19 冒険者Aさんと締めはやはり汁モノ
あらすじ:焼石を使った、取れたて素材の包み焼きとか最強
視点:ほろ酔いのアルファさんの従者 照り焼き大好き 大妖狸のミケニャンさん
『』:アルファさん
(グツグツ、コトコトコト)
『お、もうボチボチええかな?
これにお味噌を(シャッシャッシャッ)溶いて~。
ついでに溶き卵を投入して~。
少しだけ火を通したら・・・完成!!』
(クツクツ、フワワワワーーン)
「あ”~~~!
この魚介の風味と、溶きたてのお味噌の混ざった香りが
{正直もう辛抱たまらんっ!}って感じですよね~~。
あ、ミケはとりあえずアオサ無しでお願いします!
2杯目に色々足しますので」
『あいよ~、分かった分かった。
(ジャブッカチャカチャ、ジャバッ)ほいよっ。
んで、次やな、(ジャブッ、チャチャッ)おっとと・・・。
ほい、サーバクンくんの分なー。
これも熱々やから、気をつけて食うんやでー』
「ありがとうございます! うおっ。
・・・あ、これはお味噌汁ですね? 【リューグー】でも
お正月とか宴会の時に食べたことありますよ、うおっ」
『わはは、そーかそーか~。
今は味噌も醤油もちょっとづつ入ってるんやったな。
それやったら、さっき、ミケがゆーとったよーに
2杯目にはちょっと変化つけるから、おかわり要るならゆってな~』
「(コリコリコリ)んーー、この歯ざわり!!
(ずずずずずっ・・・ぷはーー)そして牡蠣の様な独特の濃厚な風味!!
やっぱり、お味噌汁はこの飲んだ後の余韻がサイコーですよね!!」
「(ずずふはふはずずず)ふわぁ~~
濃厚な風味なのに何かホッとする味ですね、うおっ。
貝の汁にお味噌が合わさった味と・・・これはカニ?
あっ、具に小ガニが入ってるんですね!
こんな小さいのにしっかりと味が出るんですね? うおっ」
「(バリバリバリ)小ガニうめーーー!
(コリコリコリ){若者の尻の穴}うめえええーーーですわ!!!」
『(ずずずず)その呼び名はやめい!』
「ふぁっ!? わ、若!?・・・お、お尻・・・ですか? うおっ」
「(にやにや)ああ、それはですね!」
『ミケ、やめとけ~~。
あー、これな、食えるイソギンチャクなんやけど
【フソウ】の一部地域で、そーゆー名前で呼ばれてるだけやし
単に見た目だけの問題やから気にせんでええで~
多少見た目がどーでも、美味いもんは美味い。
そもそも、切って具材にしたら見た目とか関係ないしな~』
「な・・なるほど? うおっ」
「(ずずずず・・・ふっはー)
それにしても、その辺、【フソウ人】って凄いですわよね。
{食に対する執着心}が半端無いというか何と言うか」
『そーいや、さっき思いっきり話が逸れたもーたけど
実は【聖鉄紙】もそれに関係あるんやわ』
「えっ? 食に関係ですか? うおっ」
『せやでー(ずずずずっ)
【ドワーフ】の【ミスリル箔】については
さっき、ちょろっとゆーたけどなー。
コレが人体に影響が無いって知った【フソウ】の人らは
何でコレは大丈夫やったんかを考えたんや・・・。
んで、結局出た結論は{原材料をどうにかするしかない}』
「(コリコリコリ)え・・・そ、そうなんですか? うおっ」
『でもな、【フソウ】には【ミスリル鉱石】は無い。
せやけど、他国から輸入するには希少品で値段が高すぎる。
だから・・・そーいう事ができる神様にお願いした訳や。
そんで、とある神様が力を貸してくれたおかげで
【鉄鉱石】を{浄化}した【聖鉄】が完成したわけやな~』
「ほわー(ぽかーん)」
まー、そんな話を聞かされたら、目も点になりますよね~。
おまけに、神様に協力してもらってまで【聖鉄】を作った理由が
【ミスリル箔】で作った武具の、魔力や熱の伝導効率を
鍋とかフライパンにも使えないかって事ですからねー。
正直、何でそう考えた!? って思いますわよね。
・・・・・・でもまー、その程度なら
【フソウ人】の変態技術の一角でしかないんですけどね~。
「あ! ご主人様~、おかわりお願いしまーす!
