20 冒険者Aさんと酒と涙と狸と魚
あらすじ:米1粒に7人の神様。
茶碗1杯が3000粒としたら21000人の神様がモグモグされます。
視点:料理を知ったリューグー人 サーバクン・ミーソットさん
『』:アルファさん
「ぐわああああああーーーーー!!(ゴロンゴロンゴロニャーン)」
「ミ、ミケニャンさーーーーん!! うおっ。」
『ええか、サーバクンくん、これが【フソウの諺】で
{酒は飲んでも呑まれるな}ってやつの典型的な例や。』
すごい苦しそうですけど・・・だ、大丈夫なんでしょうか!?
あ、でも、アルファさんは平然としてるみたいですし。
これが、飲み過ぎた場合の末路なんですね。
ボクも飲める様になったら気をつけよう・・・。
「(こひゅーこひゅー)・・・ご、ご主人様ぁ、薬をくださいませ~~。」
『薬か、うんうん、ええ薬になったやろ?』
「ぐぬぬ、そ・・そんな{うまい事言ったやろ?}みたいなのは
・・・今はいらんのでひゅー(はひーはひー)」
『あ、あの・・・苦しそうですし
お薬で治るんでしたら・・・うおっ。』
「!? そ、そうですよ~~!!
この子が良い事言いました!(はひーはひー)」
ご、ご主人様の大切な従者を救いましょう!
大切な従者を救いましょう!
大切な従者を救いましょう!
大事な事なので3回言いました!
お情け下さいまし~~~!!(フンゴロンゴローーン)」
「(おろおろ)あわわわ、ど、どうすれば、うおっ。」
『・・・はあ~~~~~~まあ、しゃあないか。
ミケ、選ばせたろ。
凄い即効性があるけど、とにかくくっそマズイ丸薬か?
それとも、味はいいけど治るのに一日たっぷりかかる薬湯か。』
「・・・や・・・薬湯でおねがいひまふぅ。」
その2択・・・って、即断なんですね、ちょっと意外。
こんな状態のミケニャンさんが嫌がる程とか
一体、どんなおそろしい丸薬だったんでしょうか。
ちょっとだけ見てみたい気も・・・。
(パチッ、パチチッ、グツグツグツグツカタカタ、ピーーーーーー)
「わっ!? うおっ!??」
『おっ、お湯沸いたな。
ん? サーバクンくん、【薬缶】って見たこと無いか?』
「や・・・ヤカンですか? うおっ。
い、いえ、【リューグー】にはこういうのはなかったです、うおっ。」
(カタン、ポイッ、グラグラグラグラ)
『そか、これはやな、【薬缶】って言って、元々は薬を煮出す為の器具なんやけど
お湯沸かすのにも丁度良いんやわ、特に野外やと必需品やな。
まあ、今は本来の使い方通りに薬を煮出しとるけどな。』
「なるほど、これも便利そうですね、うおっ。
・・・あっ! ひょっとして? うおっ。」
『おっ、そこに気付いたか、ホンマ察しがええね。
そや、この【薬缶】・・・実はこれは正式には【聖鉄薬缶】でやな
これもうちの、【五十六商会】の商品の一つなんやわ。』
「やっぱり! うおっ。
これも【乙姫様】にぜひお勧めしますね! うおっ。」
うーん・・・まだ上陸してたったの2日なのに
【リューグー】に帰った時、進言しなきゃならない事だらけになっちゃったなあ。
まだ、当分帰るつもりは無いんだけど、どうしようかな。
(ヒョイ、コポコポコポ・・・・)
『(グツグツグツ)ほれ、ミケ薬湯できたで。
さあ、遠慮せずにグイッといけ、グイッとぉ!!』
「(グラグラグラモワワワワワ)ぶわっ!? あつ、熱ぅっ!?
いやいやいやいやいやご主人様ぁっ、そんなご無体な!?
煮えたぎってるじゃないですか!?
お、鬼っ!! 悪魔っ!! ご主人様っ!!!」
『ほほう? なるほどなるほど。
そうかそうか、そんなミケにコレもプレゼントや(すっ)
しゃあないよな、鬼で悪魔なご主人様やし。
うん、実にしゃあないな。
・・・・・・ほれ!!(ぐいぐいぐいぐいぐい)
グダグダ言ってないでコレも飲むんだよおおおおおお!!!!』
「ぐぬぬぬぎぎぎぎぎ(ぐぐぐぐぐぐ)
(ずきんずきんずきん)はうっ!!? あ・・あたまが!!
