207 冒険者Aさんと冒険者の鑑定事情
あらすじ:ユミネさんは神様に対する責任で悩み
ジンさんはそんな事知ったこっちゃねえだそうです。
視点:パーティの知恵袋(笑) ケベックさん
『』:アルファさん
『(じーーー)・・・ほーん? ふーむ、ほうほう』
「「「・・・・・・」」」
「(ひそひそ)なあなあ、モブコ」
「(ひそひそ)何、どうかしたの? ライス」
「(ひそひそ)あのおっちゃんって、【鑑定】スキル使えるんだ?
アレって専用のスキルとか道具か必要なんじゃないの?
この町だと、確か【ビアー】にしか【鑑定】スキル持ちって
居ないって聞いてたんだけど・・・」
「(ひそひそ)それがね、アルファさんのアレって
【鑑定】スキルじゃなくて、素の目利きらしいよ?
商人としての知識と経験で見分けてるんだって」
「(ひそひそ)へっ? アレってただの目利きなの?
それは・・・すごいね」
「(ひそひそ)そう・・・すごいよね・・・」
「(ひそひそ)ぬっふっふ、そうです。
ご主人様は凄いのですわよ~。
お2人供、ご主人様の凄さを実感されたご様子ですわね。
もっともっと尊敬してもよろしいのですわよ?」
「(ひそひそ)え? あ、はい?」
「(ひそひそ)あはは、私はもうすごく尊敬してますよ?
何しろ、恩人でもありますしね」
何か隅っこの方で女性陣が固まってひそひそ話してる。
個人的にはあっちに混ざりたい・・・けど
今日は、アルファさんが鑑定してくれるって事になって
この間のダンジョンで入手したアイテムとか
今までに入手して未鑑定のまま保管してたアイテムとか
まとめてお願いする事になったんだよね。
しかも、何と無料で! 無料!! ここ大事。
「(ひそひそ)それにしても無料でとかすごいね」
「(ひそひそ)でしょ?
ここのギルドだと鑑定できる専門家は居ないし。
【ビアー】で頼むと結構高いもんね・・・」
「(ひそひそ)一応、あのアホのじーさんが・・・おっと。
もとい、アホのギルド長が使えるはずなんですけどね。
重要書類とか、封印指定とかの判断の為にも
使えないといけないそうですから」
ダンジョンの宝箱から入手したアイテムとか
一部のモンスターからドロップした素材なんかもそうだけど
属性が特殊な物だったり、魔法がかかっている物もある。
だから、入手しても、どんな効果があるのかとか
鑑定してもらわないとわからないんだけど
この町で鑑定してもらう方法は2通りだけだ。
1つは、【冒険者ギルド】に預けて鑑定してもらう方法。
こっちは手数料がちょっとかかるけど、それ以上に時間がかかる。
受付の際にも、最低でも2週間はかかるって言われるしね。
なぜかって言うと、ギルド職員の中でギルドマスターしか
【鑑定】スキルを使えないらしく、順番待ちになるから。
普段ギルドマスターとして、外出する事も多いみたいだし
確かに、順番待ちは仕方ない・・・のかな?
もう1つは、【ビアー】の中にある道具屋で鑑定してもらう方法。
こっちは常に1人、2人ぐらいの鑑定できる人が常駐してるから
持ち込めばすぐに鑑定してもらえる・・・けど
あそこは鑑定料がちょっと僕らには高すぎるんだよね。
だって、1つ鑑定してもらうのに、大銅貨5枚もかかるんだよ?
大銅貨5枚って言ったら【ビアー】の2人部屋で三食付きの1泊料金。
ちなみに僕とマイクも、今は拠点を移して2人部屋を借りてる。
この間、モブコちゃんとライスちゃんが拠点を移した時に
僕達も拠点を移したんだよね。
元々ヤンキが1人部屋借りてたから、丁度良いやって事で。
ま、僕らは食事無しの素泊まりで、料金は大銅貨3枚。
・・・実は、最初の1日だけ食事付きにしてみたんだけど
毎食、小銅貨4・50枚相当のちょっとお高いご飯が出てきたから
慌てて翌日からは食事無しにしてもらったんだよね・・・。
そりゃまあ、総計で言ったら割安なんだろうけど
市場で買い食いしたり、港の酒場とか屋台広場行ったら
小銅貨20枚ぐらいあれば、たっぷり食べれるしね。
僕らまだ、そんな贅沢できるほど稼げてるわけじゃないし
何よりお高そうな料理に気圧されちゃって・・・。
・・・あ、そう言えば【冒険者ギルド】で鑑定頼む場合は
ランクで値段が変わるんだよね。
Dランクまでは大銅貨1枚で、Cランクからは大銅貨2枚。
【ビアー】よりは安い、でも、Dランク以下の冒険者にとって
大銅貨1枚って結構な大金なんだよね・・・。
『それにしても、結構溜め込んどったんやな~?
宝箱から出たって分と合わせても
パッと見、 全部で・・・30以上有りそうやな~』
「あ、あははは、どうもすみません。
その内、予算に余裕できたら~と思って
しまい込んでたら結構な数になっちゃいまして・・・」
「ギルドだと、納品分と規定の素材とか以外は
鑑定書無しの未鑑定品だと、売却しても
全部一律で1つ小銅貨20枚だもんな・・・」
「薬草1束を納品するより安いとか・・・ねえ?」
「(にゅっ)いやー! そりゃ仕方ありませんわよ~?
何に使えるのか、何の効果が有るのか?
それが分からないと、商店にも卸せないですからね。
もしかしたら、未知の毒や呪いがかかってるかもしれませんし
そんな危険物だったら、ギルドでも処分に困りますから。
むしろ、用途不明なゴミ同然の物なのに
買い取ってくれるだけマシ、ってものだと思いますわよ?」
うーん、確かにミケニャンさんの言う通りかなー。
逆の立場だったら、そんなの買い取っても邪魔なだけだし。
ギルドも、明らかなゴミ同然はさすがに売却できないけど
処分品として、一応引き取ってはくれるからね。
それだけでも、ありがたいと思うべきかな?
『せやなー、特に召喚系とか転送系で
発動条件のわからん【マジックアイテム】とか
未鑑定やと絶対に手元に置きたくない所やな。
何の拍子に発動するかわからんわけやし』
「あー、聞いた話ですけど、アレは怖いですわよね~。
偶然暴発して、突然町の中にモンスターが沸きまくったり
偶然発動して、突然どっかの壁の中に転送されたり」
「うわぁ・・・」
「ひえっ・・・」
「そんな事もありえるんだ・・・」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
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『おっしゃ、大体終わったで~』
「「「「(わくわく、どきどき)」」」」




