183 冒険者Aさんとごほーこく ⑤
あらすじ:冒険日誌はマメに書きましょう。
視点:ご主人様の膝の上が特等席 ミケニャンさん
『』:アルファさん
「まー、ダンジョンの主としては、どーか知りませんけど
罠使いとしての腕前は、三流以下でしょうね~」
「ん? そうなのか?
報告書と聞いてる限りじゃと、厄介そうに聞こえるぞ?」
「あら、そうなの? アルファさん?」
『せやな~、まー、三流以下ってのは言い過ぎやけど
良くて二流って感じやなー、{まだ}な~』
「えっと、{まだ}・・・ですか?」
まー、そこは突っ込んで聞いてきますわよね~。
説明は・・・ご主人様にお任せしますわ~~。
ミケはご主人様のお膝の上で・・・。
ふわぁ~~~~~! 極楽ですわ~~~~!!
『(わっしゃわっしゃ)え~っとやな、仕掛けられとった罠は
確かにBランク相当の危険な物が多かったし
使い方のセンスも悪くはなかったんやけどな~?』
「「「けど?」」」
『仕掛け方が甘い、大甘やったわ』
「仕掛け方?」
「えっと、アルファさん、どういう意味ですか?」
「(くんかくんか)ふにゅぅ~~~~、アレですよ、アレ。
経験不足、実践不足ってやつですね~~~、はふぅ~ん。
罠なんて実際に使ってみてナンボでしょう?」
「あらあら・・・それなら確かにそうね」
「・・・ああ、なるほど、そういう事ですか」
「どういう事じゃ?」
ま~~~~ったく、このアホのじーさんは・・・。
ふにゃあっ!?(ぞくぞくぞく)はふぅ。
マリさんとメガネさんはあっさり気付きましたのにね。
(すりすり)はぁああああ、たまりませんわ~~。
疲れた時はやっぱりご主人様成分補給ですわよね~~。
『(さわさわさわ)ん~~、要はアレやアレ。
新しい罠とか自分の知らんかった使い方とか入手して
{早速、使ってみました!}ってやつやな~。
でも、ここの冒険者って、滅多にダンジョン行かへんやろ?』
「そうですね、特にこの{洞窟ダンジョン}は人気有りません」
「そうよね~、せっかく罠を仕掛けても
実践相手が来ないんじゃ意味無いわよね~」
『せやから、せっかく強力な罠を配置しとっても
痕跡は消しとらん上、位置もバレバレでなー。
設置したもんの意図が分かり易すぎなんやわ。
いや、配置の考え方自体は、悪く無いんやけど
逆に、次にどの辺にどう設置しとるか
大体、見んでも読めてまうのがな・・・。
しかも、発動後のデメリット知らんかったんか
効果が相殺してまう箇所も幾つかあったしなー』
「ああ、それであちらさんが三流以下、・・・という訳か。
言われてみれば、確かにその通りかもしれんのう」
「・・・(いえ、それはアルファさんだから読めたのでは?)」
「その辺りは冒険者も同じですよね。
どんなに強い装備もスキルも、実際に使ってみなければ
その長所や短所を実感できませんから。
ピンチになって初めて使って、逆に状況が悪くなる・・・
なんて、よくある話ですし」
「(すりすり)はふぅ~ん、メガネさんの言った通りですわ~。
良い事言うじゃありませんか、メガネさん~~」
『さすが俺のリッちゃんやな!』
「誰が誰のですか、あとメガネさんは止めて貰えませんか?」
「あらあら、そうカリカリしないで~、ね?
誉められてるんだから、リッちゃん(ぽんぽん)」
「・・・・・・(ぐぬぬぬ)」
「(これは、あえて何も言わん方が良さそうじゃな)」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
▽ ▽ ▽
▽
「・・・で どうするのが一番よさ気じゃ?
推奨ランクをBに上げれば良いんかのう?」
「いえ、それは根本的な解決にならないと思います、ギルド長。
そもそも、Cランクどころか、現在居るBランクの人ですら
誰も受けたがらなかった案件ですし」
「そうねえ~、だからアルファさんに調査しもらった訳だし。
それに、さっきアルファさんが言ってたでしょう?
{まだ二流}って、それって裏を返すと
時間が経てば、経験積んで一流になっちゃう・・・。
そんな可能性があるって事よね~?」
「うーーーーむ、そうじゃのう。
・・・アルファよ、お前の意見はどうじゃ?」
『(さわさわ、なでなで)俺? せやな~。
俺の提案としては早めに退治した方がええと思うけど?
あそこの主が、ただの戦闘力自慢やったらともかく。
裏張りの罠だけやのうて、切り札的なアンデッドも持っとったし。
育ったら、面倒臭いやろな~』
「・・・何より、成長速度が危険だと思います」
「え? そうなの~?」
「ん? そうなのか?」
「マリさんはともかく、何でアンタが知らないんですか!