今度はアオサたっぷりで! たっぷりで!!」
『あーはいはい。(パサパサパサッ、クツクツクツ)
・・・こんなもんやろ、(ジャバッ)ほいよ!』
「ひゃっほうい! ご主人様、ありがとうございます。
むっふっふっふ~~~! これに! さらに! この!
【島とうがらし油】を少々入れて~完成ですわ!!」
「【島とうがらし油】? それって何ですか? うおっ」
「むっふっふ、気になりますか? 気になるでしょう!!
(ずずずずずっ、ぷはーーーー)ふぁ~~~~ふぅ!!!!
どうです? サーバクンさんもちょっと試してみませんか?」
『こらこら、ミケ、昔の悪い癖が出とるで。
あー・・・・・・っとやな、サーバクンくん。
【島とうがらし油】ってのは辛い、ごっつう辛い
とにかく辛ぁ~~~~い調味料なんやわ。
・・・まーでも、せっかくやし、試してみるんもえーけどな。
試すんやったら、指先にほんのちょっとだけやで?
ちょーっと、つけて舐める程度にしときや~?』
「あ・・・あの・・・、辛いっていうのは
【フソウ】の【山葵】みたいな感じですか?
アレでしたら、少しだけ食べてみたことありますけど
ボクはちょっと苦手です、うおっ」
『あー、辛さの方向性は、ちょっとちゃうな~。
ひょっとすると、種族的には慣れへん味かもしれんし
今回はやめといた方がええやろなー』
「(ずずずずずっ)む~~~・・・残念ですわね~(さささっ!)
(ぐびっぐびっぐびっ)っかぁあああ、ふっはぁ~~~!!」
『!? あ”っ!!? ミケ~~~お前~~~~。
いつの間に俺の【芋焼酎】を~~~~!?』
「何をおっしゃってるんれすか!! ご主人様!!(ずずずずっ)
アオサと【島とうがらし油】入りの味噌汁にはコレが無いと!!
(ぐびぐびぐび)いわゆるセットれすよワンセット!!
ご主人様とミケと一緒れすよ!! 熱々お似合ーーーい!!」
『アカン、この駄狸・・・どうにかせんと。
・・・・・・まー、放置でええか~。
(ジャブッ)とりあえずサーバクンくんは
2杯目にこのアオサ入れたやつ試してみ?
風味がまたグッと変わるんやで~?』
「わっ、ありがとうございます、うおっ。
(っずずずず)ふはぁー・・・うん。
慣れ親しんだ磯の香りで、何かほっとしますね、うおっ」
『(ずずっずずっこりこり)・・・そーいや。
そこの駄狸のせいで、またまた話が逸れてもーたけど
【聖鉄紙】ってのは、結局、紙と同じ様な製法で作っててな。
【聖鉄】を溶かして枠の中に投入するやろ?
そんで、伸ばして冷やせば出来あがり~って訳や。
この【聖鉄紙】っちゅーのは、人体に悪影響が無いからな。
こーやって料理にも使えるから、すげー便利なんやわ』
「な、なるほど、そうやって作られた物なんですね、うおっ。
(ずずっ、ばりばりっ、ごくん)あ、あの・・・。
これって他の国でも作られているんですか? うおっ。
あ・・・でも、アルファさんの商会の主力商品って事は
他では取り扱って無いって事ですよね? うおっ」
『ほー・・・えーとこに目をつけるな、サーバクンくん。
せやな~、製法だけ聞くと簡単そうに聞こえるやろし
そんな便利なもんやったら、よそでも作るはずやからな~』
「(こりこりぐびっぐびむしゃむしゃ)ぷっはぁーーー。
れも、そうはいかないんれふよ?
だって、ノリノリでお願い聞いてくれるかみしゃまが
【浄水の神様】と【鍛冶の神様】が居なきゃ
作れないんですしおすし~~~!! (ぐびゃぐびゃっ)
神格持った存在が、そこら中にホイホイいる
【フソウ】がおかひいんでふ~! 異常なんれすよ~!」
「え!? ほ・・ホイホイっ!!? うおっ。
えっと・・・10とか20とか・・・ですか?
