184 冒険者Aさんとごほーこく ⑥
あらすじ:危険なダンジョンは壊しちゃおうねぇ。
視点:就寝前の一時を満喫中 ノブユキ・ムトウさん
『』:アルファさん
(すぴ~~~、ふしゅるるるるる、く~く~)
『(ひそひそ)・・・なるほどな~。
そんな事があったんか、よ~やった、よ~やった。
お手柄やな~、ユキ(なでなで)』
「はひゅんっ!?(びくんっ)
(ひそひそ)・・・ありがとうございます、お師様」
『(ひそひそ)それにしても・・・俺って。
そんなイメージってか、緊張する相手なん?
ちょっととゆーか、かなり意外やったんやけど。
町の人らとかも、ふつーに接しとるよーな気が・・・』
「(ひそひそ)いえ、お師様。
町の方達の場合は冒険者としてのお師様を
ほとんど知らないからでしょうし」
『(ひそひそ)ほーん? そーゆーもんかね・・・?』
実際の所、町の方達からのお師様の印象は
採取重視で町の発展に力を貸してくれていて
色々な料理を知っている上、皆にも振舞ってくれる
そんな町民寄りの冒険者・・・と言う印象だそうです。
ですが、この町の冒険者の大半からは
あまり、良い印象を持たれていないそうです。
以前、狼藉を働いていた冒険者の一党を排除した件。
ギルド側や町民側から見れば、感謝に値しますが
一部の古参や中堅の冒険者達からは
ギルドと結託して、【アイアンベアー】を追い払った
・・・と、お師様を逆恨みしているそうなのです。
どうせ、Bランク冒険者の威を借り
冒険者様だぞと、我が物顔で町民の方々に迷惑をかけ
一緒に甘い汁を吸っていたのでしょう。
そのお師様が、町の方達に感謝されるだけでなく
今までの所業から、自分達は白い目で見られるのが
気に入らないのでしょうけど、完全なる逆恨みですね。
・・・本当に愚かです、度し難いですね。
『(ひそひそ)わははは、何か知らんけど
俺の為に怒ってくれとるよーに見えるな~。
優しいな~ユキ、ありがと~な~?(なでなで)』
「ふぇっ!? んっ(ぴくんっ)
(ひそひそ)・・・お師様は、お優しいですけど
それ以上に偉大過ぎる御方でもありますので
どうしても、ミケお姉様の様に甘えたりは
難しいと思われます・・・(すりすり)」
『(ひそひそ)そーか~?
その割にはユキも甘え上手やんか~?(なでなで)』
「(ひそひそ)ふふ・・・それはもう(うっとり)
・・・ですが、サクの場合は中々難しいでしょうね」
(くーくー、ぐおおお~~~ふしゅるるるる)
『(ひそひそ)ん~・・・?
俺にはそこがイマイチわからんねんな~(さすさす)』
「(ひそひそ)んっ・・・、お師様。
私は自分から弟子に志願致しましたがサクは違います。
言い方は少し悪いですが、サクの場合は想定外に
お師様に拾われて養子となった形です」
『(ひそひそ)せやなー。
あれ? ひょっとして本心では嫌やったとかか?』
「(ひそひそ)いえ、それは違います、お師様。
私が後に聞いた限りでも、サクの扱いはその・・・
あまり良くは無かった様で、サクにとって
いくら感謝してもしきれない程なのは間違いありません」
『(ひそひそ)んー? それやったらむしろなんでや?
ガンガン甘えてきてくれた方が俺は嬉しいけどなー。
な~? ユキ(なでなでなで)』
「んうっ・・・!?(ぴくぴくんっ)
(ひそひそ)・・・それは・・・その。
恐らく、ユキにとってお師様は、救世主。
・・・に等しい存在なのだと思います。
そこまでの恩を感じてるのでしょう』
『(ひそひそ)きゅ・・・救世主~?
う~~む、俺もとっつぁんに拾われたけど
俺の場合、さすがに救世主とまでは思わんかったな~。
サクよりももっと小さい時やったからか?』
「(ひそひそ)だからこそ尚更、なのでしょうね。
恐らく、捨てられる事を極端に恐れてるのだと思います。
里で言われ続けた{役立たずのヌケサク}と思われない様に
お師様に、邪魔だと、要らない子だと、思われない様に。
ずっと気を張っているのでしょうね」
『(ひそひそ)ほ~~~~~、なるほどな~?』
(もそもそもそ、ぎゅっ)
『(ひそひそ)サク~、気付かんですまんかったな~。
大丈夫やからな~、お前はず~っとウチの子や。
絶対捨てたりせんからな~?(なでなで)
だから、遠慮なんかせんでええんやで~?
もっと気軽に甘えてくれた方が嬉しいんやで~?
・・・おっとっと』
「(くーくー)むにゅむにゅ(ぎゅうっ)」
「(ひそひそ)ふふ・・・サクも寝てる時は
素直にお師様にあまえられる様ですね。
・・・ちなみに、お師様?
その当時、お義父様に対しては
どの様な存在だと感じてらっしゃったんですか?」
『(ひそひそ)んー? せやなー。
変わったおっちゃんやなー・・・とか。
物好きな人もおるもんやなー・・・とか。
感謝より不思議さが上回っとった・・・かな?
多分、そんな風に感じとったよーな気がするわ』
「(ひそひそ)ぷっ・・・ふふふ、そ、そうですか。
さ、さすがは、お師様ですね(ふるふる)」
「(もぞもぞ)んにゅっ・・・(ぎゅううっ)」
『(ひそひそ)おっと、これ以上はサクも起きてまうな。
詳しくは、また明日聞くから、今日はもう寝るで~。
・・・・・・ほれ、ユキも(ぎゅっ)』
「えっ・・・」
『(ひそひそ)お前も遠慮なんかせんでええ。
ど~んと甘えてきたらええねん。
他んとこではどーか知らんけどな。
俺にとったら弟子もウチの子同然なんやからな~?
だから、ええんや(なでなで)』
「・・・はい・・・はいっ(ぐすっ)」
『・・・・・・ところで、どこ行ったんや? ミケ』
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▽
「あのー、お2人共?
できれば覗き見とか盗聴とか遠慮してもらえません?
ついでに心の妄想を口に出すのも。
結構ボソボソ聞こえてたんですよ・・・?」
「ううっ、ぐしゅっ、うぐぐうっ(ボタボタボタ)
わ、わらわ、あの手の話には弱いんじゃ・・・、うぐっ」
「ぐすっ、ううう、私も涙が止まりませんっ、あと鼻血も。
・・・あ、ハンカチどうぞ、フジョ様~(ポタポタポタ)」
「はあ・・・・・・。
まー、お師様はあまり気にされてない様ですけど。
家族の交流とかを、下品な目線で見られるのは
気分の良いものではありませんからねー。
その辺は、ちょっと気を使って下さいよ~?
・・・ミケも本気出したくありませんので」
「うむ、わかった、すまなかったのう、ぐすっ(ダラダラダラ)」
「はい、すみませんでした、ぐすっ(タラ~~~~)」
「・・・・・・はあ~。
あっ、それと、その辺はちゃんと掃除しておいて下さいよ?
フジョ汁と鼻水と涙でぐっちゃぐちゃじゃないですか」
「「はーい」」