本当、これだからアホのじーさんは!!(くわわっ)」
はっ!? すっかりご主人様に甘えモードだったのに
アホのじーさんのせいで、思わずツッコんでしまいましたわ!!
いけないいけない、こんなに甘えさせてくれる機会は
そんなにあまりそこまでボチボチしかないんですから
ちゃ~んと堪能しないと~~~~、むふふふふふ~~。
『せやねん、マリちゃん。
実は1年ぐらい前にも、調査に行っとってな~。
その時は、罠なんか全然無かったし
出てくるモンスターも、蝙蝠とかトカゲ系とかばっかで
【アンデッド】もほとんど居らんかったしな~
その時は、最奥まで行ったけど、主は居らんかったんやわ』
「あらあら・・・と言う事は~?
ずっと潜伏してたのが、急激に力をつけたとかかしら?
そうなら、尋常じゃない成長速度ね~。
もしくは、ダンジョンを乗っ取れるだけの技術を持った
何者かが外から来たって事になるわよね~?」
「それ、どちらにしても厄介じゃな」
「ここは、ランクをBに上げないで、Cのまま
指名の{緊急クエスト}に変更して
アルファさんに、再調査してもらうのが一番なのでは?」
「ん? なんじゃ、ランクは上げんでもいいのか?」
『わはは、ブラボーのじーさん、俺はCランクやで~?
Bで{緊急クエスト}にしたら受けられへんやろ~?』
「お!? ・・・おお、そういえばそうじゃわい。
緊急にすると、そのランクで固定されるんじゃったな」
「(ぷひー)やれやれ~。
これだからアホのジーサンは、アホなんですよ~」
「さっきから、アホアホやかましいわい!! タヌキ娘が!」
「そうねえ・・・で、どうかしら、アルファさ~ん?
受けてくださるのかしら?」
『ん~、せやな~、再調査か・・・うーん・・・』
「えっ・・・と? 何か問題がありましたか?」
『攻略やったら受けてもええで? もしくは主の討伐。
ただし、攻略後にあそこのダンジョンは
もう使い物にならなくなるって条件付きやけどな?』
「はあっ!? いや、そりゃお前。
攻略してくれるんなら、一番有り難いんだがよう。
・・・で、何でその条件なんだ?」
「(すりすり)は~、やれやれ、これだから以下略は~」
「ええと・・・、それは、最奥で【核】も破壊して
ダンジョンごと破壊しちゃうって意味かしら?」
「だ、ダンジョンごと破壊!? う~~む・・・」
『せやで~? マリちゃん。
さすがにあれだけ急激に育ってるダンジョンとか
放置すんのはどーかと思うんやけど
一応、ダンジョンってのは、資源の宝庫やからな~。
実際、それで町おこししとる所も有る訳やし』
「うーむ、そうなんじゃよな・・・」
『・・・ついでにゆーとくけど、ブラボーのじーさん。
俺、今後ず~っとこの町に居る訳や無いんやで?
将来的に危険になった時に、この国の戦力だけで
どーにかできそうやったら別にええんやけど・・・』
「そうなのよね~、私も支援で来てるだけだから
いつまで居てあげられるか分からないし~」
「・・・・・・」
「俺も将来的な危険の方が怖いんじゃが、資源か・・・。
破壊したら、王都からグチグチ言われそうじゃのう」
は~~、やれやれ、本当にやれやれですわ~~~。
このアホのじーさん、肝心な事忘れてますわよね~。
仕方ありませんね~、ここはミケがビシッと指摘して
ご主人様に誉めていただきましょ~か~~!?
いい加減、さっさと帰りたいですし~~~~。
「あの・・・ギルド長? そもそも、このダンジョン。
誰も行く人が居なくて、放置されてたんですけど?」
「あっ!?」
(シーーーーーーーーン)
「「・・・・・・」」
「あらあら~、じゃあ、無くなっても問題ないわね~?」
「お、おお! そうじゃな! うむ!
じゃあ、アルファよ、頼んでも良いかのう?」
『わはは、ええで~。
でも、3日ぐらいは後にしてな~?
明日はユキ達の方がどーやったんか、聞きたいし。
他のパーティメンバー候補に声もかけときたいしな~』
「はい! それでは、手続きだけ先に行っておきますね?」
おの~れ~!? またしてもメガネさんか!!!
ミケがご主人様に誉めて頂くチャンスを~~~!?
・・・・・・でも、まー。
とりあえず、ミケが言おうとした事をズバッと言って
このぐだぐだな時間をさくっと終わらせてくれた訳ですし?
この場は誉めておきますわ、メガネさん。
は~~! 早く帰ってご主人様とお風呂入りたいですわね!!
お風呂! お風呂!! ぬふふふふふふ~~~~~!!!




