199 冒険者Aさんと従者登録
あらすじ:サンシターさんが保護された理由は、本を持っていたからだそうです。
視点:昨晩はマリさんに色々教え込まれた サンシターさん
『』:アルファさん
「・・・ほ、ホーリー?」
「・・・デーモン?」
『・・・なんじゃそら』
えっと・・・昨晩はマリさんとおっしゃるギルドのお偉いさん。
そのお方に連れられて、事情聴取と事情説明をされたでヤンス。
とは言っても、アッシ自身は記憶も何も無いのと同じなんで
元の体の持ち主の記憶? を手繰ってお話ししたでヤンス。
マリさんもその辺は理解してくれてたらしくて
事情聴取は簡単に終わったでヤンス。
それで、今朝はアッシをサク様・・・オヤビンの娘さんでヤンスね。
サク様の{従者}に登録する事になったでヤンスが
アッシの種族とかを確認する為に、専用の水晶玉を使ったんでヤンス。
「おほほほ! {聖なる悪魔}とか訳わかりませんわね~!
どんな不思議生物なんです~?(げらげらげら)」
『いや、お前がゆーな、ミケ。
【妖怪】の狸とかも似たよーな不思議生物やないか』
「まっ!? 何てことおっしゃるんです! ご主人様っ!!!
こんな知的で従順でプリティ~な忠狸ですわよ!?
全然違うじゃありませんかっ!!!(むきーーーー!!)」
『いや、存在がな? まー、この事は一旦置いといてやな。
・・・・・・それよりも・・・や』
「ええ、後回しにしていただけますか? アルファさん。
そして、これってつまり・・・そう言うことなんでしょうか?
・・・種族名【ホーリーデーモン(フンガー神)】」
「「「『・・・ふ、フンガー神?』」」」
うーーん・・・皆さん固まっちゃったでヤンス。
【フンガー神様】って、多分、前のアッシを浄化させてくれた
神官? の人? の信仰する神様でヤンスよね?
この反応って・・・?
「・・・あの~? つまりどういう事でヤンスか?
アッシ、何かまずいことでも・・・?」
「えっ!? あー、いや、まずいことは無いですわよ?
ご主人様達はともかく、ミケの場合は
色んな意味で単純に驚いてるだけですので」
『せやな、まずくは無いんやでまずくは。
俺も驚いてるだけやからな・・・色んな意味で。
だから、そこは安心しといてええわ、サンちゃん』
「あ、はい・・・でヤンス?」
「あの? ・・・アルファさん?
【フンガー神様】と言うのはエッセンさんの信仰する
・・・と言うよりも、身に宿してる神様でしたよね?」
『せやでー、今は腹ペコの神様やな~』
「えっ!? は、腹ペコ・・・?」
「それはつまり・・・その腹ペコの神様の【使徒】?
と言う扱いになるんでしょうか・・・。
えっと、そのまま登録しても問題ありませんか? マリさん」
「あらあら~、どうしましょうか・・・困ったわね」
「あ、あの・・・無理でしたら、その・・・(おどおど)」
「あっ! 無理じゃないのよ? サクちゃん。
登録自体は別に問題は無いのよ・・・」
えっと・・・何が問題なんでヤンスかね?
アッシがその【ホーリーデーモン】? だからでヤンスか?
それとも、【フンガー神様】に何か問題があるんでヤンスか?
・・・何か、腹ペコ神とか聞こえたでヤンスけど、そのせい?
『マリちゃんが危惧してる事って、多分こーゆー事やろ?
【フンガー神】がどーのやのーて、{悪魔}から信徒を。
しかも【使徒】クラスのヤツを人工的に作れてしまった
・・・って事ちゃうか?』
「・・・・・・」
「あーーー、そりゃ確かにまずいかもしれませんね、ご主人様」
「人工的に? ・・・・・・ああ、なるほど。
確かに、それは公表が難しくなりますね」
「・・・そうなのですか? 母様」
「・・・はあ・・・簡単に見通されちゃったか~。
さすが、アルファさんだわ~。
ふふ、リッちゃんも、よくアレだけで気付けたわね~」
『あー、やっぱそこがひっかかっとったんやな。
ま、しゃーないよな』
「???(きょとん)」
「あ、あの~・・・、それって何かまずいんでヤンスか?」
「えっと・・・教えて頂いてもよろしいですか? お師様」
「これは、ユキさんでもさすがにわからなかったようですわね。
よろしい! ミケお姉様が教えて差し上げますわ~!」
「はい、お願い致します、ミケお姉様」
「わ、わたしにもお願いします」
「アッシにもお願いします、アネサン」
「(けらけらけら)むほほほ~~!!
・・・とは言っても、そんな難しい事じゃないですわ。
要するに{悪魔崇拝の教団}の目的と手段そのものなんですよ」
「悪魔崇拝? ・・・の教団?」
「目的と手段でヤンスか?」
「??????(ぐ~るぐ~る)」
『ま、ミケのゆーたのは極端な例やけど、その例でいこか。
悪魔崇拝しとるよーな奴らの目的ってゆーと
悪魔を召還して望みを叶えて貰う事やろ?
んで、そーゆー奴らの望みってのは、大概破滅願望やねんなー。
国家転覆だ~とか、世界征服だ~とか・・・』
「破滅願望・・・ですか?」
「ええ、そうですわよ~?
