203 冒険者Aさんと夕暮れの屋台広場
あらすじ:服屋さんで色々と服を注文してきました。
視点:着せ替えを堪能してご機嫌 テンション↑↑↑ リマさん
『』:アルファさん
(ワイワイガヤガヤ、ワッハッハッハ)
「この串焼きおいしー!」
「ツー君、この赤い魚焼いたのを2皿くれるか?」
「はい! ありがとうございます」
「ちょっと、そこの売り子さーん! もう1杯くださいな!」
「このタレ焼き、パンに挟んでもいけるな!」
「おかーさーん、今度家でもこれ作ってよー!」
「(がぶっ)あひゅっ、うん! うんっ!
(もぎゅもぎゅもぎゅ、ごくん)・・・んあっ!
ん~~~~!! 美味しいっ!」
口いっぱいに広がる、濃厚な甘辛のタレとお肉の脂っ!!
噛むほどに次から次へ滲み出る肉汁っ!
飲み込んだ後でも包まれてる、炭火焼きの焼き目の香ばしい香りっ!
・・・たまに朝食以外も自分で料理作るけど
いつもは大体【ビアー】のお弁当か、定食。
あそこのお料理も美味しいのは美味しいのよ?
お値段もお手頃なのが多いし種類も豊富。
ちょっと奮発すれば高級料理だってあるし。
・・・でも、やっぱりこっちよね!!
タレと脂まみれの焼き串を素手で掴んで
手も口の周りもベッタベタにしながらかぶりつく!
お行儀とかお構い無しに、口一杯に頬張って
食欲の赴くままに噛んで噛んで噛んで飲み込むっ!!!
・・・・・・はあ・・・久し振りよね、この感覚。
「おおっ!? 良い食べっぷりじゃないですか、メガネさん!
こっちもいかがです? 遠慮は無用ですわ!
この塩ニンニクダレのレバー串焼きもたまりませんわよ?」
うっ・・・塩ニンニクダレ・・・!!?
どんなお肉もお魚も野菜も、美味しく変える魔法のタレっ!!
塗ってから焼いたのも美味しいし、焼いてから塗ったのも
また違う味わいと風味があるのよね!!
じ、実は、大好物なんだけど、臭いが強すぎるから
職場では絶対食べれないし、【ビアー】のレストランでも
さすがに人目が気になっちゃうから・・・。
「(ごくりっ!!)じゃ、じゃあ! 遠慮なく!!」
「くっくっくっく、それを頬張りながら
(すっ)このエールで流し込んだら
どれだけの至福が得られる事でしょうかね?
さ! さっ!! どうぞどうぞ!!!」
「!? は・・・はうっ!?(ぷるぷるぷる)」
そっ!? そんな魅惑の組み合わせを聞かされたら!!!
聞かされたらっ!!!!?
(がしっ) ああああああああああ!!!
つ、掴んじゃった!!!?
駄目なのにっ!!! 駄目なのにーーーー!!!!!
「(ごっきゅごっきゅ)おいしー! (´ω`)」
「あら、リッちゃんたら可愛いわね」
『わはは! やっぱ、可愛えーなー! リッちゃんは!』
はっ!? こ、これは罠よ!!?
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
(てくてく、てくてく)
「うー・・・ひゅいまひぇん、あるひゃぁひゃん」
『わははは! ええってええって!
見てて気持ちええ食べ飲みっぷりやったで~?
たまには、リッちゃんも
人目気にせんと羽目はずさんとアカンって~』
「あ、あはは・・・」
う~~、情け無い・・・。
この年でおぶって送られるなんて・・・。
でも、楽しかったな。
こんなにはしゃいで騒いで食べて飲んで。
いつ以来ぶりなのかな?
もう何年も、こんなことした記憶が無いわよね。
「あらあら~?
でも、リッちゃんが楽しく過ごせたみたいで
私も嬉しいわ~。
うん! 今日は強引にでも引っ張り出して正解だったわね~」
あ・・・やっぱり、マリさん。
私に気を使ってくれて、連れ出してくれたんだ・・・。
嬉しいな・・・そんな風に気を使ってくれる上司って
初めてだもんね。
・・・ふふ・・・でも、アルファさんもそうなのよね。
実は、いつも気を使ってくれていたし
何だかんだで無茶なお願いも聞いてもらってた。
でも、やっぱり、異性だし。
冒険者と職員って言う立場の違いも有るから
それ以上の甘えを出す訳にはいかなかったのよね。
「それにしても、アルファさん。
あの屋台をやってる広場って、冒険者の人は
ほとんど居ないみたいだったけど、いつもそうなの?」
『せやなー、この町の冒険者ってな?
基本的に宿と飯がセットやねん。
この町って歓楽街があらへんからなー』
「一応、酒場ぐらいなら有りますけど
ギルド横の【ビアー】か港の安目のとこだけですしねー。
まー、住宅街の方まで行ったら
個人でやってる居酒屋も無くもないですが
今度は宿が無いですし、帰りもちょっと遠いですから」
「あら~・・・それはもったいないわね~」
・・・そうなのよねー。
元々、【冒険者ギルド】の会館の建設地って
街道の利便性や町の拡張性も考えに入れてたのよ。
町長のゼーロさんやフォックスさんとも話し合って
会館との間に、飲食店や色んな商店が建てばいいなって。
それで、住宅街からは少し遠い所に建てたのよね。
ま、3年前の件とも合わさって、裏目に出ちゃったから
逆に町民と冒険者間で溝が出来ちゃった訳なんだけどね。
あーあ・・・想定通りにはいかないものねー。
・・・・・・・・・。
・・・おぶられるって・・・あったかいな。
・・・・・・・・・。
ふわぁ・・・。
もうだめー・・・・・・。
・・・・・・・・・。
『わははは! ・・・ま、でも。
1番の理由は【ビアー】が何でもかんでも揃いすぎとって
そこで全部完結しちゃうって事やろな~。
いや~、便利すぎるってのも時には困りもんやな~』
「なるほど~、そんな弊害もあるのね。
【フソウ】での誘致も、その辺を考えないと駄目ね~」
(てくてくてく、てくてくてく)
「それにしても、メガネさん。
よっぽど鬱憤溜まってたんですね~。
あんなにハッスルしてるの初めて見ましたわよ」
「あら、そうなの?」
『せやな~。
表には出してへんかったけど、内に何かを押さえつけとる。
いっつもそんな感じに見えとったな~。
俺も色々やってみたんやけど、結局無理やったし・・・。
はは、頼りないおっちゃんですまんな~、リッちゃん』
「・・・・・・・・・(すぅすぅ)」
「あらら、すでに夢の世界でしたか。
あっ!! ご主人様~、帰りはミケも!! ミケも!!!」
『わーーった、わーった!
わかったから、ちょい静かにせーよー。
起こしてまうやろー?』
「あらあら、楽しそうね~。
うふふ、私も今度ゲンゴロウにやってもらおうかしら?」