い、いや、そんなに神様って居るものなんですか? うおっ」
「10ぅ~? 20ぅ~?
なぁ~にを言ってるんですか、桁が違いまふよ。
800萬ですよ、はっぴゃくまん!!」
「はっ!?? 800万ですか!!? うおっ」
『・・・あー、ちょっと誤解があるようやけど
800万ってのは例えとしての数なんやわ』
「あっ、そうなんですね、うおっ。
じゃあ実際はもっと・・・」
『せや、もっと多いんや!』
「へっ!!!???」
『(ずずずず)っふう~・・・えーっとやな。
【フソウ】やと【八百萬】ってのは
{数え切れん程膨大}って意味なんやわ。
だから神様の数も実際の数やのーて、めっさ多いって事や。
なんせ【国産みの神様】から始まって【太陽の神様】も居れば
【月の神様】居るし、【山の神様】に【川の神様】に
キミらんとこの【樹木の神様】やってそうやな~。
中には【田んぼの神】とか【台所の神】だけやのうて
【厠の神】なんてのも居って、しまいには【キノコの神様】とか
【米粒の神様】なんてのも居るぐらいやからな・・・。
まー、そんな訳で【八百萬の神】って呼ばれとるんや』
「ふあーー!? (ぱくぱくぱく)
そ、そう言えば、故郷でそんな話を聞いた事があります。
てっきり、その話ってかなり大げさに伝わってきてるとか
創作なのかと思ってたんですけど、まさか実話・・・
というか、もっと信じられない様な話だったんですね、うおっ」
そりゃそーれふよねー。
他の大陸だったら、神様と言えば
大陸を創った【創造神】だったり~~
大陸に結界を張ってる【大神】の事れすしね~~。
後は、せーぜー、何柱か配下の神様が居て
信仰の対象になってる程度ですもろ。
ほーんな【フソウ】みひゃいな{道を歩けば神様に当たる}程の
異常地域なんれ(ごくごくごく)世界中どこ探したって
無いですわよね~~~(ぶは~~~~~)。
あへっ?(ふりふり、ピチョン)ん~~~?
『おまっ!? ミケっ! こ~の駄狸が!!
結局、全部1人で飲んでもうたんかい!
・・・・何っ!? す、既に3本目・・・や・・・と!?』
「ひゃっひゃっひゃ、ごひゅじんひゃま~~~!
たまにはいいじゃないれふかー!!!」
『(#^ω^)ピキピキ』
「!? お、落ち着いてくださいっ、うおっ」
『むう・・・サーバクンくんがゆーんやったらしゃーないな。
この酒がたっぷり染み込んだ狸を捌いて
鍋にしたろかって思ったんやけど、しゃーないか。
せやなー、しゃーないしゃーない』
「ほっ・・・良かったです、うおっ」
「(ごそごそ)じゃあ、まだ飲みたらんミケには
代わりにこの酒をやるわ、ほれっ(ぽいっ)」
「(ぱしっ)わっひょっひょ~!(チャプチャプ)
おひょっ! これはいいかおりれふね~~!!
いただきまーーーーーふ!!(がっふがっふがっふ)」
・・・こ、これはあああああーーーー!!!!?
(ぱたりっ)Zzzzzzzz。
「(すやすや)ぐおーーーーー、むにゃむにゃむにゃ」
「・・・・あ、あの、一瞬で寝ちゃったんですけど
さっきのお酒は一体・・・? うおっ」
『あー、あれか? あれはなー?
【お酒の神様】が作ってくれた【天地酒】ってお酒でな。
味も香りも一級品やけど、付いた別名が{天国から地獄}。
一瞬で気持ちよく酔い潰れるんやけどな~。
次の日に地獄の二日酔いが来て酷い目に合うんや(にやっ)』
「そ、それじゃあ、ミケニャンさんは明日・・・? うおっ」
『(にこっ)さー、静かになったことやし、晩飯の締めや!
この味噌汁の残りになー? 干し米をパラパラっと投入して~。
後は、ここに干した小エビをパッパッ(パラパラ)っと!
さらに、刻んだ青じそとネギをパッパッ(パラパラ)っとな!
これで、グツグツっと一煮立ちさせたら~~~。
よっしゃ! 締めの{ねこまんま雑炊}の完成や!!』