自分も含めて世界が滅茶苦茶になればいい~とか言う割には
でも結局、自分だけは助かりたいって言う魂胆が見え見えの
みみっちい愚か者達ですわ」
「そーなのよね~、ああ言う団体って
本当に迷惑しちゃうわよね~~」
『んで当然、そんな分不相応な目的を叶えて貰うってゆーたら
召喚する対象も高位であればあるほどええって訳やな。
できれば【亜神】クラスか、それこそ神の【使徒】クラスが
召喚できたら、願いの半分は叶ったも同然やろな~。
まー多分、召喚できても願いは叶わんやろけど』
「実際、そのクラスを召喚しようと思ったら
とんでもない儀式が必要でしょうけどね~。
望みは叶わないでしょうけど」
「・・・お師様、なぜ半分なのですか?
そして、何故叶わないと?」
「それはね? ユキちゃん。
例え召喚に成功したからと言っても
願いを叶えてくれるかは別問題だからなのよ~?」
「ですねえ・・・召喚される側って
自分の意思とは関係無く、強制的に召喚されてる訳ですし
召喚者に対してブチギレたとしても仕方ないですわ~。
・・・と言うか、普通はそうなると思いますわよ?
例えば、ミケがご主人様のブラッシング中に
強制的に召喚させられて、そんな戯言聞かされたら
全員ぶち殺しても収まらないぐらいキレると思いますわ~」
「・・・・・・ああ、そう言う事ですか。
それで、先程のサンシターさんの事例に繋がるのですね」
「?????????(ぷしゅ~~~)」
「え、えっと、アッシの? ど、どういう事でヤンスか?」
どういう事なのかさっぱりわからないでヤンスよ。
自慢じゃないですが、アッシはおつむが悪いんでヤンス!
・・・それより、お嬢様は大丈夫なんでヤンスかね?
なんか目を回してふらふらしてるでヤンスけど。
『よーするに、サンちゃんの場合みたいに
悪魔を召喚した後、強制的に浄化して
人工的に自分んとこの神様の信徒にできるんやったら
自分らの望みも叶えられるやろし、神様も手駒が増えて喜ぶやろ?
そーゆー連中にとったら良い事尽くしやから
そんな手段が有るって事を知ってもーたら
多少確率が低くても、ガンガン繰り返すやろーなー』
「そうなのよね~。
しかも、その方法で何体どころか、何十、何百~なんて事になったら
世の中滅茶苦茶になっちゃうわね~」
「ひっ!? あうあう・・・(ぷるぷる)」
「ひえっ!? それは大変でヤンス~~」
ううう、アッシってそんなにヤバイ存在だったんでヤンスか!?
はっ!? これって、アッシが処分される流れなんじゃ!?
い、い、いやでヤンスぅううう。
せっかくの新たなデーモン生ですし、まだ色々とやりたい事が~!!
「まー、実際の所、悪魔を浄化したら聖属性になったとか
そんなの初めて見ましたし、聞きましたけどねー。
手段として、呪いで強制的に従えるってのならよくありますけど」
「そうなのですか? ミケお姉様」
『せやでー、ユキ。
召喚の儀式とか行う奴らって、大抵は{魔術師}系やろ?
そっち方面やったら【強制】とか【呪い】とか
相手の活動を縛る為の魔法とかスキルって、めっさあるからな。
わざわざ浄化させて従えるとか、普通はせーへんわな」
「ですわよね~~~。
・・・あーでも、別のパターンなら結構有りますか」
「別のパターンですか?」
「そうそう。
高位の聖職者とかが、自分の所の神様の【使徒】を召喚して
象徴になってもらって、その下に付くってパターンですわ」
「ああ、なるほど。
命を代償に【聖女】が【戦乙女】を召喚したり
【英雄】が【戦神】を召喚したり・・・物語によくあるパターンですが
確かに、実際に史書等に記録が残ってたりもしますね」
「ほえ・・・(ぽかーーん)」
『おっ? 史書まで抑えとるとは、リッちゃんは博識やな!
さっすが、俺のリッちゃんやわ~!』
「(無視っ)それで、マリさん。
登録と公表はどうしましょうか?」
『おおっふ (´;ω;`)』
「そうねえ・・・。
じゃあ、こうしましょうか、登録はそのまま詳細を登録して
公表部分は{手懐けされた【グレーターデーモン】}って事で」
「{手懐け}・・・?」
「えっとつまり、アッシはペット扱いって事でヤンスね?
はい、アッシはそれで不服なんてありませんですし
よろしくお願いしますでヤンス」
『まー、表向きはそこら辺が無難やろーなー。
たまに、どーやったらそんなん{手懐け}できんねん!?
とか思うのもおるし、冒険者やったら、よーある話やな~』
「{手懐け}扱いですね、分かりました。
では、その様に書類は処理しますね」
ほっ・・・。
とりあえず、これでアッシの処遇は丸く収まりそうでヤンス。
正直、元の体の持ち主の記憶だと
ペット以下の扱いを受けてたっぽいでヤンスから・・・。
従者として仕えるお嬢様も、優しそうな子っぽいでヤンスし
その保護者も、そこまでひどい事はしなさそうでヤンス・・し?
・・・えっと、しないでヤンスよね?




