186 冒険者Aさんと護衛代理
あらすじ:ノブユキさん達もダンジョンにアタックするそうです。
視点:行者でニンジャな才色兼備 チヨさん
『』:アルファさん
「それにしても、わざわざすまないのう、おチヨ君よ」
「(ぶんぶん!)いえいえ! どうぞお気になさらずに!
(ばるんっ!)今日は護衛の代理としてよろしくお願いします。
それにしても、中々に良い家ですね? ご隠居様っ(たわんっ)」
「うむ、仮住まいできる家を紹介してもらったのだが
丁度、この家が空き家になっておったそうでな。
先住の者は、つい先日に他国の商家に嫁いで行ったそうなのだよ」
「ほう! 実に良い機会だったのですね」
「しかもな、嫁ぐ際に、長旅に不要との事で
衣類や小物は別として、大半の家具は残していったそうでな。
せっかくなので、そのまま使わせてもらっておるのだよ。
ふおっふおっふおっ」
「ああ、それで女性的な家具や調度品が多いのですね。
これならユミネちゃんも気が楽でしょうし(ゆさっ)」
ご隠居様達は、以前、ホテールさんの所の宿泊施設に
逗留してたのよね・・・いえ、あそこも良い所なのよ?
高級旅館にしては珍しく、成金趣味じゃないし。
施設の佇まいも家具も調度品も、こう・・・渋いって感じ。
でも、そういう高級旅館って、ご隠居様はともかく
ユミネちゃんやジン君には合わなかったんじゃないかな。
特に、ユミネちゃんは花も恥らう、うら若き乙女だもの?
「ところで、おチヨ君よ、一つ疑問なのだが」
(コポポポポポ、ホワ~~~)
「何でしょうか? ご隠居様。
あ、お茶どうぞ(スッ)
熱いのでお気をつけてくださいね(たわんっ)」
「うむ、有り難く頂こうか。
(ずずずずっ)・・・うむ、良い香りだのう。
・・・おお、それで、疑問なのだが。
何故、アルファ君はおチヨ君ではなく
ジン君と、うちのユミネを連れて行ったのだろうな?」
「と、言いますと?(ぼいんっ?)
「ダンジョンの攻略ならば【忍】である
おチヨ君の方が向いていると思うのだが・・・」
「ああ、そういう事ですか」
確かに、ご隠居様が疑問に思われるのは仕方ないかな。
昨日、アルファさん達が調査に入ったダンジョンには
主が居て、Bランク級の危険な罠もゴロゴロあったらしいわ。
それならば【忍】の出番、と思うのは普通だろうけど。
・・・でも、今回のダンジョンって洞窟らしいのよね。
【忍】と言うのは、山を越え、林を駆け抜け
建物への潜入も罠も工作も得意・・・ではあるけれども。
実は、洞窟みたいな自然の閉所って、あまり得意じゃない。
理由はごく簡単。
「ご隠居様、確かに【忍】と言うのは、特殊な道具を使いますし
時には罠を張って、奇襲や暗殺だって行いますけど
別に罠の専門家と言う訳では無いんですよ?(たぷ~ん)」
「うむ? そうなのか?」
「ええ、そもそも、本来は隠密や情報収集に特化した存在で
罠や道具も、その為の手段として使ってるだけですから」
「ふむ・・・なるほど、確かにのう・・・。
む・・・、おお、そうだそうだ。
そう言えば、【高家衆】にも、お抱えの【隠密衆】が居るのだが
その長が言っておった事があってな」
「(たわんっ)朝廷の【高家衆】お抱えの・・・ですか。
それで、何とおっしゃってたので?」
「うむ、潜入時に罠にひっかかる事は論外として」
「まあ、そうでしょうね(むぎゅ)」
「罠を解除するのは、隠密としては二流なのだそうだ」
「ふむふむ、では一流の隠密とは?(むぎゅ~)」
「うむ、罠を全て作動させずに避ける事。
潜入した事を一切悟らせない事が、一流の隠密だそうだよ」
「(うんうん)なるほど、確かにその方の仰る通り。
罠が解除されていれば、潜入している者が居る事は明白。
そして罠の中には、解除される事で作動する
そんな罠もあるそうですよ?(たぷぷ~ん)」
「ほほう、その様な仕掛けもあるのだな。
ふふ、専門では無いと言っておったが
やはりおチヨ君も詳しいではないか」
「(くすくす)いえ、それは【忍】と関係の無い所で
ある人から教わったんですよ~?(たわわ~ん)」
「ほう? それは誰なのかね?」
「それはもちろん、アルファさんですよ~?
遊郭のお客さんとして来た・・・ね(くすくすくす)」
「ほっほっほっほっほ! そうかそうか。
彼がうちの次男と組んで、やんちゃしていた時代じゃな」
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▽
「(こくこく、こくん)・・・ふうっ。
うわ・・・このお茶、香りが凄く良いですね。
【フソウ】から持参したお茶なんですか?(ぽよん?)」
「いや、それはこの現地のお茶だな。
以前、アルファ君から貰ったものでな。
特に銘柄は無いそうだが、クエスト中に群生地を発見して
たくさん採取しすぎたから、と言っておったな」
「へえ・・・、どこで採取できるか聞いてみようかしら」
「ふおっふおっふおっ。
・・・そう言えば、その話にはオチがあってな?
お茶の葉を大量に回収して、喜んで帰ってしまったらしく
肝心の対象を取るのを、忘れてしまったそうなのだよ」
「(くっくっくっくっ)そ、それはそれは・・・。
実にアルファさんらしい話ですわね~(ぷるぷるぷる)」
「うむ。
とりあえず、私が貰った分は、まだたくさん有るから
そこの空いている筒に入れて持って帰りなさい。
遠慮しなくて良いからのう?
美味い物は皆で共有してこそじゃよ。
ふおっふおっふおっ」




