205 冒険者Aさんと続・悩む少女
あらすじ:マイクさん達のダンジョン攻略は順調だったようです。
視点:大部屋の雑魚寝から、総合施設の宿にランクアップ ライムグラスさん
『』:アルファさん
「へえ、宝箱なんて凄いじゃない、モブコ~。
・・・・・あれ? モブコ?」
「(すぴーすぴー)ん・・・ん・・・」
「あらら、もう寝ちゃったかー。
うん、おやすみ、モブコ。
さっ・・・、アタシももう寝ようっと(ごそごそ)」
(ガチャガチャ、フッ)
でも、本当に凄いな、モブコ。
ランクはまだDから変わってないけど
すっかり{冒険者}してる。
王都でやってた時の、形だけのド素人集団でもなければ
アタシとペアでやってた時みたいに
生活費を稼ぐだけの底辺冒険者でも無い。
ちゃんとした知識と技術と経験を積み重ねてる
正真正銘の{冒険者}だよ。
・・・アタシもあの後続けてれば、そうなれたのかな?
あははは・・・・・・やっぱり無理だよね。
冒険者には怪我がつきものだって分かってたはずなのに
たった1回、重傷を負っただけで怖くなって
昔からずっと一緒だった親友を残して
断念しちゃったヘタレだもんね・・・。
あのおっちゃん、名前は・・・アルファさんだったよね。
たまに酒場に来て、飲み食いしてたのは覚えてる。
いつも一緒にあのケモ耳の子と一緒に騒いでたから
店員達の間でも覚えてる人は多いのよね。
店長とも知り合いらしくて、話してるのも見かけたし。
「あみゅみゅ~! ・・・むっふーん(すーすーすー)」
「っ!?(びくっ)」
今の何? 寝言なの?
モブコ、最近よく寝言言う様になったよね?
・・・でも、寝顔はすっごい穏やか。
昔みたいに苦しそうな表情で泥の様に寝てる訳じゃ無い。
それって、多分良い傾向なんだと思う。
良い意味で充実してるんだろうな・・・。
なんだか、羨ましい。
リマさんの紹介ってのも大きいんだろうけど
あのおっちゃんはモブコを助けてくれた。
だから、信用は出来る・・・と思う。
モブコもすっかり信頼してるっぽい。
聞いた話だと、冒険者としてはベテランで
何か商売とかもしてるって言ってたかな?
ぼ、{凡人オブ凡人}って言ってたんだっけ?
戦闘って目的の為の手段でしかないとか何とか。
・・・・・・あれ? 商売が本業?
まあ、そんな人が、もう1度冒険者をやらないかって。
しかも、アタシを{弟子}にしても良いって言ってくれた。
モブコも以前から口には出してなかったけど
ずっと、アタシの復帰は望んでた。
この間、勧誘された話した時、話を断らないでって
また一緒にやりたいって言ってくれた。
・・・うん、大事な親友にそこまで言わせておいて
いつまでもヘタレてらんないよね・・・。
明日・・・おっちゃんの所に行く用事があるって
モブコは言ってたよね?
アタシも明日は酒場のお仕事は休み・・・。
うん、モブコと一緒に行こう。
行って、もう1度、ちゃんと話を聞いてみよう。
アタシはヘタレだけど、こんなモヤモヤするのは嫌いだ。
ちゃんと話を聞いて、それではっきりと決めよう!
「うにゅ~ん~~~、ひゃっひゅが~~。
らいひゅってにゃひょっとこまえ~~(すーすーすー)」
「っ!?(びくっ)」
え? 何? 今のも寝言なの?
何の夢見てるのよモブコ・・・、って言うか
今、まさか{オトコマエ}って言わなかった?
孤児院時代からアタシが嫌がってる{オトコマエ}って。
ねえ? 言わなかった? ちょっと、モブコっ!?