(ポイッごくん)・・・・・・ぐわあああああああああああ!!!!」
「!!? み、ミケニャンさーーん! うおっ。」
「(ゴロンゴロンフンゴローン)ぬがぁああああ!!?
み・・・みず・・・を~~~。」
『よっしゃ! ミミズやな?
(ゴソゴソゴソ)どやっ!? この乾燥ミミズで満足やろ!』
「ごわあああああ・・・な、なんてベタなああ(ガクッ)」
『・・・ほれ、(すっ)ここに丁度ええぐらいに冷めた薬湯があるから
水の代わりにこれ飲んどけ。』
「(ホカホカ)あうあう、ご主人様の愛を感じますぅ~~~。(ずずずずっ)」
ああ・・・何だかんだ言っても、やっぱりミケニャンさんの事、大事にされてるんですね。
良い主従関係っていうより、まるで家族のようですよね。
『おっ、俺も飲むけど、サーバクンくんも薬湯いらんか?
コレな、ちょっとだけ匂いに癖あるけど体にええし、慣れるとなかなか美味いんやで。』
「せっかくですし頂きます、うおっ。
あ! もちろん、丸薬は遠慮しておきますね? うおっ。」
『ぬはは、まあ丸薬は解毒剤みたいなもんやしな、必要ない場合は無理に飲む必要ないし。
(コポコポコポコポ)ほい、まだ熱いからな、ちょっと冷ましてから飲みぃ。』
「ありがとうございます、うおっ。
(ホクホクホク、ホワー)あ、確かに独特な匂いしますね、うおっ。
でも、意外と嫌いじゃないかも(ずずずずっ)
・・・うん、初めての味ですけど、これはこれで飲みやすいですね
スッとした後味で、胸の辺りが何かすっきりする感じがします、うおっ。」
『そかそか、気に入ってくれたんなら何よりや。(ずずずずっ)
(はふうっ)あ、そういやなぁ、この【薬缶】なんやけど
【フソウ】には他に{鉄瓶}とか{茶釜}ってのもあってやな
まあ、お湯とかお茶沸かしたりするのにええんやけど
さすがに鋳鉄製やから重たくてな、持ち運びには向かんのやわ。
でも、逆に屋内で据え置きで使うには重宝するから
【リューグー】で使うんやったら、{鉄瓶}とか{茶釜}の方がええかもな。
そっちやったら、【フソウ】のどこででも売っとるから入手しやすいし。』
「な、なるほど!{鉄瓶}に{茶釜}ですね、覚えておきます! うおっ。」
「(ぷるぷるぷる)・・・ち、ちなみに、【薬缶】はこっちの大陸でも売ってまして
こっちでは{ケトル}とか呼ばれてます、ガクッ ( ゜ロ゜) ピクピクピク」
な・・・なるほど、結構、一般的に使われる器具なんですね。
滅多に有りませんでしたけど【リューグー】でお湯沸かす時って
大体お鍋でしたので、これは帰る時に是非とも買っていかないと。
『・・・お、そういえば{茶釜}といえば、【フソウの諺】にこんなのがあって
{金儲けがしたいなら狸を茶釜に詰め込んで焼け!}っていうものなんやけどな・・・。
おお! 丁度、ここに手頃な弱った狸が居るやないか!!』
「(ガバッ)いや、違いますから! そんな諺無いですから!!
それって【フソウ】の小話の【ぶんぶく茶釜】の事ですよね!?
あれは、{貧しい爺さんへの恩返しに茶釜に化けて売られて儲けさせた}とか
{骨董品収集癖の和尚が偽者の狸が化けた茶釜を掴まされてブチギレして
厄介払いとして人に押し付けたけど、そこで何だかんだあって仲良くなった狸が
その人への恩返しに見世物小屋で芸をして儲けさせてあげた}とかって言う
狸の忠誠心溢れる心温まる恩返しのお話ですよね!?」
『そうやったっけ~~?
