194 冒険者Aさんと交渉?
あらすじ:ミケニャンさんとアルファさんは、とある本を発見したようです。
視点:八百萬一番目の亜神 取材熱心なフジョ様
『』:アルファさん
「駄目です」
『まーまー、リッちゃん!
そんな殺生な事ゆわんと~~~! な!?
ちゃんと俺が面倒見るから~』
「駄目ですって。
・・・と言うか、そんな扱いに困るのを拾ってこないで下さい」
『そんな~、リッちゃん頼むわ~~~~』
ふうむ・・・このギルドには丁度良い餌・・・。
いや、丁度良い取材対象が居るから、ちょくちょく訪れておるが
これはまた、面白い場面に遭遇したのう。
「まるで、捨て犬を拾ってきた子供を叱る母親の様じゃわ」
「・・・・・・あー」
「・・・・・・確かに」
「(ばっ)誰が母親ですかっ!!
と言うか、そこの2人も何を同意してるんです!?」
「えー? でもでもリマ先輩~、そう見えちゃってますよ~?」
「もしくは、平謝りする旦那さんですね」
「(かあっ)なっ!? だっ!?」
『な~? ホンマ頼むわ~、悪さは絶対させへんから!』
「・・・・・・あ、あのう?(こわごわ)」
・・・ほう?
この母子の様な、夫婦漫才の様な光景も面白いが
それ以上に面白い存在が居るのう。
「アルファよ、その者は【混ざりモノ】じゃな?」
『ん? おっ? あ~、フジョ様やんか、今日も取材なん?
ホンマ取材熱心やな~、わははは!』
「【混ざりモノ】・・・ですか?」
「あー、さすがに腐ってるとは言え、そこらの有象無象の【神】よりも
信仰を得ている【亜神】のあなたには一発でお見通しですか~~。
まー、ここは{その通り!!}と言っておきますわ~」
「ほっほっほ、狸娘よ、それは誉め言葉として受け取っておくぞ?」
「あの・・・【混ざりモノ】とは一体?」
「うむ、話が逸れてしまったのう。
【混ざりモノ】とは、異種族が混ざった{混ざり者}であったり
無機物が混ざった{混ざり物}であったり・・・。
その様なモノ達の総称として【フソウ】ではそう呼んでおるのじゃよ」
「は、はあ・・・えっと?
それは【キメラ】みたいなもの・・・でしょうか?」
「いえ、【合成獣】とは別物ですね。
あっちは色んな生物をくっつけて継ぎ接ぎ状態にしただけで
それぞれの部分が独立した生物のままですから」
『せやなー。
【混ざりモノ】ってのは、完全に融合しとって別の種族。
って感じやからな、外見的にも中身的にも。
・・・あーっと、見た目でゆーと、アレなんかが近いかな?
アレやアレ、【マンティコア】』
「・・・・・・図鑑でしか見た事がありませんけど
確か、顔が老人で体がライオン、背中にバットの翼が生えていて
尻尾がスコーピオンのモンスター・・・でしたか?」
『そーそー、さすがは俺のリッちゃん!
図鑑で見ただけで、そこまでよー覚えとったなあ~』
「・・・・・・まあ、見た目もそうですけど
モンスターとは言え、そんな謎生物は珍しいですので。
・・・あと、どさくさに紛れて、おかしな事言わないで下さいね」
『そんなー (がっくし)』
「(ひそひそ)・・・先輩も早く認めちゃえばいいのに」
「(ひそひそ)何か特別な理由でも有るんでしょうかね?
・・・まあ、僕としましては
まだ、僕にもチャンスの目が残っていると
希望が持てるので有りがたいですが・・・ふふっ」
「(ひそひそ)・・・ノーヴェ君ってやっぱり・・・。
最近、もう隠さなくなってきてない?」
くんくん・・・ふむふむ。
何やらあちらから芳しい香りがしてくるのう。
まあ、あちらは後で良いか。
それにしても、顔が老人で体がライオン・・・獅子の事じゃな?
それに背中に蝙蝠の翼が生えとって、尻尾が蠍じゃと?
モンスターとは言え、世界にはおかしな生物も居るものじゃのう。
・・・いや、【鵺】とか、そんな感じじゃなかったかえ?
それこそ、前身緑色で人の形をした水生生物も居るし
燃える車輪の真ん中に顔がついとる様な、何でそうなった?
と言いたくなる謎生物も【フソウ】には沢山おったのう。
・・・うむ、【フソウ】の方がよほど魔窟じゃな。
「それこそ、目の前に狸娘と言う謎生物が居るしのう」
「はー!? 何ですかー!? ミケに喧嘩売ってるんですかー!?」