
『せやでー、【付与術】ってのはなー?
何らかの効果を、固定値として付与する訳や。
つまり極端な話、中身の{本体}は何でもええねん。
あくまでも{装備品}みたいに外側に装備させとるだけや。
例えば、武器の威力を上げるんやったら
{+100}みたいな固定値を付けるわけやな』
「ふむふむ」
『んで、それに対して、【強化術】ってのは
{本体}の性能を乗算で上昇させる方法でな。
例えば{本体}の威力を{+10%}上昇、みたいな感じやな』
「はーーーー」
「へーーーー」
「ほーーーー」
「「ふむふむ」」
『ちなみに、【強化術】は神様の力を借りるから
大抵は何らかのおまけがついとるなー。
火の神様やったら、火が出るとか。
山の神様やったら、山でさらに効力が倍とか』
「・・・【付与術】と言うのは【マナ】を直接操作する技術ですし
そう言う意味では、【コモンスキル】と【クラススキル】の
関係にも似てますよね、お師様」
『せやなー。
実際んとこ、ユキが思った通りで
歴史自体は【付与術】の方が古いらしいわー。
そーゆーとったし』
「「「「「・・・(誰が!?)」」」」」