・・・まあ、どの諸説にしても必ず焼かれとるんやし、似たようなもんやろ。
ていうか、どっちも普通に詐欺で人騙してるんやないか。
狸っちゅうナマモノはホンマ悪い性格しとるなぁ・・・なあ?』
「ええっ!?・・・そ、そんなあくどい事を・・・うおっ。」
「いやいやいや!?
ま、まあ多少悪いこともしますが、狸は狐と違って恩返しもする義理堅い生き物ですし!!」
『え~~~?
でも{お爺さんの畑仕事邪魔しまくった挙句とっつかまっても、逆ギレして
お婆さんを騙して叩き殺した上、鍋にしちゃう}ような性悪狸も昔におったんやろ~?
あれあれ~? 違ったっけ~~? (´゜ c_,゜`)プププッ』
「むきーーーーーー!!? その表情むかつきますぅぅぅ!!?
そんなのはごくごく一部で語られてるだけの昔話ですしーーー!!?
所詮は人間が勝手なイメージだけで作った話じゃないですか!!」
「え・・・えっと?・・・うおっ。」
け・・・喧嘩なんでしょうか?
でも、じゃれあってるだけのようにも見えますけど?
どうなんでしょうか、ボクにはまだわからないんですが。
『でもお前、狐と張り合って悪さしまくってお尋ね者になってたよな?』
「あっ、ハイ。
その節はご迷惑をおかけしました。」
『(じーー)・・・んー、どれどれ。
うん、丸薬効いたぽいな、ならええ。』
「えっ? どういうことですか? うおっ。」
「!!! はっ!? そうでしたか!!!!!
この丸薬と薬湯の効果を、最速・最大効率にする為にわざとミケを興奮させたんですね!?
おまけに、興奮で我を忘れたおかげで、あの例えるならジジイのおしっこみたいな
くっそまずくて気絶しそうな程の丸薬の味を紛らわす事まで計算してただなんて!!!
さすがです、ご主人様!! ミケへの愛が溢れてますよね!?
これはもう番になるしか・・・!!」
『ミケ、お前ジジイのおしっこの味知っとるんか。』
「いえ、そんなの知るわけ無いじゃないですか。
あくまでもイメージです、イメージ。」
・・・えーっと。
つまりは、アルファさんがわざと怒らせて興奮させる事で
薬の効能を早めたってことでいいんでしょうか・・・。
それにしても、昨日もそうでしたけど、この方達、話が脱線しまくりますね。
ちょっと話のテンポに付いていくのが大変ですけど
【リューグー】にはこんなタイプの方達は居ませんでしたし
何か楽しくなってきました。
地上の方達って皆こんな楽しい人達ばかりなんでしょうか?
「いえ! サーバクンさん!! 違いますからね!?」
「!!!!!!?」
えーーーーーー!!!!?
何で心で思った事にツッコんでるんですか!?
あっ、これが読心術ってやつですね!?
『いや、ちゃうから。
今までも他ん所で似たような反応されてきたから
さすがに、パターンでそう思ってるやろなって、鎌かけてるだけやからな。』
「えっ!? あっ、そうだったんですね? うおっ。」
「んもーー、ご主人様、種明かし早すぎますよ~~~。
もう少し惑わせた方が面白かったのに~~~。
ご主人様はまっこと、いけずなお人ですぅ。」
『せやなー、俺はいけずやから
朝飯は俺とサーバクンくんの分だけ準備するわ。
ミケ、お前は丸薬と薬湯で腹いっぱいやろうし、いらんよな?
あっ! 丸薬のおかわりやったらまだまだあるで?』
「!?(ビクッ) え、えへへ・・・い、いやですねえ、ご主人様ぁ~~。
ご主人様はお優しくて心の広い
ミケが心からお慕い申し上げてる世界一のご主人様じゃないですかーーー?
そーんなお方がそーんないじわるおっしゃらないで下さいよぅ。」
『はいはい。
まあ、元々ミケが転げまわっとる間に、下準備は終わらせとるしな。
んじゃ、朝飯にしよっか。』
「さすがご主人様!! その心遣いにドキがムネムネしちゃいますぅ!!!
素敵過ぎて、もう色々疼いちゃいますよっ!!!!?」
うーーーーーん。
やっぱり、本当に話の展開に着いていくので精一杯ですよ。
あ、朝ごはんは楽しみです、はい。




